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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
57/130

56 うわさを聞きたいの

「変な植物?」

「うん、ミアちゃんとこならそんな話出てないかなって。」


今日は久しぶりにユーリさんとこに来てる。

っていうのも、フェリックスさんたちが急ぎの仕事のご指名が入ったみたいで、授業もなくなったからなんだけど、ちょうどユーリさんが声をくれたんだ。

ユーリさんも最近は忙しかったみたい。

商隊が襲われたりして、お茶が少なくなった分を、外にいろいろ採りに行ったりしてたんだって。

それで、そのとき変な植物に出会って…っていうお話だったんだけど。


「変っていっても…あたし、植物詳しくないよ?」

「あ、そんな難しくないのよ。

 動く植物なんて、普通見ないでしょ?」

「動くの?!」


うん、びっくりはしたけど…何かかわいくないかな?

どんなだろ、お花が踊ったりとか…?


「ミアちゃん…何か変なの想像してない…?

 うっとりしてるけど…そんないいものじゃないのよ?」

「ほへ?

 お花が踊ったりしてるとか…」


あ、ユーリさんがずっこけてる…違ったみたい。

想像もつかないや…


「そうねー…、植物の魔物っていうのもいるのよ。」

「魔物?魔獣じゃなくて?」

「あら、そっか。

 魔獣っていうのは一昨日暴れてたファングボアみたいなやつのことよ。

 普通にいる獣の、ちょっと強いようなやつ、かな。」


そいえば、マリーさんがそんな風に説明してくれてたっけ。

でも、結局ファングボアがどれくらいおっきいか見てないんだよね…ちょっと残念。


「それで、魔物っていうのはね、明らかに自然じゃないやつ、っていうのかな…

 ちょっと曖昧だけど。

 植物の魔物だと、蔓を鞭みたいにして叩いたり、巻きついたり、挙句、動物とか人まで捕食するようなやつもいるんだけど…」

「ひぅ…」


か、考えてたよりだいぶ怖い…

そんなの生えてたらどうしよう…


「この前、採集に行ったときなんだけどね…

 最近何だか物騒な話も聞くし、1人では出ないようにして、猟師さんたちと一緒に採集も行ってたの。

 あ、ちょっと話変わるけど、ミアちゃん、緑に縞々の模様の果物見たことある?

 中は赤くてみずみずしくて、種が結構入ってる、これくらいの大きさのやつ。」


って言って、ユーリさんは手で大きさをつくった。

顔よりもおっきいのね。

んー…そんなのは食べた覚えも見た覚えもない…

だから、首を横に振って答えた。


「でも、その果物がどうしたの?」

「実はね…その果物っぽいのに、4つの肢が生えて走り回ってるのを見たのよ…」

「え゛…」

「別に怖くはなかったし、見ようによってはかわいいっていう人もいるかもしれないけど…

 とりあえずびっくりしちゃって、あたしも一緒に来てくれてた猟師さんも固まっちゃってね。

 それで、最近のことを聞いてると、何だか放っておいちゃだめなのかなって思って。」


ということで、ユーリさんから聞いた変な話のうわさがないか、今日の晩の食堂で聞いてみるって約束をして、あとは採集に行ってたときのお話聞いたり、あたしの魔法の勉強の進み具合を話したりして久しぶりのおしゃべりを満喫できたの。



宿に戻って、マリーさんやクルトさんにも聞いてみたけど、2人ともそんな話は聞いてないって言ってたから、まだあんまり誰も知らないのかな?

また明日にでも冒険者ギルドの本部の方に聞いてみてくれることにはなったんだけど、冒険者さんたちの方がよく知ってるかもしれないよね。



「…ということなんです。

 何かうわさとか聞いたこととかありませんか?」

「んー、僕は知らないなぁ。みんなは?」


周りの方たちも、首を横に振ってる。

常連さんたちに、お給仕しながらいろいろ聞いてみるけど、みんな知らないみたい。

すっごい珍しいのかなぁ…

あ、またお客様が。


「いらっしゃいませー。」

「ふぅ、ちょっと遅くなっちゃったけどいけるかな?」

「あ、おかえりなさい。

 カウンターでもよかったらすぐにいけますが、テーブルなら少し待ってもらわなくちゃです。」


お泊まりの冒険者さんのグループが、いつもよりちょっと遅めのお帰りで、ちょうどテーブルが埋まっちゃってたんだよね。

リーダーの人が、グループの方と相談して、カウンターでいいってことだったので、ご案内。

ご注文をいただいて、厨房に急ぎ、他のお客様のできあがった分を運んでく。

配膳して戻るときに、今帰ってこられたお客様たちにも聞いてみようと思ったら、マリーさんがもうその話を振ってくれてるとこだった。


「…という話があるみたいなんだけど、あなたたち、何か知らない?」

「あー…帰りにギルドに報告行ったときに、たぶんそれの依頼出てましたよ。」

「依頼?」

「はい、何でも植物に魔力を込めて、意思を持たせたり、自由に動かせないかって研究してた人のとこから、何匹か逃げだしたから捕まえてくれって…

 探すのが大変そうで、受けるつもりがなかったからあんまり詳しく見てないんですが…」

「そう、ありがと。

 うちでも明日確認してみるわ。」


横で聞いてたら、マリーさんが気づいてウィンクしてくれる。

これで何とかわかりそうかな?

って安心してたら、奥からこんな声が…


「ミアー、できてるよー。

 運んでくれるかなー?」


ひぅ…クルトさん、ごめんなさい!

急いで厨房に向かうことになりました。


それにしても、いろんなこと研究してる人がいるんだねー…

ちゃんと捕まるのかな?

夏も終わりそうですね。

スイカに手足が生えたらうりぼうっぽいなっていう変な発想が…

目とか鼻とか貼りつけてみたいかも…

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