表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
53/130

52 大騒ぎの日 その1

「魔獣が出やがったー!」


そんな叫び声が響いて、平和だったお昼の食堂に緊張が走った。

冒険者のお客様たちは、ご飯をさっと平らげて、部屋に戻ってく。

そして、お昼だけ食べにきてたご近所の常連さんたちはご飯を食べる手も止まってる…


「マリーさん、魔獣って…?」

「普通の動物たちよりも変に大きかったり、体の一部だけが歪に成長してたりする獣よ。

 それにしても、街の近くまで来るなんて…」


っていうことは、普通じゃない状況なんだ…

何だかちょっと…大変なこと…だよね?

クルトさんも厨房から、こっちに来てた。


「クルトも聞えたのね。」

「ああ、こっちも聞えたみたいだね。

 それにしても、ここしばらくなかったんだけどなぁ…

 みなさん、とりあえずは落ち着いて待っていてください。

 何か動きがあれば、対応はさせていただきます。

 下手に外の状況を考えずに出てしまうと、騒ぎに巻き込まれたりすることがありますので。」


クルトさんがまだ食堂にいるお客様たちに呼びかけて、少しみなさん落ち着いたみたい。

そうこうしてるうちに、部屋に戻ってた冒険者さんたちが装備をそろえて降りてくる。

みなさん、マリーさんやクルトさんに、様子を見にいってくるって出ていく。

フェリックスさんたちも降りてきたけど、行っちゃうのかな?


「俺たちも行ってくるわ。

 まあ、あれだけ行けば出番はないだろうけど。」

「気をつけてね。

 ってまぁ、今のあんたたちならわたし何かが心配しなくても大丈夫だろうけど。」

「気持ちが緩むと…どんな相手にも負ける可能性…あります。」


マリーさんの言葉に、エリカさんが答えて、みなさんは出て行った。

魔獣って強そうだけど、悪魔より強いのかな…?

だったら怖すぎる…


「ミア、大丈夫だよ。

 冒険者たちはみんな強いから、魔獣なんてあっという間にやっつけられるさ。」

「そっか、そだよね。」


うちだけでもあんなにたくさんの冒険者さんたちが向かったんだから、きっと大丈夫だよね。

それからしばらくは静かで、さっきの騒ぎは何だったんだろうって気がしてくる。

残ってたお客様たちも、落ち着いたみたいで、ご飯の残りを食べ終わってる人たちもいたから、クルトさんの案で、お茶をサービスすることになったの。


「どうぞー。

 サービスですー。」

「お、こりゃありがたいね。

 お茶がついてくるなら、たまに魔獣が出てもいいかもなぁ、ははは。」


何て軽口を飛ばせるくらいに、落ち着いてきてたんだけど…

バタン

って急に表の扉が開いて、また食堂のみなさんがびっくりする。

あたしもマリーさんもびっくりしたけど。

飛び込んできて、荒い息を整えようとしてるのは、教会のシスターのシャルテさんだった。


「ミアさん…!よかった…少しお願いしたいことが…」

「大丈夫かい?ちょっと座って落ち着いて…」

「す、すみません、急に…」


イスに座ったシャルテさんに、まだ残ってるお茶を出した。

シャルテさんは苦しそうだったけど、少しにっこり笑って、お茶に口をつけてくれた。


「はぁ…すみません、実はミアさんにちょっと教会の方まで来ていただけないかと…」

「ふぇ?!」

「どういうこと?

 今は魔獣騒ぎで危ないでしょう?」


シャルテさんの言葉に、あたしよりもマリーさんが反応した。

それにしても、何か急いできたみたいだけど。


「はい…実は、ファングボアが…」

「また厄介なのが…」

「はい、それで、負傷された衛兵の方がミルファム教会に運ばれてきたのですが、少し傷が深いのです。

 治療師ヒーラーの方をお探ししようと思ったのですが、冒険者の方はみなさんファングボアの方を追いかけて行かれたみたいで…」


ファングボアっていうのが魔獣のことなのかな?

って、ぼーっと考えてたら急にシャルテさんに両手をつかまれてびっくり。


「ミアさん、治療師ですよね?

 お願いします、どうか一緒に来てください!」

「え、えぇっ?!」


急に言われて、混乱しちゃって思わずマリーさんを見たら、マリーさん頭をなでてくれたから、ちょっと落ち着いた。


「ミアはどうしたい?」

「え…と…あたしで力になれるなら…って。」

「うん、それじゃ行きましょうか。

 クルト、ちょっとこっち頼むわね。」

「やれやれ、まぁ、君らしいな。

 気をつけていくんだよ。」


何だか、マリーさんも一緒に来てくれるみたい?

シャルテさんはありがとうございますって、あたしとマリーさんの手をとってお辞儀しっぱなしだけど…


「さぁ、そうと決まれば早く行かなきゃ。

 ミア、ペンダントはつけてるね?」

「はい、だいじょぶです。」

「シスターさんは、いける?」

「ありがとうございます。

 大丈夫です。」


こうして、大騒ぎの街を、ミルファム教会へ3人で向かうことになった。

早くケガした人のとこへ!

何だか…事件です…

無事解決に導けるかな…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ