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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
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4 黒い来訪者

「にゃー」



朝、まだぼーっとしてるときに、ネコの鳴き声が聞こえた、ような気がした。

あたしはネコなんか飼ってないし、白枝亭でも飼ってないから、たぶん気のせい。

あー、でももう朝かぁ…起きなきゃ…



「んしょ……ん~…?」



起きようとして何か足元に感じる…



「にゃー」

「ひ…うぁ?!」



黒い塊が何故かあたしのベッドに…



「き……!!」



叫びそうになって、思いとどまる。まだ早いのに大声あげたらお客様に迷惑だ…

かろうじて叫ぶのをこらえ、もう一度しっかりと黒い塊を見ると、まだそんなにおっきくないネコだった。



「キミ、どこから入ったのよ…もぉ…」

「にゃー」



小声で話しかけたけど、当たり前だけどまともな返事なんてなかった。

部屋を見回すと、窓が少しだけ開いてた。



「あれ…開けてたっけ…疲れてるのかなぁ?」

「にゃ?」



何か、ネコに返事されたみたいでちょっとかわいかった。

けど、とりあえずこのまま居つかれても困るし、着替えて外に追い出すことにした。






とんとんとん…と階段を降りていくと、マリーさんも朝の準備をしていた。



「マリーさんおはようございます。」

「おはよう、ミア。ん?」



あたしが手にぶら下げてる黒い塊を見て目を細める。



「あ、何か今朝起きたらあたしのベッドにいたんです。窓が開いてたから、昨日閉めずに寝ちゃったみたいで…」

「へぇ…また若い娘の部屋に忍び込むなんて大したネコだねぇ。」

「ひぅ、と、とりあえず追い出してきますね。」



慌てるあたしを見て笑ってるマリーさん。むぅ、からかわれてる?



外に出てネコを地面に下ろすと、ネコはその場にちょこんと座ってこっちを向いた。



「さ、もう間違えて入ったりしたらだめよ?」

「にゃー」



また絶妙のタイミングで返事されたみたい?

とにかく朝の準備もあるし、すぐに中へ入った。



「いけたかい?」

「すみません、放してきたから、すぐお手伝いします~。」



マリーさんに返事をして、テーブルのセッティングを始める。



何か変な朝になっちゃったな~…









朝の食事戦争も一段落して、ちょっと一息。

厨房で朝ごはん。っても、仕事がないわけじゃないから、順番に一人ずつ。

お昼の準備もあるし、チェックアウトしたお部屋の片づけもあるからそんなにゆっくりもしてられない。

チーズと菜っ葉がはさんであるパンにかぶりつく。



急いでご飯をすませたら、お部屋の片づけに行く。

マリーさんはもう始めてるはずだけど…



「あ、ミア。今日はちょっと少ないからあんたの部屋のシーツもまとめてやっちゃうよ」

「はーい、一緒に集めときますね。」



お客様の部屋を回ってベッドのシーツを集めてまわってると、シーツの塊に背を抜かされることもある。

前にシーツの山を運んでるとき、クルトさんに「ミア、シーツのお化けみたいになってるぞ。」って心配されたことがある。ちゃんとそのうちおっきくなるもん…

今日はそこまで量は多くないけど、ちょっと視界は悪い。

最後に自分のシーツを回収しようと、部屋に入ったとき…



「にゃー」

「へぁ?」



聞こえた…朝と同じ声…

シーツを下ろすと、朝と同じようにベッドに黒い塊が…



「キミ、また来たの…?」

「にゃー」



あー、そういえば窓閉めてなかったカモ…(汗)



「それにしたって、何度も窓からなんて、泥棒みたいじゃない…」

「にゃ?」

「とぼけてもダメ!シーツ集めるし、出てってね。」



ちょっとめんどくさくなって、窓の外に追い出す。窓から入ったんだし、屋根の上でも平気でしょ、きっと。

今度はちゃんと窓も閉めて、シーツを回収する。



「変わったネコだったにゃ~…はっ、伝染った?!」



あわてて首を横に振り振り、シーツを運ぶ。

何か変に疲れちゃった気がするよ…



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