47 かみさまのおみちびき その2
シャルテさんについて、奥へと進んでいく。
明かりはシャルテさんが持ってる[光結晶]だけだから、離れると大変なことになりそう…
って思ってたんだけど、よく考えたら、あたし光出せるんだよね。
それは置いといて、とにかく進んでく。
思ってたより割と広いんだよね。
と、シャルテさんがある本棚のところで止まった。
「あ、ここですね。
明かりを持っていただけますか?」
「はい。」
[光水晶]の入ったガラスのビンを受け取って、本棚が見えやすいようにかざしてみる。
シャルテさんはそこに並んでいる本の背表紙を確認して抜き出した。
「今回はこちらの本を見ていただければと思います。」
「この本はどんな本なんですか?」
「そうですね、この間お話したような創世期のことを記したものです。
とはいうものの、創世期からあるものではないのですが。
おそらく、後世になってから、口伝のようなものを編集したものではないかと考えています。」
…そーせーきのくでんをへんしゅうしたものですか。
うん、よくわかんないや。
「簡単に言ってしまえば…昔話をまとめたものでしょうか。」
「ふーん。あれ、これって〈魔法語〉…ともちょっと違うのかな…?」
シャルテさんが開いた本の中には、〈魔法語〉とよく似た感じの文が並んでる。
けど、同じようなところもあれば、全然違うところもある。
「これは〈古代語〉です。
神々が人族に与えたと言われる原初の言葉だと言われています。」
「んー…読めそうで読めないような感じです…」
「大丈夫です。」と言って笑顔になるシャルテさん。
パラパラとページをめくっていって、あるところで止まった。
「それでは、お話していきますね。」
「は、はひっ?!」
「すみません、説明不足でしたね。
ミアさんの代わりにわたしが読んで、内容をお話させていただくということです。」
ひー、何から何まですみません!
もう、体が縮こまっちゃうよ…
そんなあたしを見て、不思議そうなシャルテさん。
ほんとにすみません…
「コホン、では参りますね。
まず、魔法についてですが、もともとは神々が用いていたようです。
神々はその司るものを具現化するような力を持っていたと伝えられていますね。
わたしたち人族は、神々の争い…これは以前にお話しした、光の陣営と闇の陣営の争いのことですね、このときに、それぞれの神々から、与えられたと記されています。
光の陣営についた人族は黒色以外の、闇の陣営についた人族には白色以外の素質が与えられたようですね。
しかしこのときはまだ、人族の魔法はあまり強くなかったようです。」
「強く、ない?」
「ええ、詳しく記されているわけではないですが、1色ずつでしか使えなかったようですね。」
そういえば、2色以上が使えないと魔法士って呼ばれないんだっけ。
でも、どうしてそうなんだっけ…聞いたかな?聞いてなかったかな?
んー、覚えてないや。
「1色だと強くないんですか?」
「え…あ、ご存じありませんでしたか。
複数の色を合わせて行使することで、様々な力を行使することができるのですよ。
たとえばわたしの使える緑色は、風、奪うといった特性があります。
青色は水、守るといった特性があるのですが、この2色を合わせて行使することで、雷の力を扱えるようになるのです。」
「ほぇ…」
組み合わせによっていろんな力が使えるようになるから、色がたくさん使える人じゃないと魔法もたくさん使えないってことみたい。
でもあたしは1色だけだし…ちょっと残念かも。
「あらまあ…そんなことはないと思いますよ。
白色はもとから多くの特性があるので、魔法もたくさんあるようですし。
さて、すこし話が逸れてしまいましたね。
実はこの後、素質を持った者同士が結ばれることで、複数の素質を持つ者や、逆に素質を失ってしまう者なども生まれてきたということです。」
「あ、それで今は…」
「そういうことでしょうね。
ただ、その力が大きく開花するのは、悪魔との闘いで、悪魔たちが行使する力を同じように使うことで対抗しようとしたから、ということです。」
ふーん…何だかすごいお話だよね。
神さまや悪魔が魔法に関係してたんだ。
「さて、非常に簡単な説明で申し訳ないですが、これで魔法の始まりに関することは少しわかっていただけましたか?」
「はい、ありがとーございます。」
「そうですか、わざわざ来ていただいた甲斐がありました。」
う…元はと言えばあたしが急に聞きに行っただけで、シャルテさんは好意で調べてくれただけなのに。
どっちかっていうと、あたしが自分で探さなきゃいけないようなことなのに。
ほんとにお世話になりまくりです…
「あら、どうなさいました?
急に元気が…立ちっぱなしで疲れさせてしまったでしょうか…」
「いえ、そんなこと!
あの…ほんとにありがとーございます。
お忙しいのにこんなに協力していただいて。」
「そういっていただけるだけで十分ですよ。
それにわたしは本が大好きですから、ミアさんのおかげでわたしも楽しかったですよ。
だって…」
そういってたくさんの本たちを振りかえり、「こんなにたくさんの本、何か目的がなければどんな風に呼んだらいいかなんてわかりませんから。」って楽しそうに言うシャルテさんは、ほんとに本が好きなんだなってあたしにも感じられた。
さすがにお世話になりっぱなしだし、何かできることがあればって思って、「あの…何かお礼を…」ってあたしが言いかけたところで、トラブル発生…
「わたしが好きでさせていただいたことですから、お礼なんて…
と思ったのですが…
先日使ったばかりの[光水晶]を持ってきてしまったみたいですね…
できれば…明かりをいただけますか?」
真っ暗で見えないけれど、きっとシャルテさんは少し困った顔で笑ってたに違いない。
何だかそんな感じがしたから。
あたしは、発動体に手をかざし、感謝の気持ちを込めて唱えた。
「〈礎となりし片割れ、我が手に輝け…《光》〉!」
「よかった。一応、造りは覚えているのですが…ここ、手探りで戻るのはなかなか大変なんですよ。」
あはは…あたし、白色魔法が使えてほんとによかった…
たまに投稿が遅くなってしまうこともありますが、いつもお付き合いいただきありがとうございます。
毎日、たくさんの方が見てくださっていて、PVが6000を越え、ユニークも1000を越えることができました。
できる限り、こまめな更新を続けていきたいと思っています。
今後ともミアちゃんともどもよろしくおねがいします。