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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
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45 お外に行ってみる

今日はアリサさんが都合が悪いので、魔法の授業はお休みなの。

っていうか、お仕事みたいでフェリックスさんたちと朝一番で出ていっちゃった。

明後日には戻れるっていってたけど、今日と明日は予定が空いちゃった。

ちょっと残念だけど、昨日も一昨日も、ほとんど宿からでなかったし、「ちょっとくらいお日様を浴びてきなさい。」っていうマリーさんの勧めもあって、今日の午後はお出かけすることになった。


とりあえず、いろいろな報告も兼ねて、ユーリさんとこに遊びに来たんだけど、扉がしっかりしまってる。

あ、扉にプレートがかかってる。

『採集に行っています

       本日休業』

あぅ、残念…だけどしょうがないよね。

また街の外にも行ってみたいけど、何か出たら戦えないし、見回り強化期間でもないとムリだよね。


「川まで行ってみようかな。」


って口に出して言ってみる。

返事を期待したわけじゃなかったけど、返事が返ってきてびっくりした。


「にゃー。」

「ひぇっ!

 …何だ、ネコくんかー。

 びっくりしちゃったよ。」


しゃがんでのどのとこをこしょこしょすると、目を細めて気持ちよさそう。

これはネコくんとお散歩決定かな?


「一緒に行く?」

「にゃー。」


歩き出すとついてくるから、たぶん一緒に来てくれるんだよね。

大通りに出て、広場を目指して歩いてく。

今日もとっても天気がいいから、ちょっと暑いかな。

広場にはいくつか屋台も出てたけど、その中で果物売りがあった。


「そーだ、何か買っていこっと。」


あ、でも屋台のは、もうカットしてあるんだよね。

川まで持っていくのは大変かな。

市場なら、何かいいもの見つかるかも。

ってことで、急きょ市場に寄り道決定!


市場は広場よりもちょっと戻ったとこにあるから遠回りになっちゃうけど、まだまだ時間も大丈夫だし。

宿からの注文を聞いてもらってるお店を目指して歩いてく。

市場は色んなものが見られるから、歩くだけでも楽しいんだ。

そうこうしてるうちに、お店に到着。


「こんにちはー。」

「はい、いらっしゃい。

 あぁ、白枝さんとこかい。

 今日は何だい?」

「今日は宿の注文じゃないんです。」

「はぁ、どういうこったい?」

「川まで遊びに行こうと思って、おやつを買いにきました。」

「ははは、そういうことかい。

 じゃあ、何にする?」


って言われても、実はあんまりわかんない。

でもだいじょぶ。

クルトさんもいつも言ってるもん。


「今日のお勧めをっ!」

「何でぇ、旦那にそっくりじゃねえか、はっはっは。

 よし、じゃぁこいつだ。」


おじさんがさしたのは、握った手よりふたまわりくらい小さな、濃い赤色の果物。

1つのかごに7個か8個くらい盛ってあるけど、そんなにいらないかも…


「皮をむかなくても食べられるし、瑞々しくて、甘酸っぱくていいぞ。

 ま、ちょっと種がでかいけどな。」

「うー、でもそんなに食べれない…」

「あぁ、バラでかまわねぇよ。

 いくつ欲しい?」


2つくらいなら食べれるよね。

あ、でもネコくんも食べるかな?

ネコくんを見ると、赤い果物をじっと見てる。

うん、食べるかもしれないね。


「じゃ、3つでお願いしますー。」

「あいよ。銀貨1枚と半だ。」


服の中を探って小袋おさいふを取りだす。

前の一件で、しっかり隠しとかなきゃダメってわかったからね。

1枚銀貨と、銅貨5枚をおじさんに渡して、果物をもらった。

手に持ってるのもなんだし、エプロンのポケットに入れとこ。


「ありがとーです。」

「毎度あり、川に行くんなら、川の水で冷やしてやるのもありかもな。」

「はーい。」


市場からだと、川までのいちばん近い道はちょっと細い道を抜けてくことになる。

でも、川に行くなら迷うことはないから、そのまま行っちゃおう。

この辺りはお家ばっかり。

お庭とかがないとこが多いから、家の間に張ったロープに洗濯物が干してあったりして、宿のあたりとはちょっと雰囲気が違うかな。

あたしよりも小さな子たちが、細い道で追っかけっこしたりしてる。


そこを抜けると一気に開けて川に出る。

川は街の東の方に向かって流れてるから、お洗濯とかで使いたい人は、東の方の決まった場所だけでやることになってる。

だから、西側の方はお水がきれいなんだよね。

今日はちょっと暑いから、水浴びしてる子たちとかもいるけど。

あたしもちょっと足つけてみようかな。

靴を脱いで、川に足をつけると、冷たい川の水が足にしみこんできそう。


「んー、気持ちいいー♪」


ネコくんは、あんまり水が好きじゃないのかな。あたしの後ろで丸くなってる。

こんなに冷たくて気持ちいいのにね。

果物も冷やしちゃおうと思ったんだけど、よく考えたら流されちゃうよね。

袋とかあったらよかったんだけど…

ま、そのままでもいっか。

ガブリッとかじりつくと、口の中に甘酸っぱい汁があふれてとってもおいしい。

ちょっとぬるいけど。

1つをネコくんに差し出してみる。


「食べる?」


ネコくん、果物をつついたり匂いを嗅いだりしてるけど、食べようとはしない。

あ、もしかしておっきすぎるのかな…?

あたしのかじった後なら、ちょっと食べやすいかも。

ということで、かじりかけのをネコくんに差し出すと、端っこをぺろり。

そして…ぷいってした!

こんなにおいしいのに…


結局、3つとも食べちゃったあたしは、ちょっと食べすぎ状態で宿のお手伝いに戻ることになりました。

おいしかったんだよ?ほんとに…



ちょっと魔法関係お休み。


出てきた果物のイメージはプラムです。

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