40 白色のプレゼント
「ミア、ちょっと来てくれるかい?」
お昼が終わった後、食堂の方でクルトさんがあたしのことを呼んでる。
クルトさんもマリーさんも先にご飯をすませて、食堂の方で何かしてたんだけど。
ごちそうさまして、食器を水場に持っていってから食堂にいくと、テーブルでマリーさんとクルトさん、そしてアリサさんが待ってた。
「座ってくれるかな。」
「はい。」
何だろ…
何かあったのかな…?
クルトさんとマリーさんが並んで座ってるから、向かいのアリサさんの隣のイスに座ることにした。
んー、いつもみたいなお話じゃなさそう…?
って思ってたら、アリサさんがイスごとあたしの方に向いた。
「ミアちゃん、あたしに魔法を習ってみる気はないですかー?」
「……ナラウ?」
ナラウって、習うだよね…魔法を?
あ、そっか、アリサさんは白色魔法が使える治療師さんだっけ。
でも急に…?
「ミア、大丈夫?」
「は、はひっ?!」
「落ち着いて、そんなに固まらないでね。」
「はい…、だいじょぶです。」
「ま、急に何でって思ったかもしれないけど、ミアがやってみたいなら、どうかなって。」
「でも、でも…宿のお手伝いもしたいから、習ってる時間は…」
魔法に興味がないかって言ったら、そんなことない。
使えたときはびっくりしたし、ちょっと嬉しかったもん。
けど、今一番やりたいのは、宿のお手伝い。
マリーさんと、クルトさんと一緒にがんばりたいから。
「ミアちゃん、実はですねー。
わたしの考えなんですけど、ギルドで習うとかになるとー、時間がかかっちゃいますよねー。
でも、ミアちゃんは魔法がもう使えるみたいですしー、そんなに時間をかけずにー、少し使えるものを増やせるんじゃないかって思ってますー。」
「そう…なんですか?」
「やってみなくちゃー、わかりませんー。
だからー、試してみませんかー?」
んー、もし休憩時間とかにできるなら、やってみたいかも…
マリーさんたちの方を見ると、2人ともにっこりとうなずいてくれてる。
「それじゃ、休憩時間とかにちょっと…っていうのでもいけますか?」
「もちろんですよー。
わたしも、いつもできるとは限りませんのでー、お互いに時間が取れたときにー、やってみましょうー。」
「ありがとーございます!よろしくお願いします!」
何だかすごいことになってきたけど、わくわくもしてきた。
マリーさんとクルトさんも嬉しそう…っていうか何かほっとしてる感じもする…かな?
ちょっと気になったんだけど、あたしの前にアリサさんが布の包みを差し出してくれたから、考えるのそこで止まっちゃった。
「これは…?」
「うふふー、実は昨日のうちにー、買ってきてたんですよー。
無事、ミアちゃんにプレゼントできますー。」
包みを開けると、中からアリサさんのとよく似たペンダントが出てきた。
そう、白い石がついてるペンダント…
「これ、発動体…ですよね…?」
「はいー、そのとうりですー。
どんな形がいいかー、迷ったんですけどー…」
「あたしに…?」
「そうですよー。あ…もしかして別の形のほうがよかったですかー…?」
ちょっと困ったような顔でアリサさんに尋ねられたけど、首をぶんぶん横に振って違うって主張する!
「ありがとーございます。うれしいですっ!」
「喜んでもらえたならー、よかったですー。」
あれ、もしかしてマリーさんたちがほっとしてたのはこのプレゼントのことだったのかな…
きっとそういうことだよね。
「それではー、わたしもいろいろとー、準備をしておきますのでー。
よかったらー、明日の午後からー、始めましょうかー。」
「ふに…クルトさん、明日の午後って、だいじょぶですか?」
「ああ、問題ないと思うよ。」
「ありがとーです。それじゃアリサさん、明日からよろしくお願いします!」
「はいー。がんばりましょー!」
アリサさんが準備があるからって出かけた後、マリーさんとクルトさんと3人でちょっとお茶することになった。
今回のことはきっと、あたしのために2人がアリサさんにお願いしてくれたんだと思う。
ありがとーっていったけど、2人も「何のこと?」って笑ってるだけだったけど。
とにもかくにも、こうして、明日からあたしは魔法を習うことができるようになった。
いっぱいがんばって、いろんな魔法覚えたいな♪
もちろん、宿のお手伝いだってばっちりがんばるんだからね!