37 ちゃんと報告
ユーリさんとこから帰ったら、すぐに夕方の食堂の準備に入ることになっちゃったから、2人に報告することができなかったの。
食堂の片付けも終わって、いつものようにお茶の時間だし、ここで報告だよね。
クルトさんが淹れてくれたお茶は、甘い香りがする。
前にユーリさんが出してくれた、青紫色の実が入ったあのお茶を、クルトさんに紹介したら、すぐに注文してくれたみたい。
お茶をおぼんにのせて、クルトさんについて食堂に運んでいったら、マリーさんがテーブルの準備をしてくれてた。
「待たせてしまったかな?」
「ううん、大丈夫よ。クルトもミアもありがとう。」
「お茶ですー。」
カップを渡して、あたしもクルトさんも席に着いた。
前と同じ、甘い香りが立ち込めて、とってもいい感じ。
「ミアのお勧め、とってもいい香りがするわね。」
「うん、生で食べたときよりも、香りが強く出ている気がするね。」
えへへ、何だかほめられてるみたいで嬉しいな。
っと、報告しなきゃね。
「マリーさん、クルトさん、ちょっとお話しとかなきゃいけないことがあるの。」
「あら、何かしら?」
「えっとね、あんまり驚かずに聞いてほしいんだけど…」
んー…何て言ったらいいんだろ…?
…悩んでもダメだよね。
「あたしね、魔法が使えたの。」
「「……………」」
「あの、えと…マリーさん?クルトさん?」
「ミ、ミア、魔法が使えたって…どういうことよ?」
クルトさん、まだ固まってる…
やっぱりちゃんと順番に話さないとだめだよね。
薪割りしててケガしたときに魔法が使えたこと、身近で魔法が使えるユーリさんに相談したこと、ゼル先生が相談に乗ってくれたこと、順番に話してみた。
「そういえば、アリサもミアに素質があるって言ってたわね…ちょっとクルト、大丈夫?」
「ん、あ、あぁ…驚いてしまって…」
「それで、ミアはどうしたいの?」
「どうしたいって?」
「魔法、習ってみたい?」
「ん、別にいいです。使えなくても問題ないから。」
「そう、ミアがそう思うならわたしはそれでいいと思うわ。」
「私もミアの思う通りにすればいいと思うよ。もし、そのうち習いたいと思うなら習えばいいし。」
2人とも、あたしの気持ちを大事にしてくれてる。
その心づかいが、ほんとにあったかいなって思う。
「マリーさん、クルトさん…いつもあたしのこと考えてくれてほんとにありがとーです。」
「何?改まって…ミアはうちのだいじな家族みたいなものじゃない。」
「そうだよ。ミアががんばってくれているから、私たちもすごく助かってるし、毎日がとても楽しいんだよ。」
「はうぅ…」
そんなに言われると何だか恥ずかしくなるよー…
テーブルの上に突っ伏してたらなでなでされてる。
あったかくて気持ちいいな…
「ミーアー…寝ちゃだめよ?」
「はひっ!?」
「目を閉じて、今にも眠ってしまいそうだったね。
ちょっと子ネコのようだったよ。」
あたしが眠そうだったからかもしれないけど、今日はちょっと早めに切り上げることになった。
クルトさんは、片付けておくっていってくれたけど、たまにはあたしもやらなきゃね。
ってことで、2人には先に休んでもらって、あたしが片付けることにさせてもらったの。
「それじゃミア、よろしくね。」
「先に上がらせてもらうよ。おやすみ。」
「おやすみなさいー。」
2人を部屋に見送って、カップを洗っちゃう。
あとはひっくり返して置いておけばいいんだよね。
残ってるお水は一旦捨てるけど、お部屋に持っていく水差しに先に汲んでおかなきゃ。
残った水を流してしまって、戸締り確認。
ばっちり大丈夫だね。
食堂も、もう真っ暗で静まり返ってる。
ゆっくり階段を上って、静かに部屋へと向かって、服を着替えると、何だか眠気が…
今日は、魔法が使えることがしっかりわかったし、マリーさんとクルトさんにもちゃんと報告できたし、いろいろあったね。
しっかり休んで明日に備えなきゃね。
それじゃ、おやすみなさい…
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