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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
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35 ゼル先生の大予想 その1

今日はゼル先生との約束の日。

お昼の食堂営業のあとの休憩時間に、またユーリさんとこで会うことになってる。


「こんにちはー。」

「あ、ミアちゃん、いらっしゃい。

 先生はまだよ。」

「よかった、お待たせしてなくて。」


お茶を淹れてくるからと、ユーリさんが奥に行ったから、座って待たせてもらうことにした。

ぼーっと待ってると、入口からお客様。

先生かな?って思ったんだけど…知らない男の人だった。


「あれ、ユーリアさんはいない…?」

「えっと、今ちょっと奥に。たぶんすぐ来ます。」

「そうか、それじゃ待たせてもらうかな。」


きっとお店のお客様だよね。

ちょっとごっつい感じで、おひげがわさっと。

何となく…くまさん?

って見てたら、目が合っちゃった。


「君も、お茶を買いに来たのかい?それともハーブの方かな?」

「えと…ユーリさんとお話しに来ました。」

「なるほど、ユーリエさんのお友達か何かか。」


ふむふむ、とお髭を触りながら納得してくれた。

君も、っていうくらいだから、この人もお茶を買いに来てるのかな?


「ミアちゃんおまたせ~。

 あら、ランディさん、いらっしゃいませ。」

「すまないね、小さな先客さんがいらしたんだが、少し急ぎでね。」

「いいえ、大丈夫ですよ。

 ミアちゃん、ちょっとごめんね。お茶飲んで待ってて。」

「はーい。」


テーブルをちょっとわきに寄せて、先にお茶をいただくことにした。

ランディさんは、いつもここにお茶を注文に来てるみたいだけど、聞こえてくる話ではどこかのお屋敷で働いてるみたい。

いつもは大体決まった間隔で来てたみたいだけど、何か問題があって、お茶が足りなくなったのかぁ。

何か大変そう…

お話はすんなりまとまって、ランディさんは、茶葉を受け取ってそのまま帰ってった。


「ふぅ、おまたせ。」

「おつかれさまですー。」

「それにしても、先生遅いわね…何かあったのかしら?」

「ふみゅー…」


そういえばちょっと遅いかも…

だいじょぶかなって考えてたそのとき、ゼル先生が入ってきた。


「いや、お待たせしてしまってすみません。」

「いらっしゃいませ。もー、何かあったかと思ったわよ。」

「ゼル先生、こんにちはー。」

「あぁ、ミアさんもお待たせしてしまって申し訳ない。」

「こちらこそ無理を言っちゃってすみません。」


あたしとゼル先生はお辞儀合戦みたいになってる。


「でも先生にしては珍しいわよね。

 もしかして本当に何かあったの?」

「いえ、そういうわけではないのですが、少し寄りたいところがありまして。」


そう言って、椅子に座ったゼル先生は、改めてあたしの方を向いた。

そして、テーブルに1つのブレスレットを置いた。


「ユーリエくんから聞いたのですが、ミアさんは魔法を使えたということですね。」

「あ、は、はい。」

「それで、ここで試したときはうまくいかなかったと。」

「そうです。」

「では、これをつけてみてください。」


と、テーブルに置いたブレスレットをあたしの方に差し出してくれる。

よく見ると、ブレスレットには白い石がはまってた。

ユーリエさんがはっとして声を上げる。


「先生、これって白色用の発動体…ですか?」

「そのとおりです。」

「でもどうして先生がこれを?」

「実は…ギルドの知り合いに頼んで借りてきたのですよ。

 ユーリエくんの話を聞いて、発動体があれば魔法が使えるのではないかと思いまして。

 少し時間がかかってしまいましたが…」


あぅー、ゼル先生、すみません。迷惑掛けまくりです…


「さて、それでは試してみましょうか。」


そう言ってゼル先生は自分の袖をまくった。

あれ…ひじがすりむけてる…


「わざとではないのですが、丁度いいかと思いまして…」

「先生…タイミングよすぎるでしょ…」


ユーリさんの冷やかな一言が決まったところで、実際にブレスレットをつけて試してみることになった。

何となく左腕につけてみたんだけど、あたしにはちょっと大きめだった。

でも、発動体としては問題ないからっていうことで、さっそく実験。

ゼル先生のすりむいたひじに手を当てて、治そうとするイメージを持って…


「〈優しき光、包み込み、その傷を癒す助けとなれ…《負傷治癒ヒーリング》〉」


あの時と同じ感覚…体から何かが抜けるような感じがして、あたしの手がほんのり光りに包まれる。

そしてゼル先生のひじは、きれいに治った。


「あ、できた!」

「ふむ、間違いないですね。」

「ほんとにほんとなのね…」


あたしとユーリさんは割とびっくりした感じだったけど、ゼル先生は落ち着いていた。


「これは私の想像ですが、もしかすると、ミアさんが以前に魔法を使ったときは、その触っていたネコが発動体になるようなものを身につけていたか、もしくは体内に飲み込んでいたのかもしれません。」

「「えぇっ?!」」


ゼル先生の言葉に、あたしもユーリさんも思わず声をあげちゃった…

何か中途半端になってしまいましたが、次に続きます。

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