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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
34/130

33 できなかった?

実は今、ユーリさんのとこに来てるの。

魔法のことで誰かに相談しようと思ったんだけど、ゼル先生はユーリさんとこでしか会ったことなかったんだよね。

それに、マリーさんもクルトさんも魔法は使えないと思うし、頼れるのはユーリさんだけだったの。

お昼の食堂を閉めた後、ユーリさんとこに来て、朝あったことを話したんだけど。


「魔法が…使えたの?!」

「うん、指を切っちゃったんだけど、すぐに治せたの。」

「ん~…疑うわけじゃないけど、ちょっと見せてくれる?」

「うん、あ、でも…ケガしてなくてもできるのかな?」

「そこは問題ないと思うわ。」

「それじゃやってみるね。〈優しき光、包み込み、その傷を癒す助けとなれ…《負傷治癒ヒーリング》〉…」


朝と違って、ほわっとあったかくなる感覚も、何かが抜けていくような感覚もなかった。


「あ、あれ…?」

「…えっと、ミアちゃん。発動体はどこにあるのかしら…」


ハツドータイ…?そーいえばゼル先生もそんなこと言ってたよーな…


「さっきは何を使ってたの?」

「あたし、発動体なんか持ってないです…」

「へっ?」


そんなにびっくりされると、何だか変なことを言ってる気になってくる…

たぶん…変なこと言ってるんだろーけど…


「でもね…体から何かが抜けてくような感じがして、ケガしたとこがほわーってあったかくなって、治ったんだよ?」

「う~ん、その体から何か抜けてくような感じっていうのは、あたしが魔法を使ったときとたぶん同じなのよね。

 そのときは本当に魔法が使えたんだ…」

「うん…たぶん…そうだと思う…」


何だか自信がなくなってきた…

でもあれが夢ってことは…きっとないよね。

薪もちゃんとできてたし、最後の薪にはちょっと血がついてたし。


「白色の素質があるって言われてたんだし、もしかしたらなくした記憶にその手がかりがあるのかもしれないけど…

 あ、もしかしてその時何かに触ってたとかない?

 偶然、発動体に…なんてありえないわよね…」

「んー…ネコくんに触ってた。」

「ネコくん?」

「うん、仲良しの黒ネコくん。こないだ来た時にもついてきてた子だよ。」

「そういえば来てたわね…

 でも、ネコは発動体じゃないわね。」


くすくす笑いながら、「しかも黒かったしね。」って付け加えるユーリさん。

そっかぁ…ユーリさんのも、ゼル先生のも、使う魔法の色の石がついてたもんね。


「ん~、ごめん、お手上げ。あたしじゃわからないわ。」

「そーですかぁ。」

「また先生に連絡取ってみるから、先生が来れそうな日がわかったら白枝亭にも連絡入れるね。」

「あ…はい。ありがとーです!」


ちょっと先延ばしになったけど、ゼル先生なら何かわかるかもだよね。

ようやく気持ちが落ち着いたところで、ユーリさんが用意してくれたお茶をいただいた。


「あ、これ…」

「気が付いた?そう、ちょっと新しいの出してみたの。」

「すっごく甘い香りです。」

「さて、何の香りでしょう?」


えー?!急にそんなこと言われても…

あれ、ユーリさん、みょーに楽しそうだね?

んー…あ、でもこの香り、どこかで…


「ミアちゃんも知ってるはずよ。」

「うん…この香り知ってます。何だっけ…」

「そうね~、ヒントはお出かけ、かな?」


お出かけ…っていったら、こないだの連れてってもらったやつだよね。


「あっ!帰りに摘んだあの実?!」

「はい、せいか~い!

 乾燥させて、茶葉に混ぜてあるのよ。

 目の疲れとかもとれるみたいだから、本が大好きな先生みたいな人にもぴったりかなって。」

「ふぇ…こんなお薬なら飲むのも楽なのになぁ…」

「気に入ってもらえて何よりだわ。でも、お薬も必要なときはちゃんと飲まないとだめだからね。」

「はぅー…」



そのあとも、ユーリさんといろんな話をしてたんだけど、結構時間過ぎちゃった。

そろそろ帰らなきゃいけないね。


「ユーリさん、そろそろあたし帰るね。

 相談乗ってくれてありがとーです!」

「あら、そっか。それじゃ、先生の予定わかったらまた連絡するから。

 あ、それと…」


ちょっとユーリさんの表情が硬くなった気がした。


「魔法のことは、先生に相談するまであまり誰にも言わない方がいいかもしれないわ。」

「え…?」

「魔法のことでミアちゃんが変なことに巻き込まれたら嫌だし…

 先生ならきっとしっかり考えてくれるから。」

「うん…そうするね。」

「それともう1つ、もしまた魔法が使えたとしても、むやみに使わないこと。

 魔法使ったときに、何か抜けていくような感覚ってあったよね。

 あれって、体の中にあるマナなんだけど、限界超えちゃうと倒れるからね。

 慣れてくると、自分の限界も分かるようになるんだけど…ミアちゃんはきっとまだわからないから。」


倒れちゃうんだ…それ、怖いかも…

うん、気をつけなきゃ…!


「それじゃ、気を付けて帰ってね。

 またいつでも来てね。」

「はーい、おいしいお茶、ごちそうさまでした!」


笑顔で手を振るユーリさんに、あたしも笑顔で手を振ってお店を出た。

ちょっと長居しすぎちゃったかな?

急いで帰らなきゃ、夕方の食堂の準備が始まっちゃうね!

謎ばっかり転がしてる気がします…

早くちゃんとまとめなきゃ…


昨日はいつもより1時間遅れになっちゃってスミマセン…

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