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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
32/130

31 風邪

「うん、やっぱり熱があるわね…風邪かしら?」

「あぅー…」

「あとでユーリちゃんに来てもらうから、眠たくなくても目を閉じて横になってるのよ。」

「はいぃ…ごめんなさぃ…」

「大丈夫よ。さ、部屋に戻って休んでて。」


今朝、起きたら何だか体がすごくだるかった。

昨日もちょっと暑くて寝つけなかったし、寝不足なのかなって思ってた。

着替えて降りてったら、マリーさんが「ミア、どうしたの、顔真っ赤じゃない!」って。

そのままおでこに手をあてたマリーさんに促されて部屋に戻ってきたところ。


お手伝いできなくて迷惑かけるけど、このまま行っても役には立てないよね…

ちゃんと寝て治さなきゃ…

もっかい寝巻に着替えてベッドにもぐりこむ。

横になってても、体が何だか重たくなった気がする…










「…………ア、………ミア。」

「ほぇ…?」


まだ何かぼーっとしてるけど、声がする方を向いてみた。

マリー、さん…?

何だか声がぼんやりしてるし、まぶしくて見えないよ…


「封……乱れ…………な…、…憶を………せる……し………」


よく聞えないよ…

それに体が動かない…の…

マリーさん…!









「ごめんね、起こしちゃって…」

「あれ…マリー、さん…?」


あたしはベッドに寝てた。

隣りにマリーさんが座ってる。

おでこがちょっとひんやりしてた。


「大丈夫?タオル替えたとこだけど、ちょっと汗もかいちゃったみたいね。

 1回着替えた方がいいわ。いける?」

「ん…」


ベッドの上で体を起こすと、寝巻が体にぺっとりくっついてた。

ちょっと脱ぎにくくてもぞもぞしてたらマリーさんが手伝ってくれる。


「ありがとです。」

「ううん、ちょっと体拭いちゃうからじっとしててね。」


動けるほどの元気もなく、ぽーっとベッドの上に座ってたら、マリーさんが硬く絞ったタオルで体を拭いてくれる。

ちょっとくすぐったいけど、ぺとぺとしたのが拭ってもらえて、さっぱりする。


「はい、じゃこれ着てね。」

「うん…」


もぞもぞしながら、マリーさんに手伝ってもらって替えの寝間着に着換えることができた。


「それじゃ、もうちょっと寝てようね。ユーリちゃんももうすぐ来てくれると思うし。」

「ん…」


横になったら、マリーさんがお布団をかけてくれた。

そして、もっかい新しいタオルをおでこに乗っけてくれる。


「マリーさん…いそがしいときにごめんなさい…」

「ミア、気にしすぎよ。それに、あたしたちこそ、気付かなくてごめんね。」

「ううん、そんなことない…そんなことないよぅ…」


そっと手を握ってくれたマリーさん。

ほっとした瞬間、涙が出てきて止まらなくなった。


「うー…っくぅ……うぅー…」

「よしよし…もう少し休もうね。

 しばらくはここにいるから、心配しないで。」

「う…ん……ひっく…」


マリーさんがお布団の上から、ぽんぽんって叩いてくれてるのが心地よくて、少しずつ涙も落ち着いてきた。

目を閉じても、マリーさんがずっといてくれるのがわかるから、とっても安心できる…










あれ…何かいる…

黒い…人影…?

いつの間にか周りに何人も…

見られてる…気がする…

どうしていつも…


「…アちゃ…、…アちゃん、ミアちゃん…」










「大丈夫?うなされてたみたいだけど…」

「はれ…ユーリさん?」


夢…っか。

心配そうにのぞきこむユーリさんに、何とか笑顔で答えた。んだけど…


「無理しないの。ちょっと確認させてね。」


そういって、おでこや首をさわったり、口の中を見られたり…

一通り終わったところで、カバンの中からいくつかの包みを取り出してる。


「お薬、持ってきてるから。飲めそう?」

「ん、だいじょぶだと思いま…ふぃ」


体を起こそうとしたらふらっとして、起きれなかった。


「急に動いちゃだめよ。ちょっと下で煎じてくるから待っててね。」


そういって、ユーリさんがパタパタと走っていった。

いつのまにか寝ちゃってたんだね…

何かやな夢見たような気がするけど、さっきよりちょっとは楽になってる…気がするかな…?


少し待ってると、すぐにユーリさんがマリーさんと一緒に戻ってきた。

ユーリさんはカップを持ってきてる。

きっとお薬だよね。


「はい、じゃこれ飲んでね。

 むせないように注意してね。」


カップの中身は、黒っぽくて、何か不思議な香りがした。

こく。

一口飲んだら…


「うー…」

「がんばって、ミアちゃん。」


とっても苦い…

鼻をつまんで一気に飲み込んだけど…苦いのが口の中に残ってるよぅ…


「はい、ミア。」

「うー?」


マリーさんが続けてカップを渡してくれた。

今度は何だろ…?


「心配しなくても、ただのお水だから大丈夫よ。」


よっぽど変な顔しちゃったのか、マリーさんもユーリさんもちょっと笑ってた。

もらったお水で口をゆすぐように飲んだら、ちょっとにがにがも治まった。


「あとは寝てれば、夕方にはだいぶ落ち着くと思います。」

「ユーリちゃん、わざわざきてもらってごめんね。」

「そんな、マリーさんたちにはうちもお世話になってるし、ミアちゃんのためですから。」

「ユーリさん、ありがとー…」

「うん、さ、あとはしっかり寝てね。」

「はいー。」


もっかいベッドに横になったら、マリーさんがお布団をかけ直してくれた。

そして…あっという間に…









「にゃー。」


あれ…ネコくん、いつの間にここに…?

でも周りはぼんやりとしてる。

もしかして夢かな…

っていうか、何かネコくん、白く光ってない?

あの時の…魔法使ってるアリサさんみたいに…


じっとこっちを見ているネコくんの目を見てると、何か伝わってくる気がする。

早く元気になって、っていってるような…

何だか体が楽になっていく気がするよ…

ありがとー、ネコくん。

みんなが優しくしてくれたから、きっと明日は大丈夫だよね…?

風邪ってつらいですよね…

夏風邪は特にしんどいっていうけど。


ちょっとミアちゃんをいぢめてしまった気がする…(-_-;)

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