表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
31/130

30 はやおき

…………



ふぅ…

久しぶりにあの夢を見た。

白枝亭に来た当初は何度も見た夢。

最近はしばらく間が空いてたんだけど…


窓を開けるといつもよりずいぶん早く起きちゃったみたい。

あんまり気分も良くなかったし、朝の準備の前に、おさんぽに行くことにした。




着替えて外に出ると、空がほんのり明るくなりだすとこだった。

広場の北側にある、街中の川まで行っても大丈夫かな。

まだ静かな街の中を、てくてく歩いてく。

こんな時間でも、煙突から煙が上がってるところがある。

ここはパン屋さんだね。焼きたてのパンの匂いがお店の外までただよってくるね。


朝の広場は、昼間とは全然違って、とっても静か…

まだ鳥も起きてないのかな?

噴水の音がいつもよりも大きく聞こえる気がしちゃう。


「にゃー。」

「あれ、ネコくん。おはよー。」


噴水のとこにちょこんと座ってるネコくん。

何か待ち合わせてたみたい?

もう何だか当たり前のように、ついてきてくれるネコくんと一緒に、広場を越えて歩いてく。

こっち側は大きな通りがないから、ちょっと狭くなった道をどんどん進んでく。


川辺まで行くと、だいぶ空も明るくなってきてる。

そろそろお日様が昇ってきそうだね。

川に沿って歩くと、ちょっと涼しい気持ちになるね。

あ、人がいる。あの人もおさんぽかな?


ゆっくりしてたい気もするけれど、そろそろ戻らなきゃ朝の準備に間に合わないかな?

来た道をそのまま引き返してもいいけれど、ちょっと別の道を通ってみようかな?


「にゃん。」


いつの間にかあたしの前に出てたネコくんが、こっちを振り返って鳴いた。

何だかついて来いって言ってるみたい?

小走りのネコくんを追っかけて、通ったことのないちょっと細い道をてくてくてく。

まわりのおうちの人も、起きてる人が増えてきてるね。

煙突から煙が出てたり、声が聞こえたり。

だんだん街が、起きていくみたい!


ネコくんに連れられて、細い道を抜けた先は、広場よりも宿に近い大通り。

こんな風に抜けることもできるんだね。

ちょうど昇り始めたお日様を背中に感じる。

ネコくんもあたしも、とっても長い影をつくってる。

ここから宿まであと少し。

ちょっぴり駆け足。ネコくんと勝負!


って思ったんだけど、ネコくんはあっという間に先に行ってしまった。

足、速すぎるよー。バイバイもしてないのに…

宿に着いたけど、表の玄関はまだきっと鍵がかかってるから、裏に回ってお勝手に。


カチャ。


中に入るとクルトさんがもう準備を始めてる。


「クルトさん、おはよーございます。」

「あれ、ミア、どこかいってたのかい?」

「ちょっと早起きしたからおさんぽにいってきました。

 気持ちよかったです!」

「ははは、元気いっぱいだね。それじゃマリーも待ってるだろうし、今日も準備の方、しっかり頼むよ。」

「はーい!」


食堂に入ると、厨房から入ったあたしに、マリーさんがちょっとびっくりしてる。


「マリーさん、おはよーございます。えへへ。」

「もう、今日はちょっとお寝坊さんかなって思ってたら、そっちから来るなんて。」

「ちょっとおさんぽ行ってたんです。」

「そう、何だかとっても楽しそうね。」

「とっても気持ちよかったです!さぁ、がんばるぞー!」


起きたときは何だかちょっといまいちな気分だったけど、おさんぽのおかげでとっても元気。

いつもよりがんばれそうな気がするね!



食堂の準備もばっちりになったころ、お泊りのお客様たちが降りてきた。


「おはよーございます!すぐにご用意しますね!」

「お、ミアちゃん今日も元気だねー。何だかこっちまで元気になるよ。

 それじゃよろしく頼むよ。」

「かしこまりましたー!」


お客様にも喜んでもらえたし、また早起きしたらおさんぽ行こうかな♪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ