29 魔法が知りたいの その2
「ただ、問題がありまして…ギルドに入るには会費を納めなければいけません。これが結構高額なのです。
もしくは特待生として受け入れてもらう方法もありますが、この場合、高い素質はもちろん、知識もしっかりしていないとその試験に通ることは難しいですね。
魔法を使う場合、〈魔法語〉の読み書き、正しい発音も必須ですので、まずはそこから勉強していくことになるでしょう。」
ってことは…お金持ちになるか、すっごく勉強するかしか方法がないってこと…?
どっちも無理っぽいです…
「あたしは〈魔法語〉完璧じゃないけどね。使うものが限られてるし。」
「ユーリエくんのように、1色であればそれでもいいのですが、限られてるとはいえ、簡単にできることではありません。ユーリエくんは私が教えている中でも、非常にまじめな生徒でしたよ。」
「先生ったら、おだてたって何も出ないわよ?」
ユーリさん、口調はきつめだけどちょっと照れてますね?うふふ。
…あれ?もしかしてゼル先生に習ったらダメなのかな?
宿のお手伝いしながら何とかならないかな?
「残念ですが、私は青と緑の魔法しか教えることができないのです。
ですから、ミアさんが魔法を使いたいならば、ギルドに所属するか、治療師の方に直接習うか、になりますね。」
「治療師で暇してる人なんてほとんどいないわね…
教えてもらうって言ったらやっぱりギルドの治療師になるかしら。」
「そっかぁ…」
「ただ、〈魔法語〉だけなら、私が教えることは可能ですよ。これには色は関係ありませんから。」
そういって、ゼル先生は持ってきていた本を開こうとしたとき、足もとから黒い塊があたしの膝の上に飛び乗ってきた。
「にゃー。」
「あれ、ネコくんも入ってたんだ?」
「この子、ミアちゃんのお友達?」
「んー、そんな感じ、かな?」
あたしの上に乗ったネコくんは、ゼル先生が開いた本を見てる。
まさかネコくんが読めるわけないよねー…
「はれ?…これが〈魔法語〉ですか?」
「ええ、そうですが…?」
あんまりにもすっとんきょうな声を出しちゃったからなのかな。
ゼル先生が不思議そうに尋ねてくるし、ユーリさんも同じような顔してる。
でも、それくらいびっくりしたんだもん。だって…
「あたし、これ読めます…」
「「えぇっ?!」」
ゼル先生とユーリさんが全く同じ反応をした…。見事なハモりです!
「だってミアちゃん、これ全部〈魔法語〉なのよ?」
「よくわかんないけど、知ってるみたい…?」
2人ともまだ信じられないみたいだけど、ネコくんはじっとこっちを見て何か言いたそう。
んー、あ、読んであげればいいってこと?
なんて思ったらタイミングよくネコくんが両目をぱちっとつむったから、ちょっとおかしかった。
でも、読めば分かってもらえるよね?
「えっと、〈ははなるあおきうみやさしくつつみまもりとなれ〉?」
「読めて…ますね。たしかに…意味は取れてないようですが大したものです。
意味を理解して読むことができれば、魔法を使うこともそんなに難しくないかもしれませんね。」
「意味を理解したら魔法が使えるの?!」
思わず立ちあがっちゃったらネコくんがぴょんと跳びおりて、そのまま逃げちゃった。
…ごめんね。驚かせちゃって…
「まぁ、ミアさんは白色の素質があるようなので、私の本では勉強できませんね。
私は青と緑しか使えませんから。
あとは魔法の発動体が必要ですね。」
「発動体…?」
例えば…と言いながら、ゼル先生は短杖を取り出した。
先っぽに青い石と緑の石がはまってて、何かかわいい感じ。
「私の場合は、青と緑を使いますので、それに合った発動体を持っているわけです。
ですから、ユーリエくんなら…」
「このペンダントね。」
そういって胸元の石を見せてくれた。もちろん青い石。ユーリさんは青色魔法が使えるんだもんね。
アリサさんも、魔法使うとき、ペンダント握ってたよね。
「あれ、そーいえばアリサさん、〈魔法語〉使ってなかった気がする…」
「魔法に慣れてくると、詠唱しなくても発動することが可能になるのですよ。
もちろん、意識として、詠唱と同じように〈魔法語〉を連ねることは必要ですし、その魔法の核となる名前は、声に出さなければ発動しませんね。
先ほどミアさんが読んだものは、《保護》という魔法の詠唱です。
ただ、詠唱なしになると、発動が非常に早くなるので、非常に有用でしょうね。」
「そっかぁ…」
アリサさんは魔法に慣れてるってことなのね。
でも、今のままじゃ魔法習うのは無理かなぁ…
アリサさんがいたら教えてもらえるのかな?
今度来てくれたときに聞いてみようかな♪
今回も説明っぽいです。
ややこしくてごめんなさい。
筆者の頭も、うにうにになりそうです…