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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
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22 しばしのお別れ

お昼ご飯を食べ終わっても、マリーさんたちは帰ってこなかった。

お出かけしようかとも思ったんだけど、フェリックスさんたちの伝言もあるし、宿にいることにした。

でも、せっかく時間があるから、何かしよう♪

そだね…壁のランプって、普段あんまり磨く時間ないよね?

食堂の壁にかかってるランプくらいは…


背伸びしても…届かない…

どーせちっちゃいもん…



はぁ…せっかくいい案だったのになぁ。

あ、でもイスに立てばいけるかな。



イスを運びながら、アリサさんがあたしも魔法の素質があるって言ってたことを思い出した。

背が高くなる魔法とかないかなぁ…

そもそも魔法ってどうやって使えるようになるんだろ?

アリサさんに聞けばいいかな?あ、でもしばらく出かけちゃうんだよね…

ユーリさんならだいじょうぶかな?今度行ったとき聞いてみようかな…



カランカラン

扉のベルが鳴って、マリーさんとクルトさんが入ってきた。


「ミア、ただいま。…って、何で壁際で座ってるの…」


…マリーさん、固まっちゃった。クルトさんも、口開いてるし。

あたしも何でイスを置いて座ってたかなんて説明はできないよ…?

ランプとるためだったのに何で座ったんだろ…



気を取り直して、伝言を伝えないとね。


「お昼くらいにフェリックスさんたちが来たよ。

 お出かけしてるって言ったら、夕方にまた来ますって。」

「ふぅん、何かあったのかしら?」

「しばらくお出かけするって言ってたよ。」

「そっか。まぁ、あの子たちが来てからまた聞きますか。」


そういって、イスを2つ引いて、クルトさんも一緒に座る。


「ミアにもちょっとお話ね。」


あたしも壁際に座ってたイスと一緒にテーブルまで移動して、お話体勢に入った。


「今度から、ギルド業務も一部請け負うことができるようになったの。

 だから、お客さんが増えるかもしれないのよ。」

「業務って?」

「各種申請や、依頼の紹介なんかができるようになったんだよ。

 まぁ、基本的にややこしいことはマリーか私がやるから、ミアは今まで通りがんばってもらえれば助かるんだけど。」

「そうね。いろいろ新しいこと聞かれるかもしれないけど、わたしたちに回してくれればいいからね。」

「うん、がんばるね!」


あんまりよくわかんなかったけど、お客様が増えるのはいいことだよね。

よっし、がんばるぞっ!



そのあと、いつものように夜に向けての準備をしてたんだけど、フェリックスさんたちがまた来たから、クルトさんも厨房から出てきて、一旦みんなで食堂に集まったの。


「マリーさん、クルトさん、今度新しく一緒にやってくレックスってんだ。」

「は、はじめまして、自分はレックスといいます!今後ともよろしくお願いします!」

「レックス、緊張しすぎだろ…」

「で、でもあの『白の舞姫プリマ・ホワイト』っすよ?」


昼間よりも緊張してるのがよくわかるレックスさん。マリーさんに緊張してるみたいよね?

クルトさんは笑ってるけど、…あれ?マリーさん真っ赤っか…?


「そ、その話はもう終わり!いつまで古い話をもちだすの禁止!」

「でもー、古いだなんてー、とんでもないですよー。」


マリーさんの叫びに、アリサさんが返す。エリカさんも、うんうんと首を縦に振ってる。


「マリーさんって、すごい人?」


思わず出ちゃったあたしの質問に、一瞬シーンってなったあと、みんながニヤニヤした。

あ、マリーさんだけ怖い…


「そりゃまぁ…」

「リック…わかってるわね?」

「別にそれくらいいいんじゃ…ミアちゃん、マリーさんはすごくいい人だよ。」


フェリックスさん、棒読みだよ…あれ、アリサさんも、エリカさんも、レックスさんも固まってる。

クルトさんは笑ってるけど。


「クルトも、もういいでしょー…」


…マリーさん、あいかわらず真っ赤っか。

…フェリックスさんたち、固まりっぱなし。

クルトさんの方を見ると、人差し指を口にあてて、シーってしてる。

やっぱり聞いちゃだめなのかな。



何かちょっと変な雰囲気になったから別の話を振ってみようかな…


「んー、あ、そーだ。フェリックスさんたち、お出かけってどこいくの?」

「あ、あぁ。そうだった。俺たち、しばらくタレイアから出ることになったんだよ。

 んで、マリーさんとクルトさんにあいさつに来たってわけで…」


あ、やっとマリーさんが普通になってきた。


「それで、今度はどこまでいくの?」

「ハルナソスまで商隊の護衛と、そこで別件がありそうなんだよなー。呼び出し食らったから。」

「ふぅん、王都かぁ…。ま、気を付けて行ってくるんだよ。

 帰ってきたらまた顔を出しに来てちょうだい。」

「わかってるって。んじゃ、俺たち、打ち合わせもあるから、そろそろ行くわ。」


そういってフェリックスさんたちは席を立った。

お見送りに行こうとしたら、夜の準備もあるだろうし、いいよって言ってくれたんだけど、マリーさんもクルトさんもお見送りする気満々みたいだし、あたしも玄関までついてく。


「それじゃ、気を付けてね。」

「ヘマするんじゃないよ?」

「またお話聞かせてくださいねー。」


3人で手を振ったら、フェリックスさんたちも元気に手を振ってくれた。

次に会えるのはいつかな?



「さて、それじゃ夜の準備しますか!」

「そうだね。」

「はい!」


今日もいっぱいお客様来るかな♪

タレイアは、この街の名前です。

ハルナソスはこの国の王都の名前ですね。


それにしてもマリーさんってば…

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