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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
22/130

21 眠らされた翌日

今日はちょっと朝から不機嫌なあたし。

原因は目の前にある、かわいい子。





朝、気がついたら、マリーさんに起こされてたの。

あたし、床で寝て…倒れてたみたい。

左のほっぺに、床の形がくっきりと残ってて、マリーさんが苦笑してた。

ぼーっとした頭で、こんなことになった原因を思い出そうとしたんだけど。

ふと眼をやると、あたしのベッドに黒いネコ…



食堂の準備をしながら、マリーさんに昨日の晩のことを思い出しながらしゃべってた。

のどがかわいてお水を飲もうとしたこと。

水差しに汲むのを忘れてたこと。

厨房のかめにもみずがなかったこと。(これ、実は毎朝新しい水をクルトさんが汲んできてたんだって。)

外に汲みに行ったこと。

そして部屋に戻ってお水を飲んだこと。

ここまではわりとはっきり覚えてたんだけど…


「そのあと、よく覚えてないの…」

「いるはずのないネコくんに、びっくりしたのかしらね…

 それにしても、好かれてるわねぇ。」


ふふっと笑いながらマリーさんがそういったけど、あのネコくんのせいで一晩床で寝てしまったのなら、何か悔しい気がする…





朝のご飯時間も終わって、今日はマリーさんとクルトさんが2人で出かけてる。

何でも、冒険者ギルドからの依頼を、うちの宿でも扱えるようになるっていうことみたい。

よくわかんないけど…

あたしはお留守番。

お昼もあたし1人じゃ何もできないから、今日はお昼の食堂はお休みになってる。

休みでいいよって言われたんだけど…



誰もいない食堂で、なぜか黒ネコと一緒にいるあたし。

外したエプロンにじゃれついて遊んでるのを見ると、かわいいなって思う。

アルくんとメリーちゃんの迷子事件のときには、この子がいなきゃあたしは2人に会うこともできなかったし。

でもやっぱり…


「昨日のはひどいよねぇ…」


ぽつり、と呟いても、返事をしてくれる人は誰もいない。

マリーさんは、このネコくんの関わった話を全部わかった上で、

「そんなになついてるなら飼ってもいいんじゃない?」

って言ってくれた(昨日のことも含めていいっていうのは何だかなんだけど)けど、あたしは迷ってる。

ネコを、っていうか生き物を飼ったことはない(少なくともオボエテナイ…)あたしでも、飼うのは大変だろうって想像はできる。

ましてやここはお客様もくる冒険者の宿で、あたしは置いてもらってるだけなんだもんね。



あたしがそんなに悩んでることを知ってか知らずか、ネコくんはいつのまにかエプロンにじゃれつくのをやめて、エプロンにくるまって寝てた。


「もー、キミのことを考えてるのにぃ。」


ふぅ、そろそろお昼だよね。ちょっとお腹すいてきたし、ご飯にしよう♪

ネコくんは寝てるみたいだし、このままでも大丈夫だよね。



厨房に行くと、朝のついでにクルトさんがつくってくれたトマトのスープと、薄く焼いたパンがあった。

温めて、っていってたけど、1人分だし、火を起こすのももったいないからいいや。

…ちゃんと1人でも火は起こせるんだからね?

そのとき。

コンコン。

表の玄関をノックする音が聞こえた。


「はーい?ちょっと待ってくださいねー!」


おっきな声で返事をして玄関に急ぐ。

あ、ネコくんがびくっとした。

扉を開けると、フェリックスさんたちがいた。


「よ、ミアちゃん。マリーさんたちうわぉっ!」


急に叫んだフェリックスさんにびっくりしてると、駆けていくネコくん…逃げた?!

ま、いいよね…本人(?)の意思だし…


「びっくりした…わりぃ、逃がしちまった?」

「ううん、いいです。それよりどしたんですか?」

「あぁ、ちょっと挨拶にね。しばらく出かけることになったから。」

「にぅ…マリーさんとクルトさん、今日、冒険者ギルドにお出かけなんです。」

「あれ、そうなんだ。俺たちもさっきまで行ってたのになぁ。」


振りかえった先で、アリサさんとエリカさんと…もう1人男の人が…誰だろ?

あたしの視線に気づいたのか、フェリックスさんが紹介してくれた。


「新しく一緒にやってくことになった、レックスだよ。

 レックス、この子はミアちゃん。ここのお手伝いな。」

「どうも、レックスっす。新しく『白を継ぐもの』に入れてもらったっす。」

「は、はぃぃぃ…」


手を取られてぶんぶんと握手されたもんだから、あたし目が回っちゃう…


「レックスくん、ミアちゃんがふらふらですよー。」

「はっ、申し訳ないっす!」

「だ、だいじょぶです…」


アリサさんが助け舟出してくれてよかった…。


「しょうがない、夕方出直すわ。マリーさんとクルトさんによろしく伝えといてな。」

「はい、わかりました。」

「それではー、ミアちゃんまたですー」


アリサさんが手を振ってる後ろで、エリカさんも手を振ってくれてた。

あたしも手を振って返す。

しばらく出かけるってことは、旅に出るのかなぁ。楽しいかなぁ?

また夕方くるみたいだし、どこに行くのか教えてもらおっかな。



と、そうだ。ご飯の準備中だったんだ。

…ネコくんはどこにいったんだろ?でもまたすぐに会える気もする、ね。

昨日の続きです。

ネタばらし?ばればれでしたよね^_^;

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