18 はじめてのお出かけ その1
いよいよお出かけの日がやってきた。
っていっても、朝は忙しいのでいつも通りお手伝いをして、ちょっとゆっくり出発の予定。
片付けも一段落したから、部屋に戻って服を着替える。
下に降りて行くと、ユーリさんがもう来てて、マリーさんと何かしゃべってた。
「あ、ミア。準備できたのね。」
「ミアちゃん、おはよー。」
「おはよーございます!」
「いい天気でよかったね。」
そういえばそうだよね、雨なんか降ってたら、お出かけできなかったんだ…。
そんなこと全然考えてなかったや…。
「よかった。間に合ったようだね。」
クルトさんが厨房から、バスケットと布の包みを持って出てきた。
「これは、お弁当だよ。今の時間からだとお昼をまたぐだろうしね。」
「クルトさん、ありがと!」
「ミアがお世話になるし、これくらいはね。
ちゃんとミアにも背負えるようにしておいたから。それと、ミア、これも。」
そういって布の包みを開けると、中から出てきたのはナイフだった。
「外では何かと役に立つかもしれないから、持って行きなさい。」
「は、はいぃ…」
「ちゃんと研ぎ直してもらってるから、特に問題ないと思うけど、ケガには注意するんだよ。
それじゃユーリアちゃん、ミアを頼んだよ。」
「2人とも、気をつけてね。ユーリ、今日はうちで夕ご飯用意しとくから。」
「ありがと、マリーさん!それじゃ行きますか。」
「は、はいっ。お願いします!」
マリーさんは、腰に短めの剣を差して、かごを背負ってた。
あたしもお弁当のバスケットを背負う。ひもの長さぴったり♪
「行ってきまーす!」
マリーさんとクルトさんに見送られて、あたしたちはいよいよ出発!
まずは門に向って通りを歩いて行く。
「ミアちゃん、荷物重くない?」
「あ、はい、だいじょうぶです。」
「そう、途中で疲れたらすぐに言ってね。」
「はいっ。」
「ま、街を出てもしばらくは平坦だから大丈夫かな。」
お話しながら歩いて行くうちに、門までたどり着いた。
よく考えたら、あの日、外から来た時以来の門、なんだよね。
前の記憶あんまりないけど…
ユーリさんが、衛兵さんとちょこっとお話して、外に出ることになった。
「ふっわぁ…広い…」
「あはは、そっか。初めてだもんね~。」
あたしがびっくりしてるのを見て、ユーリさんが楽しそうに笑う。
でも、ほんとに広いんだよ。木は生えてるけど、建物がないから、見通しがすごくいいの。
草が生えてる中を、大きな道がすーっとのびてる。
何だか吸いこまれるような感じがして、道へと足を進めようとしたら、ユーリさんに呼びとめられた。
「ミアちゃーん、勝手に行っちゃだめよ。」
「はぅ、ごめんなさい…」
「ま、今の時期ならいきなり危ないなんてことはないと思うけど、必ずあたしの後ろについててね。」
「はいっ。」
大きな道沿いを歩いていくと、途中で荷馬車の人達とすれ違ったりもする。
ユーリさんに聞くと、商人たちは基本的に大きな道を使っているみたい。
そのほかにも、旅をしている人たち、冒険者も移動には道を使ってるんだって。
たくさんの人が使えば、それだけ、危険も寄ってこないってことみたいだけど…。
そこそこ歩いてきたところで、ユーリさんが立ち止まる。
「ここからちょっと道を外れるから、一応足元注意ね。」
「一応?」
「ま、そんなにでこぼこもしてないから大丈夫だと思うけど…ね。」
ユーリさんについて歩いて行く。草もそんなに多くないし、とくに歩きにくいこともなかった。
途中、お花がたくさん咲いているところとかもあって、思わず「わぁ!」って声をあげちゃった。
そしたらユーリさんも、「帰りにもっかい寄るから、ちょっと摘んでいく?」って言ってくれたの。
ん~、楽しみ♪
ちょっとお腹がすいてきたかなって思いだしたころ、あたしたちは、川にたどり着いた。
「さてと、休憩にしましょ。だいぶ歩いてミアちゃん疲れたんじゃない?」
「はぅ、ちょっとだけ…」
えへへって笑いながら返事したら、ユーリさんも笑ってた。
「いい時間だし、お弁当にしましょ。」
「わーい、それじゃ準備しますー。」
バスケットを降ろして開けてみると、パンにお肉や菜っ葉がはさんであるのや、ゆでた卵や果物なんかも入ってる。
あとは…革?でできた袋…?何か水みたいなのが入ってる…
「あれ、ミアちゃんそれしらない?水袋。井戸とかなくて、お水汲んだりできないところに行くときに、お水を入れていくのよ。」
「そっか…いつも桶で汲んだり、かめやたるに貯めてたから…」
「街中ではあんまり使わないわね。さて、それはともかくとして、いただきましょ。」
「はーい、いただきまーす。」
クルトさんのお弁当は、いつものご飯と変わらずおいしかった。
ちなみに、水袋の中身は、ユーリさんとこから買ってるお茶でした。
お弁当食べて元気回復♪
この後、ユーリさんの探してるものを採りに行くみたいだし、がんばらなきゃ!
いつもつたない文章にお付き合いいただきありがとうございます。
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