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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
2章 力の解放
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121 出発に向けて その2

昨日、冒険者ギルドから帰った晩に、みんなで打ち合わせして、出発の日が3日後に決まった。

どうして3日後になったかっていうと、冒険者ギルドがいろいろと用意してくれるのが明後日になるっていう連絡が来たからで、他のみんなはそれまでに準備できるみたい。

何だかあたしが引き延ばしちゃったみたいだね…


とにかく、今日と明日の2日間、宿のお手伝いって思ってたんだけど、クルトさんが街のお世話になった人にあいさつに行ってきたらどうかなって提案してくれて、宿のお手伝いの間にあいさつ回りに行くことにしたんだ。

お昼までは宿のお手伝いをして、お昼ご飯を食べてからいざあいさつ回りに出発。

まずはユーリさんのとこに行ったんだけど、あいにくお留守だったから、次にラルフさんのとこに向かうことにした。

もちろんミディアドーレも一緒だよ。


「いらっしゃい。

 ああ、ミアちゃん、旅に出るんだって?」


カウンターにはラルフさんがいて、あたしが入るといきなりそんなことを言ったから、びっくりしちゃった。


「はひ、だからあいさつに来たんですけど…

 でも何で知ってるんですか?」

「ああ、リックたちが寄ってくれてたからね。」


あ、そっか。

フェリックスさんもラルフさんには報告に来るよね。


「何か結構大変な旅になるみたいだけど、準備とか大丈夫かい?」

「はい、だいじょぶです。

 あ、でも、冒険者ギルドの人が、いろいろ用意してくれるってことだから、あたしはあんまりわかってないんだけど…」

「そうか、まあギルドが用意してくれるなら間違いはないだろうし、リックたちもいるからね。」

「そうですね、いろいろ教えてもらわなきゃいけないことばっかりだけど、みんなと一緒にだから、あんまり心配はしてません。」


そう返事したら、足もとでミディアドーレがにゃっと声を上げた。


「わかってるよー、ミディも頼りにしてるんだからね。」


あたしがそう言うのを聞いてるんだかいないんだかわかんないけど、ちらっとこっちを見たあと、床で丸くなっちゃった。

もしかしてやきもちとか?


「あ、そうだ、ボルトさんとエレインさんにもごあいさつできたらって思ってるんですけど、いらっしゃいますか?」

「ごめん、ちょっと父さんは手が離せないんだ。

 母さんも魔法士ギルドの手伝いに行ってて、だから俺が店番なんだよ。」

「そうですか、それじゃよろしくお伝えください。」

「ああ、伝えておくよ。

 ミアちゃんも気をつけていってらっしゃい。」


ラルフさんと手を振って別れて外に出てみると、まだまだお日様は高いところにあった。

クルトさんが気を利かせてくれて、時間には余裕があったから、このまま今度はミルファム教会に行くことにした。


「何だかすっかり雰囲気は元通りだね。」

(そうですね、悪魔の気配も近くには感じません。

 襲撃のために様子を窺っていたのでしょう。)

「そっか、じゃ今はとりあえず街は安心かな?」

(ええ、今すぐどうなるということはなさそうです。

 それに、前の襲撃は[根元たる色彩オリジナルカラーズ]を狙っていましたから、ここへ来る理由はなくなります。)


ミディアドーレの言葉を聞いて、あたしはちょっと安心した。

あたしたちが出発した後であの強い悪魔がまた来たりしたら、今度はどうなるかわからないもん。

それにしても、どうして悪魔なんて現れたんだろ…そんなことをぼんやりと考えながら気がつけば教会のそばに来てた。

今日も教会にはたくさんの人が集まってる。

でもこの前来たときみたいにあわただしい感じじゃなくて、にぎわってる感じ、かな?

みんなで集まって、作業したり相談したりと、笑顔と元気があふれてる。

何だかこっちまで元気をもらっちゃいそうだね。

前の治療のお手伝いのときに、あたしの顔は結構知られてたみたいで、入口まで行くと中にいた人があいさつしてくれた。

あいさつを返して、シャルテさんの居場所を聞いてみると、奥にいるって教えてくれた。

さっそく奥へとお邪魔させてもらうと、この間、お手伝いに来た部屋にシャルテさんがいた。


「こんにちは。」

「ミアさん、ようこそいらっしゃいました。

 ちょうど手が空いたところですし、こちらにどうぞ。」


そう言って案内してくれたのは、隅のベンチがあるところだった。


「ところで、今日はどうされたのですか?」

「はい、実は…」


と、フェリックスさんたちと旅に出ることを説明して、あいさつに来たって伝えると、シャルテさんはとってもびっくりしてた。


「そうですか、ミアさんのように魔法が達者な方なら大丈夫だとは思いますが、気をつけていらしてくださいね。

 それにしても、寂しくなりますね…」

「ちゃんと目的を果たしたら、また戻ってきます。」

「まあ、それではお帰りを楽しみに待っていますね。

 ところで、目的は何でしょうか?

 もし差し支えなければお聞かせ願えますか?」


シャルテさんの質問に、ミディアドーレの耳がぴくっと動いた。

わかってるよ、ほんとのこと言うとびっくりされることくらい。


「え、っと…フェリックスさんが持ってる武器のことを調べたりしに行くんです。」

「フェリックスさんというと、『白を継ぐもの』の?」

「はい、一緒に行くんです。」

「そうですか、それはとても心強いですね。

 ですがくれぐれもお気を付けくださいね。」

「ありがとーございます!」


あまり長くいると、お邪魔になっちゃうから、そのあと少しだけお話して、白枝亭に戻ることにした。

旅から帰ったら必ず教会に顔を出すって約束をしたら、それまで毎日、あたしたちの旅の無事をお祈りしてくれるって約束してくれた。

無事に旅を終わらせられるようにがんばらなきゃね。

と決意して、白枝亭に向かうあたしに、ミディアドーレがぼそっと


(今から張り切り過ぎると、疲れてしまうかもしれませんよ?)


なんていったのは、聞こえなかったふりしちゃうもんね。

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