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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
2章 力の解放
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113 魔法士ギルドに戻る前に

ユーリさんのところへ行こうと玄関を飛び出したところで、あたしの目の前に何かが降りてきた。


「ふあっ?!」

(主よ、落ち着いてください。

 セルヴィアナ様の使い魔です。)

「え?あ、ほんとだ。」


落ち着いて見れば、白い鳥、この前、セルヴィアナさんと一緒にいた子だ。

何かと思ったよー…


(ミディアドーレ、帰還しなさい。)

(突然何を言うかと思えば…我が主とともにあることはすでに承認済みであろう。

 お前が口出しすることではないはずだ。)

(わたくしの意志ではありません。

 上からの命令です。)

(セルヴィアナ様…ではないようだな。

 しかし、我が戻っている間、主の守護はどうなる?)


ミディアドーレは顔をしかめてる。

ネコもこんな顔するんだ…


(心配ありません。

 これを預かってきましたから。

 ティスミア様、お持ちください。)


そう言うと、鳥さんの前にガラスみたいなものでできた、無色透明の輪っかが現れた。

割と細くてシンプルな感じで、何かすぐに折れちゃいそう。

それを見たミディアドーレの目が細くなる。

ネコの百面相…?


(まさか[原初の器オリジナル]まで出てくるとは…

 主よ、その腕輪を身につけてください。)

「あ、これって腕輪なんだ。」


折らないように慎重に取り上げて、腕にはめてみる。

そうすると、大きさが縮まって、あたしの腕にピッタリになった。


「すごい…あれ、でもこれ外せなくない?」

(というより、外さないでいただきたいのです。

 申し訳ありませんが、しばらく暇をいただきます。

 我が戻るまで、その腕輪があなたの力になりましょう。

 念ずれば、我と同じように鎌の形態へと変わります。)

「ふぇ…」

(それでは失礼します。)


そう言うとミディアドーレの姿がぼやけて消えちゃった。

鳥さんも、こっちを見てぺこっとお辞儀して飛んでっちゃった。

それにしても念ずれば…って、鎌になれって思えばいいのかな?

って考えた瞬間、あたしの手には鎌が握られてた。


「わっ、ミアちゃんそれどうしたの?!

 今急に現れなかったかい?」


近所のおばさんがちょうど通りかかったところだったみたい…目が真ん丸になってるよ。

ちょっとまずったかもしれない?


「えっと、その…あ、魔法です、魔法。」

「魔法って…あー、そういえば治療師になったんだっけ?

 それならしょうがないわねぇ。

 色んなことができるのね、魔法って…おばちゃんびっくりしちゃったよ。

 そういえば白枝亭も壁が壊れたんだってね。

 修理はいつくるの?今日のお昼から?

 おばちゃんとこは大丈夫だったんだけど、大通りの方は壊されちゃったとこもたくさんあるみたいよ。

 あ、そうそう、おばちゃんこれから市場に行かなきゃいけないから、悪いけどこれで失礼させてもらうわね。」


あたしが口をはさむ間もなくおばさんは1人で一気にしゃべって行っちゃった。

そうだ、ユーリさんとこに急がなきゃ。

鎌は、元に戻ってって思ったら腕輪に戻ってくれたから一安心。

これからはちゃんと周りに気をつけなきゃ。


ユーリさんとこまで走っていくと、お店には何人かお客さんが並んでた。

列の後ろに並んで待ってると、1人、また1人とお客さんがお薬を持って帰ってく。

そして前が1人になったところで、ユーリさんが気づいてくれた。


「あ、ミアちゃん、こんにちは。

 もうちょっと待ってね。」


そう言うと、あたしの前のお客さんにお薬を用意した。

何だかとっても忙しそう。


「おまたせ、もう昨日今日と大忙しよ。

 ところでどうしたの?ケガならミアちゃんが治せるだろうけど…」

「実はマリーさんが…」


う…どう説明しよう…全部言っちゃうと大変なことになるよね…

変なとこで止めたから、ユーリさんの顔付きが急に険しくなっちゃう。


「マリーさんがどうしたの?

 もしかして大変なことになってる?」

「え、えと…大ケガしちゃって、それは魔法で治ったんだけど、体力の消耗が激しいからお薬があった方がいいって言われたの。」

「そうだったんだ…

 んー、じゃちょっと準備に時間かかるから後でお届けするね。

 今日はこんなだからすぐってわけにはいかないと思うけど。」

「ありがとです。

 お願いします!」


そんなわけでユーリさんが来てくれる約束をしてくれたから、今度は急いで白枝亭に引き返す。

列に並んでるので結構時間かかっちゃった気がするんだよね。

白枝亭に走り込むと、エステルさんたちと一緒にアリサさんも食堂にいた。


「おかえりなさいー。」

「ただいまです、遅くなりました。」

「大丈夫ですよー。

 クルトさんもー、ついさっきー、戻ってきたー、ところですしー。」

「じゃ、ちょっと報告だけしてきますね。

 そしたら魔法士ギルドに行きましょー。」


あたしの言葉にみんながうなずいてくれたから、クルトさんに報告するために寝室へ向かう。

そしたらちょうど部屋の前でクルトさんに会うことができた。


「おかえり、どうだったかな?」

「ただいまです。

 ユーリさん、ちょっと忙しいからすぐには無理だけど、後でお薬持ってきてくれるって。」

「そうか、それは助かるね。

 この後もう一度魔法士ギルドに行く予定みたいだし、あとは私に任せて、ミアは行ってきなさい。」

「うん、いってくるね。」


食堂に戻ると、みんなはもう準備できてたみたいで、玄関のとこにみんな立って待っててくれた。

走って戻ってきたあたしを見てレイアさんがちょっと心配そうに言った。


「ミアちゃん、息が切れてるけど大丈夫ですか?

 ちょっと休憩しますか?」

「ううん、だいじょぶです。

 さ、行きましょー!」


これ以上遅れると、また何かありそうだし、休むなら魔法士ギルドについてからでもできるもん。

それじゃ、しゅっぱーつ!

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