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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
2章 力の解放
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112 一旦集合

あの後も、何人かケガを治してほしいっていう人が来たから、アリサさんと交代で治療した。

元からいた治療師さんたちも、待ってる人がいなくなったのと、少し休めたのとで、もう大丈夫っていうことだったから、あたしとアリサさんはいったん白枝亭に戻ることにした。

ちょうど教会の入口を出たところで、シャルテさんに会えた。

教会前の広場には、簡単なかまどが組まれてて、大きなお鍋で炊き出ししてたとこだった。


「シャルテさん、中も落ち着いたからあたしたち一度帰りますね。」

「まあ、本当にありがとうございます。

 よかったらお2人とも食べていかれませんか?

 もうすぐ炊きあがると思うのですが。」


そいえば、ちょっとお腹すいてきたかも。

でも、お昼に白枝亭で集合って約束だし、せっかくのお誘いだけど戻らなきゃね。


「ごめんなさい、ちょっと約束があるんです。」

「そうですか、残念です。

 それでは、また落ち着いたらいらしてくださいね。」

「はい、喜んで!」


シャルテさんと別れて、アリサさんと白枝亭へ向かう。

もちろんミディアドーレもあたしの横を歩いてる。

そういえばアリサさんも結構魔法使ってたよね。


「ねね、アリサさん。」

「何でしょうかー?」

「アリサさんも魔法たくさん使ってたけどだいじょぶですか?」

「はいー、一応ー、鍛えてますからー。」


そう言いながら力こぶをつくるアリサさん。

力こぶは、マナと関係あるのでしょーか…


「ミディ、力こぶとマナは…」

(関係ないと思われます。

 おそらく…)


…ま、まあ気持ちの問題だよね?

それにしてもやっぱりアリサさんは有名なだけあってすごいんだね。

横顔を見てると、何か思いついたようにあたしの方に振りかえった。


「そうですー。」

「は、はひっ?!」

「お師匠様がー、お昼すませたらー、魔法士ギルドにー、来てほしいとー、言ってたんでしたー。」

「は、はひ、そうだったんですか…

 あれ?ってことは白枝亭に集まって予定を確認する必要もない気がしますよ…?」

「あらー?ほんとですねー。

 あー、でもー、マリーさんのー、ようすもー、確認しなければー、いけないですしー、やっぱりー、白枝亭にー、向かいましょうー。」


そだね、ずっとクルトさんに任せっぱなしになってるだろうし、やっぱり一度白枝亭に戻らなきゃ。

もうあと少しで着くし…って思ってたら、あたしの横からぼそっと(アリサ殿…理由が後付けのような…)って聞こえた気がしたけど…うん、気のせいだよね。

結局お昼をちょっと過ぎたくらいにあたしたちは白枝亭に帰ってきた。


「ただいまー。」

「あ、ミアちゃん、アリサさん、おかえりー。」


玄関から入ると、食堂のテーブルにエステルさんたちが座ってた。

しかもご飯食べてるし。


「あ、これ?

 クルトさんが作ってくれたんだよー。

 ミアちゃんたちも帰ってきたら声をかけてって言ってたよ。」

「そうですかー。

 それではー、マリーさんのー、ようすもー、診ておきたいですしー、行きましょうー。」


マリーさんとクルトさんの寝室に向かうと、扉は閉まってた。

ノックすると中から「どうぞ」ってクルトさんの声が聞こえた。


「ただいま。」

「お帰り、ミア。

 アリサもご苦労だったね。」


振り向いたクルトさんが返事をくれた。

そして、その向こうのベッドの上ではマリーさんも顔を少し動かしてあたしたちを見てる。


「マリーさん!

 だいじょぶなの?」

「んー…まだ思うようには…体が動かせないわね…」


そう言ってふうっと息を継ぐマリーさん、まだまだしんどそう。

アリサさんがマリーさんの傍にいっておでこに手を当てたり、手をとったりしてようすを見てくれてる。


「少しずつー、落ち着いてきてー、いると思いますがー、まだー、無理はー、しないでくださいねー。」

「うん…ありがと、アリサ。」


声はよわよわしい感じだったけど、笑顔で返すマリーさんを見てあたしはちょっと安心した。

だって、この調子ならきっと明日はもっと元気になってるはずだもん。


「そうですねー…体力をー、消耗しているとー、思うのでー、お薬をー、いただいた方がー、いいかもしれませんー。」

「そうか、じゃ、2人にちょっとお願いをしたい。

 ミアは、ユーリエちゃんのところに行ってきてもらえるかな?」

「うん!」

「アリサはしばらくマリーについていてもらえるかな?

 ちょっと市場までいろいろ頼みに行きたいんだ。」

「わかりましたー。」

「と、その前に2人とも、簡単なお昼を作っておいたから食べておいで。

 厨房に行けば分かるから。」


できるだけ早くユーリさんのとこに行きたかったけど、先に行くっていってもクルトさんは許してくれないだろうし、こうなったら急いでご飯すませなきゃ。

厨房に入ると、パンにハムやチーズをはさんだものが作ってあった。

結構たくさんあるし、みんなの分も作ってくれたんだ。

エステルさんたちが食べてたのもこれだよね、きっと。

横にあったポットにはお茶も入ってたから、アリサさんと厨房で立ったまま食べちゃった。

あたしはできるだけ急いだから、アリサさんよりも先に食べ終わった。


「それじゃ、あたしこのまま行ってきますね。

 クルトさんに伝えておいてください。」

「はいー、それではー、ミアちゃんもー、クルトさんもー、戻って来られたらー、ギルドにー、行きましょうねー。」

「あ、そっか…ギルドも行かなきゃいけないんですよね。

 じゃ、急いで行ってきます!」

「行ってらっしゃいー。」


厨房から出ると、エステルさんたちは何かおしゃべりしてた。

ご飯は終わってるっぽいかな?


「あれ、ミアちゃんそんなに慌ててどうしたの?」

「ちょっと知り合いのお薬に詳しい人のとこ行ってきます。」

「魔法士ギルドはー?」

「後で行きますー。

 詳しいことはアリサさんに聞いてください。」

「ん、わかった。

 行ってらっしゃい。」


エステルさんたちに見送られて白枝亭を飛び出した。

さ、いっそぐぞー!

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