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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
2章 力の解放
111/130

110 逮捕?誤解?

詰め所にたどり着くと、衛兵さんはそのまま中へと入っていく。

ついていかなきゃだめだよね。

あんまりいい気持はしないな…

ミディアドーレ、早く帰ってこないかな?


中に入ると、少し大きな部屋になってて、何人かの衛兵さんがいた。

みんな、あたしの方を見て、変な顔してる。


「その子は?」

「ああ、昨日の件に関わりがあるかもしれん。」

「そんな子がか?」

「目撃者がいたんだよ。」


昨日の件って襲撃のことだよね。

何であたしが関わってるんだろう?


「あたし別に…」

「話は奥で聞かせてもらうよ。

 あの部屋へ…」

「ミアさん!」


衛兵さんが奥の扉を指差してそう言ったとき、急に横から名前を呼ばれた。

振り向くと、若い衛兵さん…誰だっけ?


「自分ですよ。

 以前、ファングボアにやられたときにミアさんにけがを治していただいたエーリッヒであります。」

「あ…お久しぶりです。

 お元気ですか?」

「はい、おかげさまで。

 ところで…どうされたのでありますか?」


そう言ってあたしと、連れてきた衛兵さんの顔を見比べてる。

どうされたって言われても、あたしにはわかんないんだよね。

黙ってると、衛兵さんの方が口を開いた。


「何だ、つまりこの子があのときの恩人なのか?

 いやしかし、街中で武器を振りまわしたり、強力な魔法を使ったりして危なかったという目撃証言があたのだが…」

「ミアさんが…でありますか?」


あ…昨日の戦い、見られてたのかな?

んー…ミディアドーレがいないけど、ちゃんと説明できるかな…


「何かの間違いでは?

 ミアさんのことは隊長もご存じでありますし。」

「ふむ…」


エーリッヒさんの言葉に考え込んでしまった衛兵さん。

そこでまた1人、この話に加わってきた人がいた。

少し立派な扉から出てきた隊長さんだった。

別の衛兵さんが呼んでくれたみたい。


「ミアさん、久しぶりだね。

 以前はうちのがお世話になった。

 ところで何か揉めているようだが?」

「あ、隊長…実はこちらの方が…」


あれ、この子からこちらの方になってる。

衛兵さん、何だか気まずそうに説明してるよ。


「ミアさんは魔法も使えるし、昨日の状況では多少武器を振りまわそうと仕方がないだろう。」

「しかし、冒険者でもないのに街中で大鎌を振りまわしたり、強力な魔法を…」

「あ、あたし冒険者ですよ。」


その一言に、周りが固まってしまった。

何か変なのかな?

でも登録した(されちゃった?)ときも、別に疑問持たれなかったよね。


「いや、まさかそんな…」

「えっと…あ、あった。

 これ、身分証カードです。」


衛兵さんも、隊長さんも、エーリッヒさんも、今度は身分証を見て固まってる。

何か楽しくなってきた。

ミディアドーレが戻ってきたら、鎌も出しちゃおうかな?


「うむ…本物のようですな。」

「ミアさん…そうだったのでありますか。

 ああ、それでリゼルさんがお店に来たりしていたということでありますね…」


エーリッヒさんの言葉に、今度はみんな、うんうんとうなずいて納得してる。

リゼルさんは冒険者ギルドの人で、顔が広いからきっとみんな知ってるんだね。

あたしも前、ちょっと助けてもらったし。

でも、あのときは間違ってあたしを登録しちゃったから来てたんだよね。


「まあ、ミアさんなら問題もないだろう。

 すまなかったね、エーリッヒ、お送りしなさい。」

「はい、了解であります。」


エーリッヒさんが元気よくそう答えたとき、詰め所の入り口からミディアドーレが入ってきた。

そして、追いかけるようにしてアリサさんも入ってくる。


「にゃ。」

「お帰りミディ、ありがとね。

 アリサさんもすみません。」

「いいえー、ネコくんがー、必死にー、わたしを引っ張るからー、何かあったのかとー、びっくりしましたー。

 そのようすではー、大丈夫のー、ようですねー。」

「はい、ありがとーございます。」

「それではー、ミルファム教会へー、行きましょうかー。」

「アリサさんは戻らなくていいんですか?」

「はいー、エステルさんたちはー、お師匠様にー、お任せしましたからー。

 わたしもー、ミアちゃんとー、一緒にー、行きますよー。」


そっか、ジョルジュさんがいるなら安心だよね。

詰め所を出ると、エーリッヒさんが一緒について出てきた。

その表情が少しくもってる。


「お知り合いの方もいらっしゃったようなので、申し訳ありませんが、ここでお見送りさせてもらうであります。

 昨日から、急に手が必要になることもあるので、できるだけ詰めておきたいので…」

「そんな、全然だいじょぶですよ。

 わざわざ、ありがとーございます。」

「そう言ってもらえると助かるであります。

 ところで、教会というと…」

「はい、治療のお手伝いに行こうかなって。」

「なるほど、ミアさんが行けばきっと大助かりですね。

 がんばってくださいであります!」


敬礼するエーリッヒさんに手を振って、アリサさんとミルファム教会へ向かった。

もちろんミディアドーレも一緒についてきてるよ。

それにしても、ちょっと時間使っちゃったかな?

お日様、だいぶのぼってきてるね。

急がなきゃ!

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