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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
2章 力の解放
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109 三度魔法士ギルドへ

クルトさんに聞いてみたら、本格的に営業再開できるのは、マリーさんが元気になってからって、あたしは自由に動いていいことになった。

もちろん、食堂の壁の修理もできなきゃダメだけど、それは割と早いうちにやってもらえるみたい。

とにかく魔法士ギルドに向かうことになったんだけど、マリーさんも落ち着いてるからアリサさんも一度顔を出したいってことで、結局レイアさん、エステルさん、エメットさんと5人で行くことになった。

レイアさんとエメットさんは今日もフード付き。


「うわー、もう修理始ってるんだ。

 みんなやる気満々よねー。」

「そうですねー、みなさん張り切ってますねー。」


エステルさんがきょろきょろと周りを見渡してつぶやくのに、アリサさんが相槌を打つ。

でもほんとにみんな張り切ってるね。

この分ならあっという間に直っちゃいそう。


そんな街中を抜けて魔法士ギルドに到着した。

ここは被害がないみたいだね。

アリサさんに続いて中に入ると、受付のカウンターに1人のお兄さんがいた。


「こんにちはー。」

「おや、アリサさん、今日はどのようなご用件ですか?」

「ギルド長にー、お話をー、うかがえないかとー、思いましてー。」

「ああ、すみません。

 ギルド長とジョルジュ導師以外の導師たちは会議中でして…」

「あらー、そうですかー。

 お師匠様はー、参加されてー、おられないのですかー?」

「ジョルジュ導師は負傷者の治療で出ていらっしゃいますよ。」

「なるほどー、さすがはー、お師匠様ですねー。」

「うちにいた治療師ヒーラーは全員行ってますから。」

「困りましたねー。

 どうしましょうかー?」


お兄さんの返事に、アリサさんも他のみんなもちょっと困った顔になってしまう。

んー、これじゃちょっと出直した方がいいかな?って提案しようと思ったら、先にエステルさんが手を挙げてた。


「はい、提案。

 時間がかかりそうなら、わたしたちも街に手伝いに出ればいいじゃない?

 アリサさんとエメットは魔法で怪我を治したりできるんだし、協力すればそのお師匠様も早く解放されるんじゃないの?」

「なるほどー、それはいい考えですねー。」

「俺もかよっ!」

「せっかく魔法使えるんだし、いいじゃん。

 それに、その方が街の人たちへの印象がよくなるよきっと。

 こっちに渡ってからフードとって歩いたことないけど、そんな風に過ごせる街ができたらいいじゃん?」


エメットさんはエステルさんの答えに考え込んでる。

それだけ深いものがあるんだよね、きっと。


「エステル、わたしも一緒にお手伝いにいきたいな…」

「レイア…うん、一緒に行こう!

 治療はできなくたって、レイアの魔法が役に立つところだってきっとあるよね。」

「うん、わたしもそう思ってた。

 ね、エメットも行きましょう?」

「……わかったよ、行けばいいんだろ。」


ふうっと大きなため息をついてそう言ったエメットさんの表情は、そんなに悪くない、っていうかむしろすっきりしてた。

こうなったらあたしも行かなきゃね。


「あたしも行きますっ。」

「うん、ミアちゃんもそう言うと思ってた。

 じゃ、これで5人全員だね!」

「にゃ!」

「あ…ごめんごめん、キミも一緒だったよね。」


ミディアドーレの抗議(?)の声に、思わずみんなで和んでしまう。

アリサさんが受付のお兄さんに聞いたところによると、治療師さんたちは3つある教会に手分けして行ってるみたいだった。

相談の結果、あたしはミディアドーレと一緒に一番よく知ってるミルファム教会に行くことになって、エステルさんとレイアさんとエメットさんは街には不慣れだから、ジョルジュさんがいるマイヤード教会にアリサさんと一緒に行くことに決まった。


「それではー、お昼くらいにー、白枝亭でー、集まりましょうー。

 お師匠様にー、後の予定をー、確認しておきますからー。」

「はーい、それじゃあとでまたです。」


アリサさんたちと別れて、ミディアドーレとミルファム教会に向かう。

ここからだとちょっと遠いから、ちょっと急ぎ足で歩くことにしよっと。


「ミディ、抱っこする?」


あたしが両手を広げたけど、ミディアドーレは器用に首を横に振ってる。

まあ、多分あたしより速そうだもんね。

とにかく大通りに出て教会へと向かって歩いてく。

ミディアドーレも後ろからちょこちょこついてきてる。


だいぶ教会に近づいたところで事件は起こった。

知らない男の人が、あたしを見てびっくりしたみたいに走っていったんだ。

何だったんだろう?って思ったけど、そのまま歩いていくと、その人が衛兵さんと一緒に戻ってきた。

そして、衛兵さんに何か耳打ちして男の人は走って行ってしまい、衛兵さんが近づいてきた。


「すまないが、詰め所まで来てもらえるかな?」

「ふぇ?あたし、ですか?」

「ああ、君だ。」

「でも…今から教会にお手伝いに…」

「私も無理やり引っ張っていきたいとは思わないので、できれば大人しくついてきてほしいのだが…」


何なんだろう…別に悪いことしてないよね?

とにかく逆らってもいいことなさそうだしついていくしかないのかな…


(主よ…どうなさいますか?)

「ん、ついてくよ。」

「そうか、それは助かる。」


ミディアドーレに返事したつもりが、衛兵さんが返事をする。

ま、いいんだけどね。


(わかりました。

 一応誰かに伝えておきます。)

「あ、うんお願い。」

「は?」

「…何でもないです。」


衛兵さんが変な顔でこっちを振り返ってきた。

うん、変だよね…

とにかく、ミディアドーレが走っていくのを見届けて、あたしは衛兵さんの後についていくことになった。

ほんとに何なんだろう…?

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