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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
2章 力の解放
103/130

102 逆転

しっかりと足が触れてるのを感じる。

あたしは…立って・・・いた。


「この光は何だっ?!

 貴様…いつの間に立ちあがった…

 しかもその武器…」


あたしの両手に握られているものを見て言ってるんだと思う。

くすんだ銀色の長い棒の先には、三日月のような刃がついている。

立ったままでも草刈りができるような大きな鎌だった。


「まあよい、そんなもの1つで今さらどうなるわけでもないわ!」


また悪魔が腕を振り上げる。

そしてその鋭い爪がついた腕が振り下ろされるのがみえる。

でも、なぜか焦ることはなくて、何をすればいいのかわかっているように自然と口が動いた。

鎌を右手に持ち、左手を突き出す。


「《絶対防御アイギスガード》」

「何っ?!」


振りおろされた腕はガキンと大きな音を立てて、あたしの左手にもうちょっとで当たるところで止まった。

一瞬だけ、赤と青と黄色の光がきらめいて、すっと消える。

悪魔はぱっと後ろに下がった。

表情はよくわかんないけど、声は信じられないって感じだった。


(主よ、護ってくださった方を…

 それと、周りへ被害を出さぬように、治療後は隔離してください。)


ミディアドーレの声が心に伝わってきた。

うん、と心の中で返事をしてアリサさんのところまで下がる。


「貴様…一体…」


悪魔もこっちのようすをうかがってるみたいだし、今のうちにアリサさんを治さなきゃ。

いつでも守れるように、左手を自由にしたままアリサさんの前に立つ。

あ…でも麻痺を治す魔法…習ってなかったよね…


(主よ、治したいと思ってください。)


治したい…アリサさんを…そう思ったら、また自然と言葉が湧いてきた。

悪魔の方を向いたまま、鎌の柄でアリサさんに触れる。


「《状態完治コンプリートリカバリィ》」


鎌全体が白く光る。

きっとちゃんと魔法がかかってるってことだよね。


(主よ、悪魔やつめが動き出す前に隔離してください。

 暴れられるとやっかいです。)


ミディアドーレの声に従って、悪魔に向かって走る。

悪魔の方は、あたしを迎え撃つためか、しっかりと構え直してる。

おかげで動かないから、このまま閉じ込めちゃえばいいんだね。

走りながら、閉じ込めたい…って考える…うん!


「《結界シーリングバリアー》」


あたしと悪魔を中に閉じ込めるように、半球状のガラスみたいなものが覆っていく。

その広さは大通りの幅いっぱいぎりぎりって感じ。

外の様子が見えるってことは、外からもこっちが見えてるのかな…


「ふっふっふ…何をするのかと思えば…

 所詮貴様の魔法、貴様さえ始末すれば解けるではないか。」


悪魔は中にあたしだけしかいないことで余裕を持っちゃったみたい。

だけど、あたしはもう負ける気はしない。

だって…


(さあ、主よ、あとは悪魔めを滅ぼすだけです。)


うん、わかってる。

まだあいつはあたしのことをよくわかってないはずだから、今のうちに一気にやっちゃえばいい。

アリサさんにケガさせて、街の人にも迷惑かけて…

絶対許さないんだから!

両手で鎌を持って悪魔に向ける。


「《破魔爆光エクソサイズフレア》!」


悪魔へと光が集まってそれがはじけるように広がる。

光の中で悪魔の体が崩れていくのが見えた。


「まさかぁぁ…これほどのぉぉ…力をぉぉ…し…ん…ぞ……」


消えていく中で悪魔の声が聞こえた。

光が落ち着いたときには、もう悪魔はいなくなってる。

ふうっと一息ついて、《結界》を解いた。


「ミアちゃんー…ですよねー?」


後ろから、アリサさんの声が聞こえる。

ちゃんと魔法かかってたんだね。


「アリサさん、だいじょぶですか?」

「はいー、ありがとうございますー。

 それにしてもー…

 いえー、今はー、白枝亭にー、急ぐのがー、先ですねー。」

「あ、はい、行きましょう!」


アリサさんと白枝亭の前に続く道へと走ろうとすると、後ろから「ありがとー」とか「がんばれー」とか聞こえてきたけど…

とにかく急がなきゃ。


「そういえばー、インプがー、少なくなりましたねー。」

「ふぇ…?

 あ…ほんとだ…」


アリサさんの声に、空を見てみると、確かにインプの数が減ってる気がする。

街に降りちゃったのかも…

でも、この道にもいないよね。


「ところでー、ミアちゃんー…

 マナはー、大丈夫ですかー?」

「マナ…ですか?

 んー、だいじょぶだと思います。」

「そうですかー。

 それならいいのですがー、先程ー、とんでもないレベルのー、魔法をー、いくつもー、使っていらっしゃったのでー…」


とんでもない…んだ…?

でも、普通に使えちゃったし…だいじょぶだよね。


「それにー…いえー、落ち着いてからにー、しましょうー。

 もうすぐー、白枝亭ですねー。」


うん、もう見えてるね。

あの少し高くなってる屋根が白枝亭。

壊れてる感じもしないし、ちょっと安心した…


「だいじょぶみたいです。」

「はいー。」


あたしが先に立って、玄関の扉を開いたとき、建物の裏手の方からドーンと大きな音が聞こえた。

きっとこれはただ事じゃない…

食堂には誰もいなかった。


「アリサさん、お勝手口から裏へ!」

「はいー!」


あたしたちは、食堂をぬけて厨房のお勝手口に急いだ。

その間も何度か音が聞こえる。

何が起こってるんだろう…

その答えは、お勝手口の扉を開けたときにわかったんだ…

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