9 パーティー(前編)
今日の晩は大きなパーティーがあるってことで、朝ご飯後からいろいろ準備に大忙し。
ちょっと気合入っちゃう。だってパーティーを開くのは、あたしを助けて(拾って?)くれた人たちなんだもん。
実は有名な人たちだって聞いてびっくりした。あたしほんとに運がよかったんだなって。
「しかし、ラルフが引退ねー。」
「正直、俺たちにも痛手なんだけどね。ま、あいつはずっとこっちが目的だったから。」
マリーさんと話してるのは、フェリックスさん。
今回の宴会の主催者さん。
「でもまぁ、盛大に祝ってやりたいからさ。マリーさんもほんとよろしく頼むよ。」
「まかせときな。あ、ミア。ちょっと来て。」
「はーい。」
2人の方に走って行くと、先にフェリックスさんが声をかけてくれた。
「おー、すっかり元気だな。」
「そのセツはおせわになりました。」
「がんばってるみたいでよかったよ。今日はよろしくな?」
「はいっ!」
あたしも気合が入ってるからつい大きな返事をしたら、頭をくしゃくしゃなでてくれた。
「こらこら、うちの娘に手を出すんじゃないよ?」
「うわ、マリーさんひでぇ…俺がそんな風に見えるかよ?」
っていっても、軽口を叩き合ってる感じ。マリーさんとフェリックスさんだと、ちょっと年が離れてるっぽいんだけど、あんまりそんなのを感じないって言うか…あ、何か姉弟みたいな感じ?
「あはは、まぁいいわ。ミア、ちょっとお使いお願いね。クルトも手が離せないから、ここに書いてあるものを揃えてきて。」
「はーい。」
「でも、ちょっと量があるね…」
マリーさんが眉をひそめる。
そしたらフェリックスさんが何か思いついたように、マリーさんに耳打ちした。
マリーさんもうんうんうなずいてる。
「んじゃ呼んでくるわ。」って言って、フェリックスさんは出て行った。何だろう?
「ミア、ちょっと待ってね。リックが応援呼んできてくれるから。」
「応援?」
リックってフェリックスさんのことだよね。それにしても応援って…
と思ってたらほどなくしてフェリックスさんが、1人の女の人を連れて戻ってきた。
「お待たせっと。連れてきたぜ。」
「ご苦労さん。アリサ、お願いね。」
「まかせてくださいー。ミアちゃん、はじめましてー。でもないっけ。治療師のアリサですー。」
何かほわっとした人だなぁ。
フェリックスさんたちのグループの人だそうで、あたしを拾ってくれたときに一緒にいたからはじめましてじゃないってことみたいだけど…うぅ、あんまし覚えてない、ごめんなさい。
とにかく、アリサさんと一緒に市場へ出発した。
「そうですかー。ミアちゃん、まだ思い出せませんかー。」
「はい…。でもマリーさんもクルトさんも焦らなくていいからって言ってくれてるから。」
「ちょっとだけ、いいですかー?」
「ふぇ?」
「ミアちゃんに魔法を使わせてもらっていいですかー?」
あたしに?魔法??
「それってどういう…?」
「あ、心配しなくていいですよー。もしかしたら記憶喪失の原因がわかるかなーって。」
急なお話にびっくりした。
記憶が戻ればいろいろわかるかもしれないけど、今まで全然思い出せそうになかったし、マリーさんやクルトさんも優しくしてくれてたから、あんまり考えもしてなかった。
でもちょっと怖い気もする…
「…マリーさんとクルトさんに相談して決めてもいい、ですか?」
「そうですねー。その方がいい気がしますー。ごめんなさいねー、急にこんなこと言いだしてー。」
「ううん、ありがとーございます。」
今まで解決しようと積極的に動いてなかったし、やっぱり考えなきゃだめだよね。
「それではー、お使い、急ぎましょー。」
「はーいっ!」
時間は待ってくれないし、まずは今晩の準備をがんばらなきゃ!
また人が増えてしまいました…
人物紹介も作ろうかと思ってます。