第⑨章 傭兵と”嵐”
一応本筋に沿わせて行きます。
タイトルがこうなったのは完璧な計算に基づく偶然です。
紅魔館に向かう途中にある湖。
そこはいま、初夏を目前にしているとは思えないほどの冷気にさらされていた。
「寒くね?」
「そうだな、…とくにシュウはな…。」
ちなみに現在野戦服(夏仕様)だったりする。迷彩柄の長ズボンと黒の半そでTシャツ、それにタクティカルベスト…に似たジャケット。という服装だ。正直寒すぎる。ロシア戦線でもこんなに寒くなかったというのに…。
「にしても紅魔館はまだか」
「そんなには遠くなかった気がするんだが…」
「魔理沙…もしかして方向音痴?」
「空で道に迷う訳がないだろ」
「道じゃないしな」
そんな風に魔理沙とだべりながら進む。すると前方にチルノが見える。隠れてるつもりなのだろうか。魔理沙も同様だったらしく「なぁ、あれ…」と呟いた。
「チルノ」
「だよなぁ」
チルノはこっちにやってきて言い放った
「少しはおかしいと思わないの?」
「頭がか?」
「誰の!」
「アンタの」
「あたいはバカじゃない!」
そうしてスペルカードを取り出すチルノ。
「良い腕慣らしだ、シュウもちょっとやっといたらどうだ?」
「そうする」
こうして俺は弾幕勝負の実践に挑むことになった。
「あたいからいくよ!」
「わざわざ言わなくてもいいだろうに、流石⑨」
「うるさい!」
氷符「アイシクルフォール」
チルノから大量の氷の槍が飛び出し、こちらに襲ってくる。密度も速度も魔理沙には遠く及ばない。これ程度ならかわすのは造作もないな。
俺は右へ左へひらりとかわし続ける。そして相手の弾幕のあいだからこちらも弾幕を打ち込む。
「当たれっ当たれ!」
「そんなやけくそに打ったってあたりゃせんよ」
「そんならっ」
吹氷「アイストルネード」
チルノの周囲に冷気が渦巻き、局地的に大吹雪が発生する。これはかわさず後ろに下がって威力圏外へ離脱する事で対処。かわしてばかりいても埒が明かないのでこちらからもしかけることにした。
「そんなに回ってたら周囲が分からなくなるぜ」
嵐風「バレット・ストーム」
宣言と同時にある比率で混ぜたチカラを放出、そして一気に固める。そうしてチルノを囲むように対物ガトリングを合計10挺創り出す。そして十分に魔力弾を充填させて…
「穿て!」
一斉に火を噴く。チルノはぐるぐると回り続けており未だに気がつかない。そこに銃弾の雨が全方向から降り注ぐ。
「いたっ!え?わ!ぎゃああぁぁぁぁぁ…」
自らのスペカによる風も相まってさながら嵐のような、本来の意味での”弾幕”に押し潰されるように被弾したチルノは湖に落ちていった。
「シュウ、ひでぇな」
「相手が弾幕打つ前にマスパで終わらせるお前にだけは言われたくない」
「ははは、それもそうか」
紅魔館は直ぐそこである。
はい。チート野郎が本性を現しましたよwww
まぁ、傭兵ですから。戦いには命掛かってたので、手加減なしの超本気なのは仕様です。