第七十七章 傭兵と妖孤 Ⅰ
―永遠亭・応接間―
応接間にて向きあうのはシュウと藍。二人は自らの妖力を高めて攻撃の機会をうかがっていた。互いに手の内が知られていない上に、相手が自分と同等のプレッシャーを掛けているので二人とも動けないでいた。ピン――と張りつめた空気の中に、轟音が響く。音の発生源は外の廊下、早苗がウサギに放ったランチャーの炸裂音だ。瞬間、二人は同時に動き出した――。
確かに動いたのは同時であった。本来ならば妖怪たる藍が先手を打つハズで藍もまたそう信じていた。しかしシュウは身にまとった妖力の一部を自らの運動エネルギーに変換する事で驚異的な速度を持ってして先手を打った。
一瞬で肉迫するとグレネードを握りしめた拳で藍を殴りつけた。その衝撃は信管に伝わり、瞬時に爆発を起こした。いくら強大な力をもつ妖怪である藍であっても予想外の行動であり、爆風をもろに受けて吹き飛んだ。さらに追い打ちを掛けるためにスペルカードを発動する。
嵐風「バレット・ストーム」<追従型>
宣言と同時に周囲にガトリングや機関銃が展開され、一斉に藍が吹き飛んだ場所に放たれる。そしてその向こうからはなんの反応もない。
(随分あっけないな…。まぁ、これで終わるはずがないのは分かるが)
シュウがそう思った瞬間その場所からチカラの塊がシュウめがけて飛来した。それは質量をもたぬために銃弾をすり抜けて接近し、シュウの前ではじけて大量の弾幕を炸裂させた。その弾幕はあたりにあった銃器を破壊し、シュウをも襲う。シュウはそれに顔の前で腕を交差させて耐えた。
「ぐっ」
「私がその程度で沈むとでも思ったのか!」
藍が叫び、シュウが「あぁ、思ってなんかいなかったさ!」と内心で自らに毒づくのと弾幕がシュウを通過するのは同時だった。急いで顔を上げるとクナイの様な形をした弾幕が渦を巻くように迫っていた。シュウはそれを身体を移動させ、ねじり、かがめ、やっとのことで潜り抜けた。すると目の前に居たのはスペルカードを掲げ、こちらを見下ろす藍だった。
「手加減はしないから覚悟を決めるんだな」
そう言うとスペルカードを発動した――。
みなさんどうも。
ようやく藍とシュウの戦闘がはじまりました。
時系列が進むのが遅くてすいません。一応山場ですのでやりたい事が多くて…。
(動いているキャラがやけに多いのもその所為です。)
なにはともあれ明後日から暫く執筆が出来ない環境になるので、頑張って書き上げました。
折角思い付いても形に出来ないジレンマが俺を襲うのか…ッ!
嘘です。だいたいいつも思い付くのは自宅PCの前なので弊害はないかと。
なにはともあれ七十七章。ぞろ目のこの回でこの展開。
作者は大いに燃えています。(但し執筆が出来ないのでこの情熱をぶつける事は出来ませんが。)
そんなこんなで頑張って行きますので今後とも弾丸と幻想郷をよろしくお願いします。