第七十三章 傭兵と再会
お久しぶりです。
隔日とか言いつつ一週間以上開いてしまってすみませんでした。
心待ちにしてくださった方々。お待たせ様です。
今後も予定が詰まっており、活動報告やtwitterでご存じの方もいるかと思いますがスランプ気味でして、四苦八苦しながらも書きました。
以降も更新頻度は以前のようには行きませんが、どうか暖かい目で見守ってくれると嬉しいです。
―ガガガガガッ!!―
二人の銃が火を噴き、ウサギを蹴散らしながらも猛然と永遠亭の内部を駆けている。次から次へと形を変える通路に苦戦しながらも所謂「本陣」へと着実に歩を進める。二人は決して短くない時間を全力で走っているので、アシストが付く早苗はまだしもシュウは相当に疲労がたまっている。はずなのだが、自らの疾走感に酔いしれているのか今にも哄笑をあげそうなほどに昂ぶっているようだ。
『シュウさん!次の通路左側の壁を突き破って突き当たりの壁の向こうに生命反応多数!さらに奥に強大なチカラの反応が二つあります!黒幕ですね!』
「了解!いよいよ本陣ってか!――うらあぁぁぁ!」
威勢よく叫びながら壁に拳を叩きつけて分解し、直後に早苗のレールガンで遠くにある壁までもを突き破る。中に居たウサギも巻き添えになったようだが、今こそは分水嶺とでも言わんばかりに総攻撃を仕掛けてくる。早苗とシュウは装甲で傷こそ負わないものの、圧倒的な物量の鉄の嵐による衝撃で前進を妨害される。
「ぐ…ッ!」
『衝撃が…!』
二人はおよそ500メートルほどの通路の中間当たりで歩を止めざるを得なくなってしまった。むしろよく磨かれた廊下に血糊がたっぷりとしみ込んだ靴では踏ん張りが利くはずもなく、ずるずると下がり始めてしまっている。
「やられてばかりで、居られるかよ!」
そう言ってシュウが攻勢に出ようとした瞬間、装甲の一部を破って数発の銃弾が皮膚をかすめ、血が滲んだ。シュウは慌てて装甲を補強に回った。結局は現状維持、打開策も見つからずに廊下から押し出され始める。
「スペカは取り出した瞬間にカードが穴だらけになっちまうし、下手に攻撃しようとすると装甲が破られる…。八方塞がりじゃねぇか…」
『シュウさん。ここは私に任せてください…。一気にあのウサギを蹴散らしてやりますよ。ここまで舐められた真似をされてそのまま下がる様じゃ……この熱く滾るロボット魂が収まりつかないんですよ!』
「早苗?」
早苗はレールガンの先端をガトリングに連結し電力を流し始めた。ガトリングは高速回転しながらも電気を帯びていき、バチバチと放電を始めた。超高圧電流による磁場の関係か銃弾の衝撃が弱まっている。
「おい!そんなことしたら―」
『この機体は私が一番分かってます!それよりもシュウさんは一気に敵の本陣に突入して奥に居る二人組を制圧してください!ここは私が引き受けますので!』
「…了解。上手くやれよ!」
『私を誰だと思ってるんですか!行きますよ…今です!』
早苗は叫ぶと同時に電磁加速されたガトリングを放つ。それらはレールガンほどではなくとも異常なまでの推進力をもってして弾幕を蹴散らし次々とウサギに襲いかかる。シュウは弾幕が薄くなったと同時に駆けだし、突き当たりのふすまを蹴破って中に転がり込んだ。ウサギが追ってこようとしたので自分で壊したふすまを再構成して締めだした。
周囲を見渡すとそこは「応接室」だった。正面にある台座には輝夜が居るはずで、隣には永琳が控えているはずだった。平常時ならば。
「随分荒々しい登場だ事」
しかし響いた声音は別人のもの。シュウは直感的に分かった。いや、分かってしまった。自分はこの声を知っている。この世界に居た紫ではない。しかしこの声は紫のもの。まぎれもなく、あの日、あの時、すべての始まりとなったあの洞窟で聞いた声。
「久しぶりだな、神隠しの主犯…とでも呼ぼうか」
「覚えていたのね」
振り返ったシュウの正面、台座の上にはスキマに腰かけた紫が、自らの式をひきつれて悠然と。シュウを見降ろしていた―。
……言いたい事は前書きでだいたい言ってしまったんですが。
もうひとつのシリーズの方はまだ筆が進みやすいようで、多少は更新頻度が高いかと思います。そちらの方もよかったら見てくださると、嬉しいなぁ…。なんて。
宣伝です、すいません。
8/30追記
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