第七十二章 傭兵とウサギのシステム
門の少し外に橙がたっていた。
「どうした、橙」
「師匠…藍様が、紫様が…。紫様に倒されちゃった…」
橙の声はふるえていた。
「どう言うことだ?」
「藍様と紫様は先月にこの竹林に入って行ったの。そしたらスキマからもう一人紫様が出てきて…。私の紫様を倒して、藍様も倒してスキマに閉じ込めちゃったの」
「紫が、二人?つまりこれは俺たちが知っている紫の仕業じゃない…?」
「師匠、二人を助けて下さい…」
橙はそう言って頭を下げた。涙は流していなかった。
「分かった、尽力はするさ。あと、この屋敷には入らないでほしい。一度入ると出られないようだ。だから橙は明日になっても俺たちが帰らなかったらみんなに知らせてほしい」
「分かりました」
その後二、三取り決めをして橙は人里に避難していった。早苗が背後から控えめに声をかけた。
『シュウさん、そろそろ説明してください』
「そうだな、とりあえず今回の戦闘と橙の報告で分かった事は黒幕は紫。しかも紫は別人で、俺たちの知っている奴じゃない。この結界もおそらく奴の仕業で、てゐやうどんげが回収されたのもその所為だ」
『複製っていうのはどう言う事ですか?』
「さっき分解したウサギは生体情報が完全に一緒だったんだ。本来ならばあり得ない現象でどんなに似ていても、たとえば同じDNAから作ったクローンでも80%が限度だ。でも完全に一致していたと言う事は同じ存在だと言う事。一人を大量にしているって事」
『そんなのどうやって…』
「さぁな。時間の境界でも弄ったんじゃないか?カマ掛けたら反応した事を考えるとてゐは複製だってことを認識していたみたいだしな」
『そしたら…相手を減らしても意味が無いじゃないですか…』
「だから強行突破の大将首取りしかないな」
そう言うと玄関の壁を消してウサギを蹴散らしつつ二人は屋敷の内部へと駆けた。
現在リアルの方でかなり忙しくなってまして、更新が遅くなるかもしれません。
(とか言ってもいつも更新してんじゃねぇかと思ったけど今回はむりぽ)
なんたって休日は大学めぐりしなきゃイカンし、休日じゃない日は宿題やらなきゃイカンしというね。
てな訳で、隔日で投下できたらいいなぁ。なんて思ってます。