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弾丸と幻想郷  作者: 紀璃人
傭兵と歪な月
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第六十二章 傭兵と方眼交差の檻


 早苗は対魔法装甲を解除してから、今の短い近接戦闘の間にかかった駆動部の負担の大きさに顔をしかめていた。アリスでさえこの負担なのだ。さらにすばしっこい魔理沙となるとその負担は一気に増加することは想像に難くなかった。

『ったく…どうしろって言うんですか…』

『作戦の提案があります』

『え?』

 早苗は思わず漏らした愚痴にまで律儀に反応するオペレータにも驚いたが、まるで意思を持つかの様に受け答えをする事に驚いていた。だから、実は本部につながってるつもりになればこれぐらいどうってことはないか。と思う事にした。戦闘中に関係ない事で動揺するのはあまり得策ではないからだ。

『目標は空中制御を飛行デバイスに頼っています。よって目標をデバイスから剥離する事を推薦します』

『つまり魔理沙を箒から落とすってこと?』

『情報の祖語、見られません』

 しかしそこである疑念が早苗の頭に浮かんだ。手持無沙汰だったので腕組みしながらオペレータに質問をぶつける。

『その程度で戦えないようなら異変解決なんて出来そうにないんだけどなぁ』

『目標の基本戦術は遠距離からの高火力レーザーによる制圧・破壊ですので、そのような事態に陥った事が無いのではないかと仮定する事で生じる弊害は無視できる範囲内です』

『まぁ、負担を少なくしたまま倒せるなら良いんだけど』

 そう言って彼女たちを見やると魔理沙が一人でこっちに飛んできていた。


 魔理沙は一人で腕組みしてこっちを見降ろしている(魔理沙の主観においては)早苗を見て、あまりいい気はしなかった。

「隙を突く必要もないってか…!」

 魔理沙は早苗の周りを飛び回りながら早苗に弾幕をたたき込んでいく。が、早苗も最小限の動きでかわしつつも、風の弾幕で応戦する。

 ここは互いに弾幕の腕に覚えがある者同士、なかなか当たらない。魔理沙はこのまま膠着状態にあることはただ疲れるだけだと思い、戦術を変えることにした。一気に近づいて弾幕をばら撒いて離脱する魔理沙。早苗はその弾幕をかいくぐって魔理沙の箒に手を伸ばすが届かない。箒を掴んでしまえば慣性で魔理沙は前に飛んでいくと考えたのだろう。こうして何度かヒットアンドアウェイ(当たっていないが)を繰り返していた。魔理沙は早苗の上から下に抜けた時、急に止まってスペカを発動した。


星符「エスケープベロシティ」


 直前まで降下していたところでの急上昇を使った箒によるアッパー。今までとは意味の違う接近。早苗は肩に攻撃をくらいながらも負けじとスペカを取り出す。その顔は魔理沙よりも少し上を向いている様だ。それをみた魔理沙の脳裏に浮かぶのは開幕最初のスペル。位置関係までそっくりそのままな状況に危機を感じて魔理沙は早苗を避ける様に急降下した。

 しかしこれは早苗にとって計算通りだった。最初はスペカを取り出しているのを見てその場に留まる訳が無いぐらいの考えだったが、まさか急いで”好ポジション”に向かってくれるなんて最高だ、と早苗はほくそ笑んだ。


秘法「九字刺し」


 早苗は魔理沙の上からレーザーを発射した。しかしこれは彼女を狙ったものではなく空間を区切るものだ。まずは地面に向かって縦に4本線を引く。するとその線に沿って虹色の膜が現れる。同じように横にも5本の線を。結果、魔理沙はこの膜の方眼交差の中にとらわれた。

「いったい何なんだぜ?これは」

 魔理沙は訝しげに弾幕をぶつけたが膜には傷一つ付かなかった。この時魔理沙は早苗の意図が読めなかったが、方向が決まるのならこれほど有利な事はない、と思った。横からは入って来れないし、下は地面なのだから上から来るのが分かっているのだから。と上に八卦炉を向けて魔力を充填していく。同時にスペルも待機する。しかしいつまで待っても姿を現さない早苗。

(まさか他の方向から来るのか?いやしかし無理だろう…。)

 自分で無理だとは思いつつも周囲が気になり見まわしていると地面から人影が飛び出してきた。早苗がスーツで強化された筋力で穴をほって地面から現れたのだ。

「逃げ場はないぜ!早苗!」


魔砲「ファイナルマスタースパーク」


 魔理沙は箒から身を乗り出し、この空間に収まりきらないほどの極太レーザーを放った。完全に逃げ場はない。しかし早苗は同時にスペルを発動していた。


開海「モーゼの奇跡」


 早苗の姿がぶれて、音もなく、弾幕を残して消える。しかし魔理沙は自身の放ったレーザーによってその様子は見ていない。直後、魔理沙の上に現れた早苗は急降下し、魔理沙の身体に全力の拳をたたき込んだ。

『やああぁぁぁぁぁぁぁ!!』

「うがッ!?」

 地面の水の弾幕に撃ち落とそうとしての攻撃だった。事実、魔理沙の体は箒から落とされていったが弾幕は既にレーザーの餌食となり消えている。そしてレーザー発射の反作用で吹き飛ばない様に下に推進力を働かせていた事もあり、魔理沙は地面にたたきつけられた。その地面はレーザーで抉られ、とてつもない熱を帯びていた。

「ぐぇっ…熱ッ!」

 さらにその時魔理沙はあまりの熱さに八卦炉の制御を手放してしまい、行き場をなくした魔力が爆発を起こした。魔理沙は膜の消えた空に投げ出されアリスのもとに落下した。


 

激しすぎたwwwやりすぎか?←まぁ、いっかwww

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