第四十一章 傭兵と河童の技術力
河童の技術力は世界一いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいい!!!!!
最初に動いたのは椛。
彼女は真っ先に突っこんできた。そして同じように飛びだした妖夢と切り結ぶ。そして止まるはずもなく、妖夢は流れるように踊るように斬り、椛は周囲を飛びまわりながら、或いは蝶の様に斬る。
弾幕よりも自分の剣に磨きをかけた二人の互いの技量のみの戦いが続く。―かと思っていたがその魅入る様な(実際シュウは魅入っていたが)二人の乱舞に水を差す河童が一人。
にとりはサイドポケットの中で何やら操作をするとリュックの下の部分から二つの長い棒を取り出し腋に抱えた。その棒はバチバチと電気を迸らせている。それを見てシュウの脳裏にある単語が浮かんだ。
―電磁砲―
マズイ。そう思った時には動いていた。
「妖夢!離脱だ!」
そういいつつシュウはスキマの構成を組み立てていく。妖夢も危機を察知したのか横っ跳びに飛んだ。直後―。
―ビゴォォォン!!―
直前まで妖夢がいた場所に二本の筋が奔り、電気の残滓を散らしていった。同時装填は出来ないらしくにとりは右側の砲塔の少し弄っていた。が、どうやら装填が完了した様で再び地面を踏みしめ、構えた。
シュウはそれを撃たせまいとにとりへと翔ける。にとりは自分に向かってくるシュウに照準を合わせ、引き金を引いた。そしてシュウがスキマを展開したのも同時だった。結果として亜音速で飛来する物体はスキマに引き込まれ、同時展開したもう一つのスキマから飛び出した。
―にとりに向かって―。
反応出来る訳もなくにとりは微動だにしなかったが、シュウもまた狙いをつけられなかったのでにとりに直撃することはなかった。が、左側の砲塔を消し飛ばした。
その時の衝撃は直撃でなくとも大きく、にとりはリュックごと後ろにふき飛んでいた。
「スキマ…だって…?そんな、あのスキマ妖怪じゃあるまいし…。」
腰を抜かしたにとりのリュックからはみ出していた右側の砲塔を「分解」し両腕に「再構築」する。そしてそれをにとりにつきつける。
「…むちゃくちゃじゃないか」
「悪いがそれが俺の能力なんでね」
「らああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
にとりと話していると椛が背後から迫ってきていた。俺はレールガンのうち片方を椛に向けて約一秒間隔で「連射」する。しかし椛も予想していたのかそれらをかわして迫る。妖夢がさらに後ろから追跡してきたのでレールガンを止めてスペルカードを起動する。
火流符「ラヴァトレント」
手早く火炎系魔法を組み立てたシュウは椛に向かって高圧、大量の炎を洪水のごとく放つ。流石の椛もこれは抜けられないと思ったか上空に逃げる。が、先に動きを読んだ妖夢が上から大上段の構えで椛に肉迫し、振り下ろす。椛はそれを盾で受け止めたが勢いを殺しきれず炎の中へと撃墜された。
「椛!」
動こうとしたにとりの耳元をレールガンの射撃が通り過ぎて後ろの木が砕けて倒れた。動きを奪うにはそれで十分だった―。
戦闘が終わると椛(直前でシュウが術式を停止したので軽くはないが火傷で済んだ)は「上司に報告します。帰った方がいいと忠告はしました」と悔しげに残して飛んで行った。
にとりはと言うとシュウの能力に興味を持ったのか工具セット片手にじっとシュウを見つめている。…そんなに期待に満ちた目で見られても特にすることはないんだが…。
「シュウ。そろそろ進もう?」
「そうだな」
「また来ておくれよ、盟友。普段はこの河の下流に居るからさ」
「んー。気が向いたらな」
そう言ってにとりとは別れた。
しまった!ビームライフル撃たせるの忘れた!←