第三十六章 傭兵と体の異変
倒れたシュウに一体なにがあったのか…
俺が目を覚ますと、そこは自室の様だった。ただ、いつもと違うところは見覚えのない人がいるんだが。…。いつの間に赤十字は幻想入りしたんだ…。
「よかったぁ」
「妖夢…。俺、どうなったんだ?」
「チカラの使い過ぎ…らしいんだけど」
「バカな。弾幕もしてなければロクに動いてすらいないぞ」
俺の発言を聞いてその医者の格好をした女性は言った。
「実際あなたの体内にチカラは殆ど残っていなかったわ」
「…。どういうことだ?」
「とりあえずこの薬を―」
「待った。なんで睡眠薬なんて混ぜてあるんだ?」
「ッ!?なんでそれを知っているのかしら?」
「質問に答えてくれ」
彼女は随分驚いているようだ。俺としてはいかにも治療薬を出すように睡眠薬入りの薬剤を出されたことの方が驚きなんだが。
「体力回復には睡眠状態が最適だからよ。私は答えたわ、次はあなたが答えてくれないかしら」
「なぜ、か…。…?―どうしてだ?」
そう言えばなぜ分かったんだろうか。今もその薬には睡眠薬と体力増強剤のようなものが含まれていると直感的に理解出来るんだが、根拠が分からない。
「なにを言っているの?あなたが言い当てたんじゃない」
「分からないが、その薬に含まれている物が脳裏に浮かび上がってくると言うか…」
「…。能力の発現?」
「いや、俺は既にチカラを自在に操る能力を持ってる。二つの能力は現れるなんて聞いたことが無いぞ」
「そうね、私も知らないわ」
「えっと…。つまりどう言うこと?シュウになにが?」
「分からないわ…。でも可能性として考えられるのは能力が変化した、成長した、すり替わった。あるいは幻覚が偶然的中した。または…私たちの理解の範疇を超える何かが起きているか。…最後のはちょっと大げさだけど、想定する分には問題ない可能性ではあるわね」
理解の範疇を超える…ってなんだよ…。
「シュウ、そう言えば倒れる前に回路がなんだかんだって言ってたよね?」
「あぁ。スキマの断面からスキマを構成する回路が見えたんだ」
「この二つの事例の共通点は、構成…?」
「つまりは?」
「今は何も言えないわ」
「そうか…」
室内に沈黙の帳が下りる。
すると部屋の扉が開かれた。
「シュウ、大丈夫か?いきなりぶっ倒れたとかきいたぜ?」
魔理沙が少々好奇心を含んだ声ではあったが様子を見に来てくれた
「あぁ、一応は大丈夫だ」
「そうか、動けるか?もうすぐパチュリーも来るぜ」
「了解」
俺は立ち上がると居間に向かうことにした。その時妖夢がさりげなく支えてくれた。
「大丈夫だってば」
「だって心配だよ…」
「…悪ぃ」
「シュウは悪くないよ」
「私も一応ついておきます」
「すみません、永琳さん」
永琳と言うらしいその女性も立ち上がり、結局部屋に居た全員で居間に向かうことになった。
少しずつ核心に迫るワードや設定を出してますが幾つほど気づいていますでしょうか?
ちなみに作者は物語上重要なピースの半分しか覚えていません。