第三十四章 傭兵とおしゃべりな”棒”
シュウが大暴走!
…さて。遊ぶと言ってもこの棒状の物で何ができるか…?
野球。
今から人数揃えるのはキツイ。
テニス。
細すぎる。かなり不利で辛い。
…。そう言えば細い棒を使った遊びって少ないな…。
「私を解放するっていう考えはないのかしら?」
「ないな」
「独占欲が強いのね」
「こんなに面白い『しゃべる棒』があるのに遊びもしないで手放すなんてもったいないじゃないか」
「あんまり調子に乗らない方がいいわよ?」
「なぁ、そんなにそこが嫌なら他のスキマから脱出すれば良いんじゃないのか?」
「貴方、絶対分かって言ってるわよね?私の顔がこの物質化に巻き込まれて抜けないのよ」
「へぇ、そりゃびっくりだ」
「貴方ねぇ…。あんまり調子にのると―」
さっきから「調子に乗ると~」が多いな…。ちょっと黙らすか。
とりあえず、地面に向かってフルスイング!!
―ブォン!ガッ!―
「酷い目に―ちょッッ!いったぁ!」
次は近くの大木に、こっちの木もいいかな。今度はあっちの岩がいいかもしれないな。これか?これか?こっちの方がいいかな?おや、こんなところに野球ボールぐらいの石が。これでノックでも―。
「ストップ!ちょっとまtt―」
「え?」
―ゴッ!―
「~~~~~~~~~~!!」(涙目)
急に声をかけるもんだから思わず手が滑って顔がある位置でノックしてしまった…。鼻に直撃だったらしく涙目である。
「なんかいったか?」
「いい加減に止めなさいよ…」
「じゃあこれから『調子に乗ると』って言うたびに一発な」
「なんで貴方に決められなくちゃいけない訳?」
「なんならこの棒を湖に沈めてから帰ってもいいけど?」
「殺す気?」
「気分次第かな」
「あんまり調子に乗らないほうがいいわよ。この幻想郷では私ほどの実力者は―」
「はい、一発入りまーす」
―ゴッ!―
「っつぅ………。もう、好きにしなさいよ…。日没までには解放しなさいよ、博霊大結界の点検とかあるから」
「それまでに飽きたらな」
俺はこうして紫で遊んでいるあいだにも棒を使ったスポーツを考えていたんだが、終ぞ思い付かなかった。取りあえず一旦帰ることにした。
「ちょっと!引きずらないでよ!眼に砂がはいったじゃn、あだだだだ!地面に擦ってるから!」
よくしゃべる棒だな…。
シュウの「遊び」はまだまだ続く!?