第三十二章 傭兵と妖精+妖怪の戦い
シュウが⑨たちと”遊ぶ”はなし
俺たちは里の裏手にある丘に来ていた。…。そう言えば幻想郷に来た時に辿りついたのもここだったな…。
そんなことを思い出しながら丘を上っているとルーミアがいた。
「おー。みんなどこにいたのかー?」
「ちょっと寺子屋にね」
「みすちーもいたのかー」
「影薄いかなぁ、私」
「薄いと思うよ」
「リグルには言われたくなかった!」
「なにさ!」
「やる気!?」
「リグルもみすちーも喧嘩はやめるのだー」
「「もとはルーミアの所為だよ!」」
「そーなのかー?」
「こらー!!三人とも早くおいでー!!」
チルノに呼ばれてぞろぞろとやってくる三人。…橙はここに居るからいいとして、大妖精は?
「大ちゃんならあっちに居るよ」
「…いつの間に」
彼女はいつの間にか里の少年の腕の中で縮こまっていた。…弾幕いやなのか。
「で?開始の合図はどうする?」
「もちろんもう始まってるわよ!!」
氷符「アイシクルフォール」
いきなりスペカで始めるチルノ。正直こっちに飛んでこないんだが…。
「え?ちょっ―」
―ベシッ―
ミスティア被弾。おいおい…。まぁ、仲間内だし、多めに見るか。
「一気に行くよ!」
「「「りょーかい」」」
…。「了解」って言葉随分広まったなぁ。そんなことを思いながら見ているとどうやら残りの四人はチルノを無視して協力攻撃を画策しているようだ。 俺はまずは視界を遮る事を得意とする二人のうち厄介なミスティアの方を先に倒すことにした。
「みすちー!頼んだよ!」
「わかって――むぐぅ!?」
とりあえず背後から口をふさいで地面に投擲。思いっきり衝突した。…そんなに勢いよく投げたつもりはなかったんだが…。
「みすちー!!」
「リグル、動揺はあとだよ!」
「橙…。そんなこと言ったってどうやって―」
「代わりに私がやるのかー」
ルーミアが手のひらに黒球を発生させてこちらに向けてくる。俺はそれが起動する前に物質化で落とした。
「リグル、私たちでルーミアを援護するよ!」
「分かった!」
式符「飛翔晴明」
蠢符「ナイトバグストーム」
橙が五芒星を描き、その頂点から弾幕が飛び出してきた。そんなに密度もないし、早くもない…と思っていたら軌道が変わってきた。ちょっと面倒だと思いながらも避ける。一方リグルの方は薄い環場の弾幕を放ち、それが解けてこっちに襲いかかってきた。俺はルーミアの黒球つぶしに気を割いている事もあってあまり余裕が無い。
こっちも仕掛けることにした。
狙撃「スナイプ・バレット」
俺が打ち出した球はルーミアの腹部に吸い込まれ、ルーミアごと飛んで行った。あれぇ?まだ加減が足りないか?もしかしてスペカ単位でマズイ?
「橙…。ルーミアもみすちーもやられちゃったよ…。どうしよう…。」「こうなったら数だよ。リグル、ありったけの弾を撃ち込むしか―」
「ちょっと!あたいを忘れてるんじゃn―」
さっそうと現れ――木に激突するチルノ。こんなときにまで⑨だな…。ここで木に当たらなければもう少し決まっただろうに…。
「とにかく私がやるんだから!!」
涙目でスペカを宣言。
氷符「ソードフリーザー」
チルノは手元に氷の剣を作ると突っこんできた。最初は袈裟切り。なんなくかわすが、冷気が思ったより強く、一瞬凍傷になるかと思うほどの冷気だ。その後もチルノは剣を振り続けるが、こいつは袈裟切りと逆袈裟しか振らないんだろうか?
「あぁ!もう!なんであたらないのよ!」
「むきー!!」
凍符「フリーズアトモスフェア」
「おわ!!」
チルノが次に発動したスペルは自身の周囲の温度を下げて凍結させるスペルだった。もちろんシュウは手が届くような距離に居たので多少喰らってしまった。そしてその状態で剣を振って特攻するチルノ。
「あたりなさいよ!!」
「こっちくんな!フレイムランス!」
「ぎゃーーー!!!」
……。悪気はないんだ。ただ、冷気の塊が突っこんできて凍えそうだったから炎の上級魔法使っちゃっただけなんだ。…。はい。氷精には致命傷ですねわかります。
結果としてピクリともしなくなったチルノ。いや、息はしているから死んではいないのは分かるが。 リグルと橙の方を見ると両手をあげて投降していた。
里こ子供たちもちょっと青ざめている。大妖精に至っては少年にしがみついて震えている。
そりゃそうだ、こんだけデカい魔法使ったらそうなるだろうな。悪いことしたなぁ。
今日も空は高く突き抜けるような青空だった。
あぁ、明日はテスト3コマなのに何をやってるんだ…。
さっき15分寝たからこのまま学校いきます。