第二十八章 傭兵と魔法科実技試験(?)
魔法を習い続けたシュウ。その成果は如何に…?
約一週間後。
「シュウ、大丈夫かしら?」
「大丈夫だ、問題ない」
「死亡フラグだぜ、それ」
「だからなぜ幻想郷でネタが通じるんだ」
「早苗に教えてもらったぜ」
「またあいつか」
こんど早苗とは話をしてみたいものだ。
シュウは魔法の鍛錬をしていたのだが、魔法の回路を間違えたまま魔力を流してしまい、ちょっとした爆発に巻き込まれてしまっていた。
「シュウ、集中力が切れてきてるから休憩にしましょ」
「そうして貰えるとありがたい」
「咲夜」
パチュリーが呼ぶと音もなく咲夜が現れ、アイスティを準備して去って行った。…正直俺は緑茶派なんだが…。まぁ良いか。
ちなみに現在いる図書館はパチュリーの魔法のおかげで快適な温度に保たれている。魔法すげー。
すると厨房からクッキーを盗んできた魔理沙が俺の組んだ回路をみて苦笑いした。
「どうした、魔理沙」
「いや、ここの間違い私もやったなぁって思ってさ」
「そうなのか?」
俺がボーっとしながら答えるとパチュリーが小さな声で「魔理沙は意外に努力家タイプなのよ」と教えてくれた。俺としては失敗品やら研究ノートであふれている家を何度か見てるから意外という印象はなかったが。
その後も三人で回路を見直したりしながら時間を過ごした。
翌日の昼食後。
俺は試験と言われて結界に閉じ込められていた。
「シュウ。これを魔法だけで突破しなさい。そしたら今日は解散ね」
「了解。」
よく見ると結界が二重になっているのが分かる。手前は火の結界で、奥が水の結界だろう。
火だけを見て水の魔法を放つと水の結界に阻まれると言う訳か。それじゃあ―。
「シュウ、それじゃあ始めて頂戴」
「ちなみに私は20秒で破ったぜ。…マスパでな」
「…。言っとくけど威力だけで敗れるのは魔理沙くらいだから真似しない方がいいわよ」
「大丈夫だ、真似する気はないさ。と言うか無理だろ」
そういいながら俺は水と電気を同時に展開する。そして最初に水をぶつけて、火の結界を壊す。ここまでは順調だ。そしてこの水のなかに電気を通して、水の結界のなかで弾けさせる!
すると俺の思惑どおり結界は内部でショートを起こし、崩れ落ちた。その時上から水が落ちてきたが、この程度はご愛嬌だろう。
「思ったよりは早かったわね、26秒よ」
「まだまだだな」
「属性を把握してるところをみると魔理沙より優秀じゃない?」
「弾幕はパワーだぜ」
「あいにくこれは日常でも使える魔法よ」
そう、この魔法は日常生活で使えるのだ。つまりこの魔法で出した水。これ、飲料水らしい。氷もしかり食用とのこと。魔法ってホントなんでもありだな…。
「じゃあ、魔法のスペカも作れるな」
「そうね、でもまだスペカにするには威力が足りないんじゃない?」
「弾幕は技量さ」
「いや、パワーだぜ」
「つか、マスパされたら終わりだろ。どんな弾幕も」
こうして今日は解散の運びとなった。
帰りのシュウ。
「あ、シュウ。帰り?」
「あぁ、そうだな」
美鈴が珍しくこの暑い中起きていた。
「暑くて昼寝もできないよ」
「じゃあ良いもんをやろう」
俺は手早く物質化でビニールを創り出し、その中に魔法で水と氷をいれて、即席の氷嚢を作って渡した。
「ほい、いっちょあがりっと」
「おぉ、随分さまになったねぇ」
「ありがとな、これで寝ないように門番頑張れよ」
「えぇ。帰り道も気をつけて」
「おぅ」
振り返ると氷嚢を頭に載せて眠ろうとしている門番が目に入った。
「寝るなよ!美鈴!」
そう叫ぶと美鈴はこっちを向いてニカッと笑って親指を立てた。きっと大丈夫だとアピールしたかったのだろう。ちなみに数分後、氷嚢で快適になった美鈴が眠りこけているところが見つかり、メイド長の怒りにふれたのは言うまでもない。
この「魔法」は便利だな。もっと練習して生活にいかそう。
帰りながらそう思ったシュウだが、冥界に着いたころになって休暇の話をするのを忘れたことを思い出したのだった。
という訳でチート街道を突き進むシュウです。