第二十六章 傭兵と魔法使い
長い寄り道の末に図書館にたどり着いた…
俺、この図書館にくるたびに思うんだが。
この図書館、広すぎるだろ。絶対迷う。俺なら一時間は余裕だぜ。
しかも全部パチュリーの蔵書だろ?で、こんだけの量を読み終わっているとは思えないから、
積ん読し過ぎだろ。読む気ないなら売れよ。地震きたらしぬぞ。
とも思うのだ。
「よぉ、パチュリー」
「図書館来るのに寄り道しすぎよ」
「私は紅魔館に来たんだぜ?」
「あら、魔法の原理は教えなくていいの?」
「なんで知ってるんだぜ?」
「前に言ったじゃない。練習の時は水晶から視とくから、後で欠点が有ったら伝えるって」
「そうだったか?」
「昨日も報告に来たじゃない。練習を10時頃に自宅で始めるって」
「そうだったぜ」
そんなの聞いてないぞ。てことはあのロリコンがなんだかんだのくだりも聞かれてたのか…。誤解されてなければ良いが。
「にしてもこのタイミングでシュウが原理に興味を持ってくれたのは僥倖だわ」
「どうしてだ?」
「最近の練習を思い返してみなさい。普通に弾幕やってるのと変わらないじゃない」
確かに。今日だってクーラーの周りに弾幕打ってただけだし。
「だからここいらでシュウには『魔法』を覚えてもらおうと思ってたのよ」
「なんだって?つまりシュウを魔法使いにしようってのか?」
「だいたいあってるわ」
「そうなったら私のアイデンティティが…。人間の普通の魔法使いが二人になっちまう…」
「大丈夫よ。こっちは人間の普通を超えた魔法使いにするから」
「私の立場はどうなる!」
「じゃあ人間の普通を越えた魔法使いを超えた魔法使いになれば良いんじゃないかしら?」
「それ、イタチごっこだろ」
「そ、そうだぜ!」
「とにかく魔理沙はシュウが魔法使いになることに反対なの?」
「それは…。魔法談義が出来る奴が増える分には良いけどよぉ…。立場が…」
「シュウは?なりたいの?」
俺か…。確かに魔法ってロマンがあるよな…。便利そうだし。……ッ!魔法が使えるって事は厨二なあの技も!?いやいや、痛すぎるだろ…。
「シュウ?聞いてるの?」
「え?あぁ。ちょっと自分の可能性について考えてた」
「で、なりたいの?」
「そりゃ、なれるなら。ただし名乗るつもりはないがな」
「どうしてだ?同情ならいらないぜ」
「いじけるなよ、魔理沙。俺はまだ傭兵としての自覚を捨てられていないからってだけだ。要するに他の職業は名乗りたくないって言うか…」
「そういうもんか?」
「名乗る名乗らないは自由だけど、魔法を使うからには魔法使いとしての自覚も必要よ」
「それは、そうだな。職業にもなるものだ。他の人が想い込めてるものを軽んじるつもりはないさ」
「そう。それじゃあまずは原理、だったわね――」
こうしてパチュリーのもとでの「魔法」の授業が始まったのだった。
――が、
(ヤベェ、最初から何言ってるかまっっったく判らん。あとで魔理沙に聞きなおそう)
前途多難であった。
シュウ、クラスアップのチャンスです。(カタカナ多いwww)