第二十二章 傭兵と春の宴
タイトルまんまです
後日。俺は再び宴会の準備に追われていた。紅霧異変の後の宴会もそうだったが、幻想郷では異変を解決すると宴会を開く風習でもあるのだろうか?ちなみに現在俺の中では、宴会がしたくて異変を起こしたのではないかと言う疑念が頭をよぎっているところだ。今回は首謀者側だったからか宴会の主催者にもなっており、最後まで裏方な気がしてならない。紅魔館みたいに妖精メイドもいないし。春の妖精ならいるけど。
実際始まってみるとそんなに大変でもなかった。と言うか家事をこなしているうちに手際が良くなったんだろうか。今回は花見の宴会だからかみんな料理よりも酒の消費の方が激しい。
え?酒はどっから持ってきてるのかって?そいつは霊夢が連れてきたちびっこな鬼のひょうたんから無限にわいてきてるから問題ない。…しかしあれは誰なんだろうか?
桜が散り々り少女たちの談笑する声が満たされていく。紅魔館のメンツも来ているようだ。
「シュウじゃないですか」
「ん?おぉ美鈴じゃないか」
「咲夜さんに聞きましたよ、異変解決にやってきた三人相手に大立ち回りしたそうじゃないですか」
「いやぁ、そんなんじゃ…。あの時は、なんというか頭のネジが飛んでてっていうか…自制心が吹き飛んでてっていうか…」
「それでもあの三人を追い込んだんですよね?私としてもいろいろと指南した甲斐がありましたよ」
「たしかに気の練り方とか習ってなかったら一瞬で被弾して終わりだったきがするな。ありがとな、美鈴」
「たはは…照れますよ…」
二人で談笑していると今しがた話題に上った霊夢と魔理沙がやってきた。ちなみに咲夜はレミリアの隣に控えている。
「なるほど、よく動くと思ったら中国直伝だったってわけか」
「美鈴です」
「あの時のシュウはみててぞっとしたわ…。闘気というか殺気というか…」
「いや、だからあの時は頭に血が上っててだな」
「それでもいい動きだったわよ」
「たはは…そんなに褒めないでくださいよぉ」
「中国のことじゃないぜ」
「美鈴ですってば…」
「にしてもシュウ、随分と妖夢にぞっこんのようね?」
「だな、軽く被弾しただけだったのにあんなに逆上するぐらいだもんな」
「え?シュウって妖夢とそういう関係だったんですか」
「知らないのか?」
「むしろ知られてたら怖いぞ」
「私は知ってたぜ」
「私も噂では聞いてたわよ」
「な、なん…だと…ッ!?」
「だって文々。新聞にのってたぜ?」
「編纂者誰だ!出てこい!」
「あややややっ、呼ばれて飛び出る清く正しい射命丸ですが?」
「ほんとに出てきた!?」
「いやぁ呼ばれましたし。それに今日はこの『春雪異変』の取材に来てましたから。あとあんなに大声で呼ばれたら来るしかないじゃないですか。しかもこのメンツって割と今回の異変の根幹をなすメンバーですし」
「私は門番してたんで関係ないですけどね…」
「あ、いたんですか」
「……。」
「さて、それはそうとシュウさん。ずばり今回の異変解決において最も三人を追い詰めた訳ですが、その強さの秘訣は?」
「秘訣って…。ただ、必死だっただけで…」
「愛のパワーだぜ」
「愛のパワーね」
「おい!なに勝手に答えて―」
「なるほど、愛のチカラですね」
「俺の話をきけええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「惚気ですか?聞きますが」
「そうじゃなくてだな…」
若干頭痛を催してきたシュウであった。
後日談ではあるがこの時の記事は
『博霊の巫女を恐怖させた男の強さの秘訣に迫る!!』
の見出しで売り出され、大好評だったようだ。