第二章 傭兵と過去
いきなりですが彼の過去のお話を。
俺はスキマに落ちていきながらある事を考えていた。
これは過去の記憶。4~5年ほど前のこと。まだ日本が、いや。世界が平和だったころの記憶。俺はその頃16歳で所謂オタクだった。趣味はネットとゲーム。某潜入型戦争ゲームやらラノべやらにハマっていた。リョウは東方なるものにハマっていて話を延々と聞かされたことがある。その影響で少し齧ったがあまり長続きはしなかった。あとはモデルガンでのサバイバルゲームなんかもやってた。
そんな平和な暮らしをしていた時、戦争は起こった。理由は政府の報道規制の所為で分からないが、はじめは中東から。そして戦火は飛び火して北朝鮮が韓国を占領。さらに朝鮮帝国(日本政府による仮称)は中国とは「中華朝鮮軍事同盟」を、ロシアとは「北ユーラシア共同戦線作成条約」を締結。他国への侵略を宣言した。それに対抗してEU各国やアメリカは兵を差し向けた。そして「経済戦争」の中心だったアジアは「軍事戦争」の中心へと変貌したのである。
その頃から仲の良かったリョウと俺は自分の身を守るため海外の少年兵キャンプに申し込んだ。社会的に守られ続けた俺たちは「無力」が徹底的に嫌だったんだと思う。そこで血反吐を吐くような訓練をつみ、そこそこに強くなった俺達は竹島防衛作戦を始めとする実践で経験を積み、戦火の中心がアジアから離れると同時に傭兵となったんだ。
その頃の様子や、訓練や実践での痛み、作戦を遂行した時の喜び。そう言った感情がフラッシュバックしている中で、俺はリョウに小さな声で謝った。
「今回の作戦は参加できそうに、ねぇな…。すまねぇ、リョウ―。」
そのとき俺は、あいつの口癖だった「死んでねぇならそれで構わねぇ」と言う台詞が聞こえた。様な気がした。
目をあけると俺を突き飛ばした妖怪、八雲紫は俺の愛銃を手に
「幻想郷は貴方に掛ってるから、そっちの時代の私によろしくね」
と言ってスキマを閉じた。
そして、その声を最後に意識を手放したんだ。
こんな感じで書いてますけど戦争は本編にはあまり関わらないかもなぁ。
ちなみに紫の言葉の意味がわかるのは後の方になってから、の予定です。