第十七章 傭兵と妖夢
…妖夢がキャラ変わってる…。
もう少し丸くいきたかったなぁ…
妖夢と並んで台所に向かう。うん、やっぱり少し拗ねてるっぽいなぁ。 でもなんか可愛いな。
「シュウ?」
「ん?どした?」
「いや、じっとこっち見てたから」
「そうか?」
そんな風に会話をしながら台所に二人で並ぶ。
俺が人参を洗って皮を剥き。妖夢がそれを切っていく。ちなみに今日は肉じゃがだったりする。
トン、トン、トン…。
リズムの良い音がしている。やっぱりずっと家事をこなしていただけあって上手いな。あ、そうだ。一応聞いておくか。料理始めてから機嫌治ったっぽいな…。
「なぁ、妖夢」
「なに?」
「リリーってなに食べるんだろ―」
トン、トン、……ガッ!
何事!?
さっきまで普通に話してたのに、一気に不機嫌モード!?包丁がまな板の半分よりしたまで食い込んでるんですが!?
「別に要らないんじゃない?」
怖っ!包丁を野菜に叩きつけながら低い声で虚ろに呟くの止めて!
「よ、妖夢…?」
「ん?なぁに?(にこっ)」
「とりあえず包丁置こうか。そして包丁の切っ先は人に向けてはいかん」
「うん。知ってる」
「いや、だからとりあえず置いてくれ…。もしかして怒ってる?」
「なんで?」
一向に包丁を置く気配がない妖夢。
これって所謂嫉妬だよな…。って事は?…ここは戦略的撤退だな。いや、命のために撤退しよう。さて、どう引くか…?
「シュウ、ちょっといいかしら?」
幽々子さんキター!!この助け船に乗るしかない!
「了解です。妖夢、ちょっと外すな」
「解ったけど…」
「そんなに時間はかからないわ。それに別に盗ったりしないから安心していいわ」
「べ、別にそんなこと心配してた訳じゃ―」
「じゃあ、借りてくわね〜」
「幽々子さん、用事ってのは―」
「特にないんだけどね」
「え?じゃあ…」
「多分あの子、そろそろ独り言で本音を漏らすんじゃない?私は応援してるから、行ってきなさい」
全部お見通しって訳か…。期待に答えない訳にはいかない。
「ありがとうございます」
「あの子の事、よろしくね」
「了解です」
俺は妖夢の待つ台所へ向かった。
「もう、最悪…」
シュウが台所を覗くと妖夢は一人自己嫌悪に陥っていた。
「シュウはなにも悪くないのに…。と言うかさっきのは流石にないなぁ…。私って情緒不安定?いや、たぶんまだ慣れてないだけ。自分の気持ちに素直になれないのもきっとそのせいのハズ。だから―」
「だから?」
「だから私はシュウに…」
そこまで呟いて固まる妖夢。そして壊れかけのロボみたいにこちらを向く。ギ…ギ…ギギ…と言う擬音がとても似合う気がした。
そしてシュウを視界に納めて完全に硬直する妖夢。
「だから俺に、その先はなんだ?」
「……。」
妖夢 は 思考停止 に 陥った。
シュウが妖夢の肩を叩くとハッとしたようにこちらを見て、みるみるうちに赤くなっていった。
「シュウ…」
「ん?」
「どこから聞いてた?」
「もう、最悪…。あたりから」
「最初からじゃない…」
「まぁ、そうなるな」
妖夢はしばらく沈黙し、意を決したかの様に話し始めた。
「ねぇ、シュウ」
「なんだ?」
「さっきはごめんね、ちょっと、リリーさん来てから動揺してて。だからかな、嫉妬とか全部ぶつけちゃって」
「妖夢…」
「だって、邪な理由じゃなくてもシュウが女の子を連れてきたから。それにリリーさんもシュウに懐いてたし。ちょっといい感じになってて。私の方が先なのにって思っててっ」
なにかが吹っ切れたのか一気にまくし立てる妖夢。ちなみに顔が真っ赤だ。
「ここまで聞けば分かると思うけど、やっぱり言葉にして伝えたいと思って」
そこで一旦区切りをつける。聞いてるこっちまで心拍数が上がってきた。
「私、シュウの事が、好き…だよ…」
やっぱりコイツは可愛いな。
「俺も、妖夢の事は好きだぜ」
「それじゃぁっ!その…」
「付き合おう」
「あ…うん」
やっぱり可愛い。
しばらく書いてなかったから恋愛ものが書きたかったんだ。
後悔も反省もしていない。ただ達成感はある。
しかしこの所為で今後の展開に困ってはいる。