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弾丸と幻想郷  作者: 紀璃人
傭兵と終わらない冬
17/94

第十六章 傭兵と食材

リリーは白玉楼に到着したが…

 リリーをお持ち帰り(拉致)したシュウは白玉楼まで帰ってきていた。

 

「ただいま~」

「あら、どうしたの?随分早いのね、シュウ」

「あぁ、こんなものを拾ったんだが」

 そう言ってリリーを幽々子に渡してみる。

「おいしいかしら?」

「どうだろうな?妖精だしな」

「で?どうしようかしら?この子」

 ちなみにこの時リリーは涙目どころか号泣寸前である。おそらく「どうしようかしら(どう調理しようかしら)」と聞こえていたのだろう。

「とりあえず妖夢にも相談しますか」

「そうね、じゃあシュウはその子の事見ててもらえるかしら?」

「了解」


 自室にリリーを招きいれた。するとリリーは少しほっとしたのか号泣はしなかった、が。目が絶望に染まっている。食べる訳がないのに。

「シュウさん」

「ん?」

「食べるために捕まえたんですか?」

「いや、あれは所謂冗談でだな。マジで食べる訳じゃないぞ?」

「ホント、ですか?」

 瞳に少し希望の光が宿る。なんか面白いな、この子。もう少しからかってみるか。

「たぶん、ね」

「た、た、たたたたたぶんって、な、なんですか!?やっぱり食べるんですか!?」

「妖精はあんまり美味しそうじゃないし、俺に至っては人間だし。しかも外来の」

「へ?外の世界から来たんですか?」

「ん?まぁ」

「どれくらい前ですか?」

「もうすぐ二年になるかな」

「それしか経ってないのにそんなに強いんですか!?」

「俺なんて一人じゃ未だに大した相手と戦ってないんだよ。サポートだったり、相手がボロボロだったり、模擬戦だから手加減されてたりしてね」

「そうなんですか?」

「だからまだまだ半人前だな、俺は」

 そんな風に話していると外から妖夢の声がした。

『妖夢、早くシュウのところにいきなさい』

『一体どうしたんですか?』

『早くしないと「食材」が逃げるわ』

『鶏でも捕まえたんですか?にしてもシュウのところにいるってのが分かりませんが…』


「妖夢が帰ってきたみたいだな」

「そうなん…で…すか…?」

 再びがくがくと怯え出すリリー。だから妖精は食べられないってば。

 そして開かれる扉。ビクゥッ!!と肩を震わすリリー。妖夢と幽々子が部屋に入ってきたのだ。

「幽々子様、どこにあるんですか?と言うかこの子はだれです?随分春度が高いようですけど」

「だからその子が食材よ」

「妖精はたべられません!!」

「えぇー、妖夢はどんな味がするのか気にならないの?」

「なりませんけど…。と言うかどこで捕まえたんですか?」

「あぁ、それは俺が。リリーが襲われているところを救助してそのまま連れてきた。これだけの春度が出てくるんだ、冥界にいてくれれば随分楽だろう?」

「なるほど、そういうことね」

 ん?妖夢、ちょっと不機嫌?と言うか一瞬拗ねた感じの表情をしたきがしたんだが。

「ねぇ、妖夢。ホントに食べないの?(じゅるり)」

「食べません(即答)」

「あ、あの。私はこの後どうなるんですか…?」

「幽々子様、ここに住まわせてもいいですか?」

「春度のためでしょう?全く問題ないわ(じゅるり)」

「そういう真面目な発言は涎を拭いてからにしてください」

 妖夢がそっとタオルを渡した、が。それを噛んでもぐもぐしている。あぁ、そんな風に顎を動かしたらさらに涎が…。

「幽々子様、とりあえずお昼にしましょうか。シュウ」

「わかってる。手伝い、だろ?」

「うん」

 妖夢と二人で台所に向かう。ふと後ろを向くと、リリーににじり寄る幽々子の姿があった。

 哀れリリー。合掌。


…なぜだろう。幽々子≒食欲ってイメージが…

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