第十四章 傭兵と「冬」の始まり
妖々夢に入ります。…多分。
十二月のある日、俺と妖夢は幽々子に呼び出され、ある話を聞かされた。
彼女の話は簡潔だった。と言うかひとこと
異変を起こしましょう
、と。
「…一体なにをするつもりです?幽々子様。」
「あの桜を咲かせてみようと思って」
「西行妖を、ですか?」
「春を待つんじゃ駄目なのか?」
「あの桜はある封印がなされているの。だから普通の春度じゃたりないのよねぇ」
あ、もしかしてこれって。原作でいう妖々夢なんじゃ…。って事は春が来ない異変を起こす…と言う訳か。
「だから春度を幻想郷中から集めてきて欲しいの、”二人で”」
「妖夢、大変だとはおもうが…って二人?」「えぇ、居候してるんだからある程度は働いて貰わないとね」「シュウ、一緒に頑張ろ?」
「あぁ、そうだな…。と言うか第一、どうやって集めるんだよ」
「そこは、ほら。物質化すればいいんじゃないかしら?」
「そしたら桜に与えられないじゃないか」
「「戻せないの?」」
「……。」
どうせ出来ねぇよ!だからそんな目でみるなぁ!
「やってみたらなんとかなるんじゃないかしら?」
「何事も挑戦、だよ」
手元に銃弾を作り出し、もとに戻そうとしてみる。
溶けるイメージ。無理か…。粒子に分解する感じはどうだ?出来ねぇか…。だったら――。
…。
……。
………。
試行錯誤を続け、二十何回目かの挑戦。
構成をバラしていく感じで…。 手のひらから重さが消えて、霊力となって消えた。気がする。
「出来た!」
周りを見ると俺一人だった…。
「えぇー…」
とりあえずスムーズに行えるように練習をすることにした。
弾を作る、消す。作る、消す。ただひたすらに繰り返す。
と言うか案外疲れるな、これ。まぁ、チカラを放出し続けてるみたいなもんだから当然と言えば当然か。
俺はその後も練習を続けた。
気がつくと俺は布団に寝かされていた。…なぜ?
とりあえずは起きてみることにした。
「あ、気がついた?」
「ん、妖夢か。俺どうなってた?」
「チカラの使い過ぎで疲れたんだか、自分で布団かぶって寝てたけど?」
…一瞬介抱されたのかと思った。と言うか自分で布団かぶった覚えがないんだが。
「で、出来るようになった?」
「あぁ、一応はな」
俺は手早く銃弾を創り出し、チカラに還元した。
「ホントだ。って事はシュウの能力って物質化する能力だけじゃなかったって事?」
「みたいだな。さしずめ『物質とチカラを相互変換する程度の能力』ってところか」
「なんかそれだけ聞くとボスみたいだよね」
「俺はそんなに無双してないぞ」
「判ってるって」
「そう言われると、それはそれで傷付くな」
「そんな繊細か心持ちじゃないでしょ、シュウは」
「ひでぇな」
まぁ、あってるんだけどね。
「それじゃあ明日辺りからその辺の妖怪を狩ったり、空気中の春度を集めたりしましょ」
「了解」
するとドアが開いて幽々子さんがあらわれる。
「シュウ、体の方は大丈夫かし…あ、妖夢。おなか減ったわ」
「せめて最後まで言おうぜ…」
どこまでもマイペースな人だった。
西日の太陽がとてもキレイに思えた。
まぁ、移住した時点で気がついたかとも思いますが首謀者側です。