第十三章 傭兵と朝
新しいシュウの日常です。
朝。
俺は異常なまでに早く起きたが二度寝をする気にもならなかったので、顔を洗うために洗面台に向かった。そしてドアを開けてから気づいた。
…洗面台、どこだ?
今までも客人としてなら何度となく来ていた白玉楼だが、いざ暮らすとなると勝手が全く分からない。
まぁ、そのうち慣れるだろ。
そう思って俺は洗面台探しの旅に出たのだった。
1時間後…。
俺は未だに彷徨っていた。
そして扉をあけると、自室だった。
なんだよここ!広いだろ!と言うか俺は何回自室に辿りつけばいいんだ!かれこれ既に4回は戻ってきてるぞ!まだ寝まきにしていた甚平(香霖堂で買ってきた)のままだし、今からでもいいから二度寝しようかとも思ったが、ここまで来たら意地だった。
俺は微妙に残る眠気とともに来た道と反対側に歩き始めた。
俺は長い廊下を見つけたのでそこを直進してみることにした。
その先には所謂「離れ」があったからだ。俺はそこの扉を引いた。すると中は板張りになっていて道場の様な作りだった。そこで妖夢が木刀を振り回していた。ちなみに真っ白な道着と袴を着用している。…のに、木刀は漆黒の漆塗りだった。
「あ、シュウじゃないですか、どうしました?」
「いや、なんとなく」(道に迷ったなんていえねぇ…)
「じゃあ、少し練習していきますか」
そういって妖夢は奥に引っ込んでしまう。そして戻った時には二本の木刀が握られていた。…朝から稽古とか勘弁してほしいんだが。
「いや、正直やったことないんだ」
「そうなんですか?」
「短剣と言うか、ナイフだったら少し使った事があるんだけど長いのはちょっと―」
「短いのもありますよ」
なんだか相手が出来たのがうれしいのかニコニコしている妖夢。なんだか断りづらい…。おもに良心の呵責によって。断れないな…。と言うか今更感あるけど一緒に暮らしてるのに敬語って。
俺はいろいろな形の木刀を持ってみたり握ってみたりしながら会話をすることにした。もしかしたら主と言う助け舟が来るかもしれない、空腹によって。
「あーそうそう。敬語じゃなくてもいいぜ」
「え?あ、そうで…。た、確かに。」
あー。なんかいかにも慣れてない感じだな、ぎこちないし。
お、この長さは昔使ってたコンバットナイフに似てるな。
「使う得物は決まりま…。決まった?」
「あぁ、うん。しっくりきてる」
って、時間稼ぎはどうした!俺!?
「じゃあ、やろ?」
妖夢は少し首をかしげて覗きこみながら、微笑えんでそう言ってきた。
なんかぐっときた。
可愛いなコイツ。
そんな訳で頭が冷静ではなくなった状態で勝てる訳もなく、フルボッコにされた。
「妖夢、お腹がすいたわ」
「あ、わかりました。すぐに用意します。…あとでまたやろ?シュウ。」
「おぅ…」(マジか…)
こうして新たな日課が増えたシュウだった。
またしてもフラグたてて…。俺は一体何がしたいんだ…。