青春
私は誘うように言った。すると、高野はマイクのように懐中電灯を持ち換え、自身の変顔を照らした。これまでしたことがなかったのか緊張こそしていたが、決して恥じることはせず、むしろ全力で彼自身の全てを表現してきた。どうしてこんな状況下で変顔ができたのかわからず、麻痺した脳がさらにパンクを起こす。私は胸の奥からどんどんと迫ってくるものに耐えきれず、思わず声に出して笑ってしまった。高野は焦ったようにシー!と私にジェスチャーする。しかし、腹を抱えて笑う私を見て、高野も釣られて笑いだす。なんだかぼやっと私と高野の周りが明るくなってきているような気がして、もうどうなってもいい、そんな考えさえ浮かんだ。
「俺、明日には……もう今日か……この町を出ていかないといけないんだ。」
高野は恥ずかしそうに下を向いて続ける。
「だから俺さ、あんな終わり方嫌だったんだよ。」
私は先を見て、今を見なかったことを深く後悔した。こんなにも良い友人を前にして、警察や親、先生ばかり気にしていたことを申し訳なく思った。すると、急に私の体は軽くなり、勢いに任せて走り始めた。夜風に包まれ、気分は爽快であった。高野は見えない夜の闇の中にいる私の存在をしかと見つめて、顔を緩めた。そして、慌ててその後を追った。
公園の街灯の下で、パスをし合う二人の影が見える。言葉は何も発していなかったが、今の彼らには不要に思えた。それほどまでに無邪気に蹴り合っており、彼らを縛っているものはもう何もないようだった。




