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ゴミ箱 (詩)
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むかしむかし、じゃないけれど
朝と夜の間に住む僕がいた
目にはクマ、手には鉛筆
だけど夢は、もはや描かなかった
風はビルの谷間をさまよい迷子
星は電線の上で居眠りしてる
僕はキラキラした未来の紙で鳥を折った
その名は「ぼくの夢」
誰にも見せなかったその鳥を
僕はそっとゴミ箱に入れた
「こんなもの、誰も欲しくない」
口ではそう言いながら
でもね、その夜
ゴミ箱の奥で不思議なことが起きてたんだ
紙の鳥は羽ばたいて、
空へ…じゃなく、僕の心へと帰ってきた
大分時間が経って、僕がふと見たとき
ゴミ箱はキラリと光ってた
中には紙と鉛筆、子どもの頃の言葉
それから、まだ誰にも折られていないままの未来
そう、夢を捨てたはずの箱は
誰よりも僕の宝を知っていたんだ
だから僕は笑った
「やっぱりここは、宝箱だったんだ」




