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短編集  作者: 星 見人
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神代ルナ 口裂け女捕まえるって1 (ギャル警察)

見て頂きありがとうございます。作る励みになりますので、良かったらブックマークと評価よろしくお願いします。


  23時20分。

郊外、閑静な住宅街の一角。

夜の帳を破るように、サイレンが響いた。


「これで三件目…か……“赤いマスクの口裂け女”事件」


そう呟いたのは神代ルナ。

赤いスカジャンの裾をひらりと揺らし、茶髪の巻き髪をいじりながら、現場のマンション前に立っていた。


「なあルナ、お前こっち系の都市伝説とかも信じるほう?」


ルナの隣で立っていたのは、相棒の戸川。

年上のベテラン刑事で、ルナの良き理解者だ。


「信じるとか信じないじゃなくて、“現実に起きてる”って思うのがあーしっしょ☆」


ルナはスマホを操作しながら、現場の写真をチェックする。


血痕、靴跡、そして……赤いマスク。


「それにさ、昔っから言うじゃん。

“都市伝説は現実に起こる”って☆」


「誰が言ったんだよ?、それ」


「ナナち〜☆」


その名前を聞いた途端、戸川はわずかに表情を曇らせた。


氷室ナナ、、かつてルナと警察学校でしのぎを削った天才であり、現在は連続都市伝説事件を操っていた

“RC”(リコレクション・コミュニティ)の中心人物。


今は留置所にいるが、彼女が作った闇はまだ都内に残っている。


「でもおかしいんだよな?」戸川が言う。


「RCはナナを捕まえて壊滅したはずだろ?

それなのに、今回の被害者3人、全員“RC”のタグをフォローしてた」


「うん、そーなんだけど、、

あーしが調べてみたら、確かに“RC”って名前のアカウントは削除済み。

でも、ほら、見てみ☆」


ルナはスマホの画面を戸川に見せた。


そこには、全く別のアカウントで発信されている口裂け女の目撃情報動画が再生されていた。


[「ねえ……わたし、キレイ……?」]

マスクの下から聞こえる、かすれた女の声。


そして、画面に映るのは赤いマスクをした不気味な女性の自撮り動画。


「再生数、えげつないな……」


「これ、拡散されるたびに“RC”のタグが使われてんの。つまり、、

誰かが“RC”の亡霊を名乗って、また都市伝説ごっこしてるってわけ☆」


ルナの目が鋭く光った。


「しかも今回も、ちゃんと都市伝説として“演出”されてる。

赤いマスク、映える夜の街、そして被害に遭う若者。

ナナち〜が昔言ってた、“都市伝説を劇場型でやる”ってヤツと考えは同じ」


「ってことは、模倣犯か?」


「……まだ断定できないけどね〜☆

ナナち〜の手口を完璧にトレースしてる。ってことは、、」


ルナは小さく吐息をついた。


「ナナち〜の“ファン”か、“ライバル”か、もしくは、、

“共犯者”。

どれかってとこかな☆」


そのとき、鑑識班のひとりが現場から何かを持ってきた。


「神代刑事、これ、被害者のスマホです。

パスコードは解除済みで、動画が残ってました」


「あんがちょ☆、、動画ね〜?」


再生すると、画面に映っていたのは、さっき見たような赤マスク女の自撮り。

だが今回は、背景に街灯と路地裏の壁がはっきり映っていた。


[「わたし、キレイ……? ねぇ、ほんとに、わたしって──キレイ?」]


その声は微妙に震えており、どこか痛々しい。

自信がない女の子が、無理やり強がっているような、そんな声だった。


「この壁……」戸川がつぶやいた。

「うちの署の裏手の商店街じゃないか?

あそこ、ライブ配信する子がよくいるって聞いたぞ」


「オッケー☆行ってみる価値、あるね☆」


ルナは踵を返し、パトカーの助手席に飛び乗った。


「んじゃ、戸川ちゃ〜ん☆

今回もしっかり、運転手とツッコミ役よろしくね〜☆」


「はぁ〜……お前は変わらねぇな、ほんとに」


夜の街に、再びパトカーの赤色灯が点った。



 、、深夜の警察署留置所。薄暗い独房の中で、氷室ナナは手のひらのルービックキューブをくるくると回していた。


鉄格子の向こう側にある小さな窓から、街灯のぼんやりとした光が差し込む。


「んー☆RCは終わんないよ☆」

ナナは小さく呟きながら、何度も色を揃えようとキューブをひねる。

いくつもの色が入れ替わり、彼女の表情はどこか楽しげだ。


 

 署の捜査室。

神代ルナは資料の山に囲まれ、深いため息をついた。

事件の手掛かりが全く掴めず、赤いマスクを被った犯人の正体も動機も霧の中だ。


「何か決定的な証拠があればなぁ〜……」

ルナは独り言のように呟いた。


戸川が隣から声をかける。


「どうした?ルナ、今回はお手上げか?」


「ん〜?まったく頭が回んないんだよね〜☆

どーしたもんかね〜☆」とルナは笑いながら言った。


戸川がふざけて

「いっそ、友達のナナにでも聞くか?」

とふざけると、ルナは


「そうなるね〜☆ナナち〜は頭が切れる。

だけど、ナナち〜に頼るなら、こっちも準備が必要なんだよな〜……」


それを聞いた戸川は冷ややかに眉をひそめたが、

それ以上は何も言わなかった。


 


 翌朝。留置所の鉄格子の前に立つルナは、手に箱を抱えていた。

中には甘いスイーツが詰まっている。


「ナナち〜☆差し入れ、持ってきたよ☆」


ルナが声をかけると、ナナはゆっくりと頭を上げ、

独房の中でルービックキューブを一旦止めた。


「フフッ、ルナっち、分かってるじゃ〜ん☆

ウチと昔話しでもしに来たのかな?

それとも……“口裂け女”の話しでも聞きに来たのかな?」と笑いながら言った。


ルナの瞳が一瞬鋭く光る。


ナナの手がルービックキューブをカチャカチャと

再び回し始める。


「んじゃ、ルナっち☆取引しよっか?

ウチのヒントが欲しいなら、ウチがこのスイーツを全部食べ終わってからね☆って取引」


ルナは頷き、箱を開けて一口スイーツと資料を鉄格子の中に入れた。


ナナの疲れた頭に甘さが染み渡る。


ナナがスイーツを食べながら、ペラペラと資料に目を通すと、、


「まず一つ目。赤いマスクの正体は、“普通の人”じゃないね☆」


ナナはからかうように微笑みながら続ける。


「二つ目。被害者たちには“共通の秘密”があるよ。

これを見つけないと、ルナっちは先には進めないよね〜☆」


ルナはメモ帳に急いで書き込みながら

「ありがとうナナち〜、必ず解く☆」

と言い、留置所を後にしようとした時、


ナナが「ねぇ?ルナっち☆RCは終わんないよ☆」

とウインクした。


ナナは再びルービックキューブをくるくると回し始め、

帰って行くルナの背中に向かって

「うん…RCの謎はまだまだ終わらないよ☆」

と呟いた。



 独房の中、薄明かりの中でのナナの笑みは、まるで何かを知り尽くしているように見えた。


ルナは、資料とナナからもらったヒントを見つめながら、自分の無力さに痛感しつつも、決意を新たにした。


「ナナ……ありがとう☆……」




           

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