神代ルナ 買い物しながら神隠し解決するってよ1 (ギャル警察)
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「戸川ちゃん、これどう?似合うっしょ☆」
日曜の昼下がり、駅前のショッピングモールの三階。
ブティックの試着室から、神代ルナが勢いよく飛び出してきた。
胸元が大胆に開いたワンピースにハイヒール、髪は茶髪に巻き髪、大きなリボン。どう見ても刑事には見えない。
「……あのなぁ、お前、警察だろ。もうちょい自覚ってもんをだな、、」
「休みの日まで真面目モードとかマジ無理〜☆ それより戸川ちゃん、服のセンス壊滅的だから、あーしがコーデしてあげるっしょ!」
「余計なお世話だ、いや、そもそもなんで俺が付き合わされてんだよ……てか、俺そんなセンス悪くねーよ、、」
文句を言いつつも、戸川はルナの後を歩く。
休日は完全に、年の離れた妹に振り回される兄貴の構図だ。
買い物を終えた二人は、近くの公園でベンチに腰を下ろした。
ルナはソーダ味のアイスキャンディーを舐め、戸川は缶コーヒーを空ける。
「なぁ、ルナ、、最近この公園……なんか物騒な噂あるらしいな」
ふと、戸川がつぶやく。
視線の先には、滑り台で遊ぶ小学生たちの姿。
その向こうで、数人の子供がひそひそと話している。
「また一人、消えたんだって。ねえちゃんが言ってた……」
「ほら、あのすべり台……夜に乗ると、いなくなるって……」
「ふんっ、都市伝説か何かか?所詮ガキの噂話しだろ」
戸川が鼻で笑った瞬間、ルナがアイスの棒を咥えたまま振り向いた。
「戸川ちゃん、バカ?人が消える時、必ず“何か”が起きてんの⭐︎」
その目は、ふざけた口調に似合わず真剣だった。
刑事の直感が、なにかに引っかかっているようだった。
「最近の行方不明届、あーしチェックしてんだけど、、小学生以下の子供、ここら周辺で、、三人」
「……マジか?」
「警察の方で動いてはいるっぽいけど、ただの家出かもって感じで進展ナシ。
でもさぁ、子供が勝手に三人も行方不明??ないない☆」
ルナはスマホを操作し、すでに警察署に捜査許可の連絡を入れていた。
非番だが、「現場にいる刑事として異常を確認」としてすでに動き始めている。
「動くぞ、戸川ちゃん。あーしがぜってぇ解明するっしょ☆」
「……ほんと、お前ってやつは……」
しぶしぶ立ち上がった戸川を見て、ルナは悪戯っぽく笑った。
「しっかりついてきてね?先輩なんだからさ〜☆」
こうして、“子供が消える公園”の調査が始まった。
それが、想像以上にヤバい事件に繋がることを、この時の二人はまだ知らなかった。
「おーい、ルナ。おはよ。早いな」
「よっ☆ 戸川ちゃん、おはよ。
やる気出てきたじゃん!ルナちゃんもやる気MAXよ〜⭐︎」
翌朝。平日とは思えぬ早さで現場に来ていたルナは、手にパンケーキ風のパンを持ちながらベンチに座っていた。
彼女の前には、小さなスケッチブックがある。子供たちへの聞き込みの成果が、絵とメモでびっしりと綴られていた。
それを見ながらルナが
「このすべり台。子供が消えるって噂、やっぱ本当だったかも、、」
「いやいや、昨夜は俺らで張ってたが、何も起きなかっただろ?」
「うん、でも、そこがミソなんだよね〜⭐︎」
ルナはにやりと笑い、紙の一枚を差し出す。
それは、小学生の女の子が描いたスケッチ。
[夜のすべり台に、黒い人がいた。くるっと回って、だれかがいなくなった]
「“くるっと回って”ってなにか変じゃない?」
「子供の絵だし、ただの妄想……だろ…」
「じゃあ戸川ちゃんさぁ、昼間のこの公園、監視カメラってどこについてる?る?⭐︎」
「え?」
言われて周囲を見ると、確かに監視カメラは目立つ場所に設置されている。が、、
ルナが身振り手振りで
「死角、あんだよね、、あのすべり台の裏、ちょ〜ど木と壁がかぶってんの。あそこ、、映んないのよ、」
ルナはその場に立ち上がると、すべり台の裏へと回った。戸川も後を追う。そこで二人が見たのは、、、
「……扉?」
「ほらっ☆ビンゴ!ね?やばくね?」
すべり台の下、雑草に隠れるようにして、コンクリートの床に金属製のハッチがあった。南京錠で施錠され、一般の子供にはとても開けられそうにない。
「この下……地下か?」
「さっ☆警察に連絡して、正規に開けよ!」
数時間後、鍵を破壊して扉が開かれた。
コンクリートの下には、土でできた細い通路が続いていた。
匂いは古びたカビと、金属の錆び、そして、、微かに何かの薬品の香り。
「戸川ちゃん、ライトお願い!」
ふたりは懐中電灯を手に、慎重に通路を進んでいく。
途中、古びた三輪車、ジュースのパック、ランドセルの破片……何かが“連れ込まれた”形跡が残されていた。
「これさ……誘拐ルートだよ…」
ルナが呟く。都市伝説どころじゃない、これは犯罪の臭いだった。
「でも、こんなとこ、子供ひとりじゃ来れない。
てことは……」
その時だった。
「……ルナ、前!」
懐中電灯の光の先に、小さな影が揺れていた。
「まさか……!?」
走る。足音が土を蹴る音だけが響く。
通路の終点。そこに、、
いた。
ランドセルを背負ったまま、青白い顔の少年。
目は焦点が合っていない。
呆けたように立ち尽くしている。
「おい、無事か!?」
「ま、待って……!」
ルナが一歩踏み出そうとしたその瞬間、、、!
少年の姿が、スッーーーと消えた。
「なっ……!?バカな……!あーしの目の前で、消えた!?!?」
ルナが目を疑う。
確かにそこにいたはずの少年が、空間ごと滑ったように消えたのだ。残されたのは、ランドセルと、床に転がった名前入りの靴だけ。
「神隠し……?そんな……」
ルナの表情が凍る。その頬に、汗が一筋流れた。
「これは……ヤバいやつだ……。都市伝説でもオカルトでもない、けど……[見せかけの神隠し]だ。
だれかが、完璧に仕組んでる!」
ルナが周辺を探そうとすると、戸川が
「おいっ!ルナ!あんまり深追いするな!
一旦、署に戻るぞ。ここが見つかっただけで、今日は十分だっ!」
「はぁ〜っ!!なんでよ!!犯人は、まだこの中にいるかもしれないよ」
戸川がルナの目をジーッと見る。
「わぁーったよ!帰ります!帰ればいいんでしょ、、ゴリラみたいな顔して、、」
トボトボと上に上がりながらルナが呟く、、
「終わらせる……あーしが絶対!暴いてやるから、」




