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短編集  作者: 星 見人
41/81

神代ルナはバカじゃない! (ギャル警察)

見て頂きありがとうございます。作る励みになりますので、良かったらブックマークと評価よろしくお願いします。


「うっわ〜…朝からダルぅ〜。ダルぅ〜ダルダルメシアン!はぁ、今日こそ有給とろ〜よ〜…」

ルナはアホっぽい声でぼやきながら、髪を巻いたままコンビニのアイスカフェラテをすすっていた。


「、、おい、ルナ。仕事中にそれやめろって何度言ったら…」

隣でハンドルを握る戸川とがわは、眉間にシワを寄せながらため息をつく。


「え〜?戸川ちゃん、脳にはカフェインと糖分が必要なんですよぉ〜?あ、今カフェイン吸ってるからIQとバイブス、ちょっと上がったかも〜⭐︎」


「いいから黙ってろ、、」


そんなやりとりの最中、無線が鳴った。


[城ヶ崎町の山荘で死亡事案発生。

状況不明。至急、第一発見者の保護と現場保存を]


「山荘って……あの、資産家の佐倉家の別荘じゃねぇか?」


「え〜?まじで?え、テレビで見たことある〜。超高そうなとこじゃん」


「ルナ、気合い入れろ。ヘマするなよ」


「え〜〜〜?行くの??今日こそパトロールだけで帰る予定だったのにぃ〜!マジ下がる〜、、」


戸川のため息が「はぁー、、」と、もう一度漏れた。




現場は静まり返っていた。

佐倉家の山荘は外観こそオシャレだが、周囲に人の気配はほとんどない。

既に現地には地元警官が到着していたが、状況の整理はついていない様子。


「遺体は2階の書斎で発見されました。被害者は佐倉隼人、58歳。資産家です」

戸川が手袋をはめながら状況を確認する横で

ルナは厚底スニーカーを脱ぎかけていた。


「おい。なんで靴脱ぐ」

「え〜?なんか、床ピカピカだし。え、やば、この床映えるかも〜〜⭐︎」

「お前ほんとに刑事かよ…」




書斎には、ひとりの男が倒れていた。

首に縄。死因は明らかに絞殺。

そして、遺体の周囲には奇妙な[抜けた靴の片方]がぽつんと置かれていた。


「自殺に見せかけた他殺だな。縄の締め方が左右非対称だし、何よりこの靴……」

戸川が唸る。


一方、ルナはすでにあたりを見回していた。


「戸川ちゃん、この部屋に入るのに鍵かかってたんだって〜。でね、第一発見者は[執事の伊集院さん]らしいよ。しかも通報したのは彼」


「執事、ねぇ……今どき珍しい肩書きだな」


「うん、なんか超〜〜〜老舗のお家らしいよ。ねぇねぇ戸川ちゃん、執事があんなタイミングで見つけたって変じゃない?な〜んで今夜に限って書斎の前を通っちゃったのか、謎じゃない〜⭐︎?」


「まあ、確かにな…」


そのとき、ドアの外からコツコツと足音がした。

長身の男、グレイのスーツ、白手袋。まるで小説から出てきたような執事姿の男がすっと現れた。


「お呼びでしょうか。私が、佐倉家に仕える執事、伊集院でございます」

「ルナ、お前が呼んだのか?」


「うん!話、聞いてみたくって。だってこの人、第一発見者だし〜、いろいろ知ってそうじゃない?いろいろね⭐︎」


「…やれやれ」


ルナの目は、伊集院をまっすぐ見つめていた。

そのギャルっぽい視線の奥に、妙な鋭さが光っていたのを、戸川だけが見逃さなかった。


(こいつ、何かに気づいてやがるな…)


神代ルナが指をさしたのは、第一発見者である管理人・杉村だった。

現場は殺風景なマンションの一室。

仰向けに倒れた被害者・堂本の胸には果物ナイフが突き立てられていた。


「おいおい、また唐突に、、

ルナ、それ本当に自信あるのか?」

と、戸川が眉をひそめる。


「はーい⭐︎!わかっちゃいましたー⭐︎!」

ルナはスカートをひらひらさせながら、元気よく返す。

金髪にカラコン、濃いめのリップ。見た目だけなら完全に夜の街代表だが、その頭の中は国家資格五つ所持のIQ200だ。


「堂本さんはアリバイの相談を杉村さんにしてたんです。でも、逆にその会話が命取りになっちゃったね〜」


ルナが差し出したのは、堂本のスマホに録音されていた音声データ。

再生ボタンを押すと、堂本と杉村の会話が流れ始める。


[……もしあいつが来たら、俺はずっとここにいたって言ってくれよ。金なら払うから]

[……お前もとうとう堕ちたな。まぁ、黙ってやるさ]


戸川は「うわ、こんなの聞いたら誰でも杉村が犯人だって思っちまうよ……」と、言うと


「でしょ〜? でもこれって〜、あーしが仕掛けた罠だよんよん⭐︎⭐︎」

ルナはピースサインを片目で作る。


「罠ってお前……」

戸川はため息をつきかけて止めた。ルナの言うことには、必ず裏がある。


その時、遺体の裏からもう一体、白骨化しかけた遺体が見つかる。

慌てて駆けつけた鑑識班が調べると、なんと死亡推定時刻は堂本より二日も早い。身元は行方不明だった大学生・高野だった。


「おいおい、話が全然違ってきたぞ。じゃあこの堂本って男は、この高野を埋めに来て逆に殺されたのか?」


「戸川ちゃん!ブッブー!ううん、逆だよ」


ルナの声は、突然静かで冷ややかだった。


「逆……?」


「この事件、実は二重殺人だったんだよ。堂本さんが最初に高野さんを殺して、証拠隠滅のために自分の部屋に運んできた。でも誰かに気付かれて、今度は堂本さん自身が殺されたの」


「……誰に?」


ルナはしばらく黙ったあと、スッと玄関を見やる。


「、、伊集院さん、入ってきてください」


姿を現したのは、黒いスーツに白手袋の初老の男。

ルナが「うちの執事」と呼ぶ、あの伊集院だった。


「ちょっとルール違反だけどね。あーしが気づいた瞬間、こりゃ厄介な事件になると思って、伊集院さんを現場に呼んだの」


「なぜ……?」


「一つはこの部屋にあった違和感を証明するため。

そしてもう一つは——」


ルナはゆっくりと振り返った。


「あなたの動機を聞くためだよ、杉村さん」


ざわめく現場。戸川は目を見開いた。


「……まさか……」


「そう、杉村さんは二人目の犯人。堂本さんが死んだのは、彼が高野さんの死体を自分の部屋に持ち込んだせいで、警察に疑われると思ったから。そして、、」


ルナはにっこりと笑って、最後に決めた。


「全部お見通しだよ! はーい!ルナちゃん!わかっちゃいました⭐︎⭐︎!」




            続

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