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5月11日 (詩)
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シュルリと風が 竹の葉をなでる音
ツィーツィーと 燕の尾が空を裂く
雉の「クワァー、クワァー」が 山肌に跳ね返り
一拍遅れて 胸の奥まで届く
パチ、パチと煙草の火が
昼の喧騒に 小さな静寂をつくる
耳に溶けていく 白い吐息
その中で アシナガバチの羽音が
風に乗って 耳元をかすめた
遠くの用水路が 笑うように流れ
木の葉がふと カサリと秘密を囁く
音のない時間こそが
いちばん 音に満ちていると気づく昼飯前
「パパー!ご飯!」
跳ねるような声が 背中越しに飛んできた
どこからか分からない、けれど確かに、娘の声
すべての音が その声に吸い寄せられ
この一日が まるごと幸せになった




