白と黒 (詩)
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この世界は絵の具、極彩色の輪廻図
極楽と地獄の境、踏み越えるのは真の素
俺は白、何者でもない空白の素粒子
だが手を染めた瞬間から、逃れられぬ業の譜
金色の声が囁く「ここが天国、甘く咲く」
欲望に濡れた蜜、それを愛と誰かが書く
笑顔の裏に影が鳴く、仏の顔がやがて割る
平和に見えたその景色も、俺の中で錆びて咲く
紅蓮の地に堕ちた夜、慟哭の業火が身を裂く
嘘が焼け、言葉が詫び、沈黙だけが真を語る
「ここが地獄」と誰か叫ぶ、俺にはただの輪郭
だってこの色も俺のもの、誰かに塗られたものじゃなく
輪廻の筆は止まらずに、善悪さえも薄くなる
極と極、振れ幅の中 ただ一人で浮かぶ舟
救いを問う、その問いこそ 苦の種をまた撒く術
悟りとは、無に帰ること? それとも生を編む術?
白に戻りたくて、俺は何度も手を洗う
だが落ちないこの黒こそが、俺の今を語る色
もし白が無知と呼ばれるなら、この黒は知った罪の都
でもその黒の底にさえ、仏の灯りが一つ宿る
だから俺は描く、もう逃げない、闇の先に筆を振る
極楽も地獄も紙一重、この命で綴る言葉
黒く汚れたこの手から、新しい白をまた塗る
それがもし誰かの祈りになるなら、
地獄でさえも、俺は生きて歌う