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せのび (詩)
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桜吹雪も止んだ 初夏の陽気
空は 真昼の顔をして、
じっと俺を見下ろしていた
ふと、触れられるような気がした
ただの気のせいと知りながら
掌を天へ差し出していた
つま先に力を込め
影を細く伸ばしてゆく
風は吹かず 虫は鳴くのみ
それでも空は 揺らがず
ただ、遥かを湛えていた
届かぬことの 清しさよ。
手が触れぬゆえに 空は空
あの空に触れたら 何か変わる気がした
俺は伸びるほどに、
空の高さを知り、夢の遠さを知る
それでもなお 背を伸ばす
この身が土に縛られようとも
心はただ、上へ 上へと
舞い上がるように




