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短編集  作者: 星 見人
16/81

忘れ物 (ちょっと怖い話)

見て頂きありがとうございます。作る励みになりますので、良かったらブックマークと評価よろしくお願いします。

ちょっと怖いので苦手な人は、読まない方がいいと思います。


 「、、、あれ?鍵、閉めたっけ?」


駅へ向かう途中、急に胸騒ぎがして足を止める。

カバンをまさぐり、鍵を確認する。

でも、それじゃない。


「閉めたかどうか」、その感覚が気になった。

焦る気持ちを振り払って家に引き返す。



ドアを開けると、すぐに違和感が広がった。

ガスの元栓が開きっぱなし、換気扇の音が静かに響く。

「やっぱり、、、」

忘れたのか、それとも忘れたフリをしていたのか。


リビングに足を踏み入れると、そこに倒れていたのは、、、


妻だ。目を開けたまま、冷たく横たわっている。

男はそれを一瞥し、無表情で呟いた。


「、、あぁ、俺が殺したんだったな、、」


その一言に、驚きも悲しみもない。

ただ淡々と事実を確認するように言葉を発した。


無意識のうちに寝室に足を運ぶ。


ドアを開けると、そこには吊るされた自分の死体があった。

男はじっとその光景を見つめ、動く気配もなく立ち尽くす。


「……そうか。俺、死んだんだっけ?」


自分の死体を見ているが、その目には感情がない。

ただ冷静に、自分が死んでいる事実を受け入れている。


そして、すべてが静かに終わったような、そんな空気が流れた。


その時、ふと目に入ったのは、机の上に散らばる書類。


その中に一枚、古びた手紙が落ちていたが、男はそれを見ようともせずに、ただ机の隅へ戻す。


「何も変わらない、、」


そう呟くと、外の風景に目を向ける。


窓の外には、まるで時間が止まったかのように、何も動かない。

風も、音も、何もかもが静止しているかのように感じた。


その静けさの中で、男はふと、心の片隅であることを思い出す。


「自殺すると、それを繰り返すんだっけ?」


都市伝説だと、誰かが言っていた。

死んだ者は、死を迎えたその瞬間から、永遠に同じ死を繰り返し続ける。


男の周りの空気が、ふと震えたように感じた。


だんだんと、その繰り返しが現実になるような感覚に捉えられる。

静寂が不気味に広がる中で、男は再びその目を開ける。


そして、目の前に広がるのは、繰り返すだけの無情な現実だった。


そう思った瞬間、男はまた

「、、、あれ?鍵、閉めたっけ?」

と言って忘れ物を探しに家に帰って行った、、、。




最後まで読んで頂きありがとうございます。

鍵、ガス、窓、、全部忘れる人、、いるよね、笑

、、と思ったら、まさか命まで忘れてたとは。


自殺は死んでも終わらないっていう都市伝説、俺が1番嫌いな都市伝説。日常って、ホラーより怖い。


あなたは、忘れ物してませんか?

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