忘れ物 (ちょっと怖い話)
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ちょっと怖いので苦手な人は、読まない方がいいと思います。
「、、、あれ?鍵、閉めたっけ?」
駅へ向かう途中、急に胸騒ぎがして足を止める。
カバンをまさぐり、鍵を確認する。
でも、それじゃない。
「閉めたかどうか」、その感覚が気になった。
焦る気持ちを振り払って家に引き返す。
ドアを開けると、すぐに違和感が広がった。
ガスの元栓が開きっぱなし、換気扇の音が静かに響く。
「やっぱり、、、」
忘れたのか、それとも忘れたフリをしていたのか。
リビングに足を踏み入れると、そこに倒れていたのは、、、
妻だ。目を開けたまま、冷たく横たわっている。
男はそれを一瞥し、無表情で呟いた。
「、、あぁ、俺が殺したんだったな、、」
その一言に、驚きも悲しみもない。
ただ淡々と事実を確認するように言葉を発した。
無意識のうちに寝室に足を運ぶ。
ドアを開けると、そこには吊るされた自分の死体があった。
男はじっとその光景を見つめ、動く気配もなく立ち尽くす。
「……そうか。俺、死んだんだっけ?」
自分の死体を見ているが、その目には感情がない。
ただ冷静に、自分が死んでいる事実を受け入れている。
そして、すべてが静かに終わったような、そんな空気が流れた。
その時、ふと目に入ったのは、机の上に散らばる書類。
その中に一枚、古びた手紙が落ちていたが、男はそれを見ようともせずに、ただ机の隅へ戻す。
「何も変わらない、、」
そう呟くと、外の風景に目を向ける。
窓の外には、まるで時間が止まったかのように、何も動かない。
風も、音も、何もかもが静止しているかのように感じた。
その静けさの中で、男はふと、心の片隅であることを思い出す。
「自殺すると、それを繰り返すんだっけ?」
都市伝説だと、誰かが言っていた。
死んだ者は、死を迎えたその瞬間から、永遠に同じ死を繰り返し続ける。
男の周りの空気が、ふと震えたように感じた。
だんだんと、その繰り返しが現実になるような感覚に捉えられる。
静寂が不気味に広がる中で、男は再びその目を開ける。
そして、目の前に広がるのは、繰り返すだけの無情な現実だった。
そう思った瞬間、男はまた
「、、、あれ?鍵、閉めたっけ?」
と言って忘れ物を探しに家に帰って行った、、、。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
鍵、ガス、窓、、全部忘れる人、、いるよね、笑
、、と思ったら、まさか命まで忘れてたとは。
自殺は死んでも終わらないっていう都市伝説、俺が1番嫌いな都市伝説。日常って、ホラーより怖い。
あなたは、忘れ物してませんか?




