縁
ジョルジュとジル。
知り合いではあるが友ではなく。
敵。
――――だった。
ジョルジュ:
「一度は敵。二度も敵。三度は――味方か。分らんものだな」
日も暮れ。
彼らは、空き地で炊事の火を囲んでいる。
ジル:
「……色々あったんだよ。お前がお荷物にされてからもな」
年寄の昔話に花が咲く。
ロイは興味を隠しきれずに聞き耳を立てている。
マリーは、慣れない運動をしてきたこともあり、焚火の暖かさにうつらうつらと舟を漕いでいる。
ジョルジュ:
「ぐっ…………、――ムネモシュネ様はどうなった」
ジル:
「――ティエスはトーリと結婚したよ。……あぁ、つまり、お前を挽肉にした男とだが」
ティエス=ムネモシュネ・マオハルト=ワールウィンド。
ジョルジュとジルは同じ人物について話している。
――――かつて、魔族として産まれ、人間として生きた者がいたのだ。
ジョルジュ:
「――――あいつか。ふん。……まぁ、いい。サキのやつは」
ジル:
「死んだよ」
ジョルジュ:
「――――ふん。失敗した、と嘆くべきか。よくぞご無事でと喜ぶべきか」
ロイ:
「ジルさんも
ジル:
「ジルでいいよ」
ロイ:
「ジル、も、私のご先祖様を知っているんですか?」
ジル:
「――――先祖?」
ロイ:
「あ。私、ロイ・マオハルト=ワールウィンドと言います」
ジル:
「――――あぁ。よく知っているとも」
ロイ:
「
ジョルジュ:
「まぁ、我の方がよく知っておるがな」
ジル:
「あ?私の方が知ってんだろが」
ジョルジュ:
「あ?やんのか腐れババア?」
ジル:
「お?」
何やら雲行きが怪しくなってきたので、ロイは追求できなかった。
ロイ:
「もう――やめてよ二人とも!ジョルジュも汚い言葉使いをしない!!」
ロイは、咄嗟にマリーの後ろから――人間でいう両耳のあたりを両手で抑えた。
うとうとしていたマリーは、いきなり冷たい掌が当てられたのでびっくりした。
マリー:
「ひゃぅ?!なに?!」
ロイ:
「マリーは耳を塞いでて!変な言葉を覚えちゃダメ!!」
マリー:
「マリーのお耳はここよ?」
マリーの頭頂部で、ぺたりと垂れた猫耳がぴくりと動いた。