さいかい
ジルは駆けていた。
公都へと。
近付くにつれて、荒れた景観が視界の端を流れていく――。
マリー:
「ししょー!あはっ、待ってー!!」
マリーが後を追っている。
ジル:
(とばしたつもりだったんだけどねぇ……)
ジルは公都へ行こうと思った。
公都では戦闘が起きると思った。
公都では、より『荒れた』景色があると思った。
だから、あの優しい弱虫は置いていくつもりだったのだが――。
マリー:
「速いなぁ。脚の使い方?こうかな。んー……。あ、こういうこと?!」
獣魔であるマリーは、身体能力そのものは高かったのだろう。
それだけで追って来られるほど、ジルも耄碌しているつもりはないが……。
無意識に、魔力と身体の使い方を習得していっている。
ジル:
(やっぱり……歳かねぇ……)
全盛期のジルであれば振り切っただろう。
能力的にも。性格的にも。
丸くなったのだ。
マリー:
「とうっ!」
マリーが急加速で追い抜こうとしてきたので――――、
マリー:
「わぁ!!」
ジルは全力で疾駆した。
弟子は師匠の背中を追いかけていればよいのだ。
ジル:
「ふぉ。ふぉ。若い者にはまだ負け――――のわっ」
マリー:
「ししょー?!し、ししょー!!だいじょうぶ??!」
・・・・・・
公都。
ジョルジュがパワーで街の整理をしていると、
ターボで走ってくるばばあと猫がみえた。
ロイ:
「おつかれさま。この辺も片付いてきたね」
ジョルジュ:
「下がっていろ。なんか来てる」
ロイ:
「え?あ。マリーちゃんだ。おーい」
ロイが両手を振ると、猫が手を振り返した。
・・・・・・
ジル:
「ぜぇ――はぁ――ぜぇ――はぁ――」
マリー:
「負けちゃった!ししょー速い!」
ジョルジュ:
「……………………」
ロイ:
「マリーちゃん。久しぶり。……そっちは無事だった?」
マリー:
「うーん……。里は、無事だよ?みんなは、……そかい?遠くへ行っちゃった」
ロイ:
「そっか……。ごめん」
マリー:
「えっ。ロイは悪くないよ?」
ロイ:
「私が……しっかりしなきゃなのに……」
ジョルジュ:
「………………おい。ばばあ」
ジル:
「はぁ――――なん、――ひゅぅ――おま、――えか」
ジョルジュ:
「貴様…………老いたなァ?!マジで老いたなァ??!」
ジル:
「――抜かせ。今も美しいわ」
ロイ:
「ジョルジュのご友人の方?――仲が良くてもその言い方はよくないよ?」
マリー:
「ししょーのお友だち?」
ジョルジュ&ジル:
「「友達じゃねーよ!!」」
これ以上は新キャラ増えないと思います